お葬式
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この項目では、映画の作品について説明しています。一般的な葬式については「葬儀」をご覧ください。

お葬式
The Funeral
監督伊丹十三
脚本伊丹十三
製作岡田裕
玉置泰
製作総指揮細越省吾
出演者山ア努
宮本信子
菅井きん
大滝秀治
奥村公延
笠智衆
藤原釜足
津川雅彦
音楽湯浅譲二
撮影前田米造
編集鈴木晄
製作会社ニューセンチュリープロデューサーズ
伊丹プロダクション
配給ATG
公開 1984年11月17日
上映時間124分
製作国 日本
言語日本語
製作費1億円
配給収入12億円[1]
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ポータル 映画
プロジェクト 映画

『お葬式』(おそうしき)は、1984年公開の日本映画伊丹十三の初監督作品。
概要

厳粛な儀式であった葬儀を取り上げた作品で、初めて出す葬式に右往左往する家族と周囲の人びとの姿をコミカルに描き、暗いタイトルにもかかわらず作中には笑いが溢れるギャップが大きな話題を呼んだ。そのタイトルだけでメジャー映画会社はどこも配給を断った[2]。公開当初は不謹慎な題材を扱っていたとして期待されなかったが、予想を覆すヒットを記録。結局はATGの親会社である東宝の番線に乗って全国公開となった。日本アカデミー賞を始めとする各映画賞を総なめにした。

伊丹が妻・宮本信子の父親の葬式喪主となった実体験をもとに、わずか1週間でシナリオを書き上げ、自身の初監督作品として撮影した[3]

リアリズムを追求する伊丹作品と個性派女優である宮本とのぴったりなマッチングによってできた作品である[4]

撮影は神奈川県湯河原町にある伊丹の別荘(元自宅)で行われた。製作費は1億円。以前、伊丹自身がCM出演した愛媛県の菓子会社・一六本舗が出資している。

序盤に出てくる侘助・千鶴子夫婦共演のCMは、1983年に伊丹・宮本が共演した味の素「マヨネーズDo」のCMアイデアがそのまま採用された。

笑いが多く含まれている半面、過激な性描写があるとして、教育者や宗教者などから批判される一面も見られたが、表現上高い効果を上げているとの評価も多い。
伊丹はその後の作品でも必ずといってよいほど性表現を織り込んでいる。また、同時に死の描写にも強くこだわり続けた。
あらすじ

ある日、俳優の井上侘助と妻で女優の雨宮千鶴子は夫婦共演のCM撮影を行っていたが、そこに突然連絡が入る。千鶴子の父・真吉が亡くなったのだ。親族代表として葬式を出さなくてはならなくなった侘助はマネージャー里見の助けを借りつつも途方に暮れる。

千鶴子の母・きく江や千鶴子の妹・綾子夫婦、そして真吉の兄・正吉とともに遺体を伊豆の別荘に運び、お通夜の準備に取り掛かる。葬儀屋・海老原とともに、お通夜当日の朝を迎える侘助達。付人も応援に駆け付けたが、そこには喪服を着た侘助の愛人・良子もいた。
出演者
井上侘助
演 -
山ア努主人公。作中での職業は俳優。葬式の事は何も分からず、最後のスピーチが憂鬱でたまらない。愛人の良子に駄々をこねられ、お通夜の前に茂みで渋々と性行為におよぶ。愛人がいたり、上記のように場を仕切ったりするのが苦手で、私生活では頼りがいがない性格。
雨宮千鶴子
演 - 宮本信子侘助の妻。夫と同じく俳優。島倉千代子の「東京だよおっ母さん」のマネが得意。明るくさばさばしており、おっとりした性格。小学生の2人の息子がおり、妹・綾子の息子たちと葬式のある別荘で出会い、仲良くふざけあったりして騒がしく遊んでいる。
雨宮きく江
演 - 菅井きん千鶴子の母。喪主を勤める。しっかり者で終始気丈に振舞い、葬式を取り仕切った。あがり性の侘助に代わり、最後の挨拶を務める。戦後夫婦で女郎屋を営んでいたが、仕事を任せられっぱなしで、女好きだったこともあり真吉には若い頃から手を焼かされていたが、慕っている。
雨宮真吉
演 - 奥村公延千鶴子の父。東京の大病院の定期健診を受けて帰った夜、突如心臓発作に見舞われ、そのまま死亡してしまう。生前はかなりの倹約家だった。相当の好色家で、女郎屋を経営していた頃は、従業員である女郎に手を出したことがある。また千鶴子によると、娘を命名する時も自身の初恋相手の名前から「千鶴子」と名付けたという。
千鶴子の親族
雨宮正吉
演 -
大滝秀治真吉の兄で千鶴子の伯父。少々ボケたところがあり、北枕の方角について一人考え悩む。加えて葬式の準備では、事あるごとに三河での葬式のやり方や作法の違いに「これはこうするんじゃないのかね?」と口を出しては侘助たちを悩ませる。出棺の際に親族を代表して挨拶する。三河では金融業や商事会社などを手広く経営する資産家として有名で、それらの代表取締役を担っている。7人兄弟だったが真吉が亡くなったため、唯一の存命者となった。
綾子
演 - 友里千賀子千鶴子の妹。妊娠中でよく食べる。千鶴子の息子たちと同い年ぐらいの「おさむ」と「てっちゃん」(正しい名前は不明)という2人の息子がいる。
喜市
演 - 長江英和綾子の夫。

演 - 尾藤イサオ千鶴子のいとこ。お通夜の食事の席では酒に酔って管を巻いている。正吉について「金は持ってるけど人の気持ちが分からん人、顔も見たくない大嫌いな人」と内心で嫌っている。

演 - 岸部一徳茂の弟。茂とは対照的に笑い上戸らしくお通夜の食事の席では、隣りに座った茂が何か言うたびに「またシゲがよぉ、クククッ」といちいち笑っている。
黒崎
演 - 佐野浅夫雨宮家の親族。作中では奥村、榊原と共に「三羽がらす」と呼ばれている。善人だが話が長いとのこと。本人によると健康の秘訣は、「キャベツともやしをボウルいっぱい少量の油で炒めて、それを毎日食べること」だという。
奥村
演 - 関山耕司 雨宮家の親族。作中では黒崎、榊原と共に「三羽がらす」と呼ばれている。酒豪で、本人は「日本酒一本です(他の種類の酒は飲まない)」と言っている。
榊原
演 - 左右田一平 雨宮家の親族。作中では黒崎、奥村と共に「三羽がらす」と呼ばれている。
侘助の関係者
里見
演 -
財津一郎侘助・千鶴子夫婦のマネージャー。病院代として侘助から20万円を持たされたが、会計はたった3万5千円足らずだったことから、思わず笑ってしまう。侘助を陰からサポートした。
青木
演 - 津村隆侘助の付き人。葬式の手伝いに来たついでにその準備の様子をスクーピック(16ミリフィルム)に収める。
斉藤良子
演 - 高瀬春奈侘助の愛人で、アイブローの眼鏡をかける。葬式の手伝いにやってきたが大酒を食らって奇声を発し、お通夜の準備で忙しい侘助に自分への愛情確認を迫り、その後も自身で紛失した髪留めを侘助に探すのを手伝わせ、足場の悪い斜面の上に落ちているのを見つけると侘助に取りに行くよう指示し、滑って喪服を汚した侘助が水道で髪下を脱いで洗った後に惨めな下着姿でパンツを履いている姿を見てバカ笑いする。終始自分勝手で承認欲求に飢えている。
葬式に関わる職業の人
海老原
演 -
江戸家猫八葬儀業者。常にサングラスをかけた怪しげな風体だが、侘助夫婦にてきぱきとアドバイスを与え、葬式を成功に導く。それとなくお布施の相場を教える。
海老原の部下
演 - 加藤善博里木佐甫良
住職
演 - 笠智衆浄土真宗の名僧。ロールス・ロイス斎場に乗り付ける。家具装飾の愛好家で、侘助の別荘にある手製テーブルに使われた、フランス製の高級タイルが余っていると聞いて譲り受ける。
猪ノ瀬
演 - 小林薫火葬場職員。山間の閑静な火葬場であり、当日の利用者は雨宮家一組だけだったことから、特別にかまどで遺体が焼ける様子を侘助たちに見物させた。作中では、焼いている遺体が生き返る夢を見ることがあり、実際にガスで点火する時にそれが脳裏によぎるという思いを吐露している。
真吉のゲートボール仲間
岩切のおばあさん
演 -
吉川満子真吉の友人。穏やかな口調の老婆だが、お通夜の食事の席で棺に入った真吉の遺体と対面して大号泣したため一瞬静まり返らせた。
老人会会長
演 - 香川良介真吉のゲートボール仲間。真吉は上記の通り家族の間ではあまり良いイメージがないが、会長たちは、「品があってオシャレで、いつもニコニコしていて、ゲートボールも上手かった」と評している。
老人
演 - 田中春男真吉のゲートボール仲間。お通夜の食事の席では、隣に座る小さい老人の通訳係のように大きな声で他の人の言葉を伝えている。
小さい老人
演 - 藤原釜足真吉のゲートボール仲間。少々耳が遠い。作中では隣に座る老人から大きな声で伝えてもらった言葉に同意、あるいはオウム返しするようなセリフが多い。
近隣の人々


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