お白石持(おしらいしもち)またはお白石持行事(おしらいしもちぎょうじ)は、神宮式年遷宮を構成する祭事の1つ。式年遷宮によって新しく建設された伊勢神宮の正殿の敷地に、白い石を敷き詰める行事である。伊勢の「白石持ち」行事(いせのしらいしもちぎょうじ)の名称で、日本国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(選択無形民俗文化財)に選択されている[1]。
御木曳と同じく一般大衆が参加する[2]。一般の人が正殿を間近に見ることのできる唯一の機会でもある[2]。 伊勢神宮の正殿のある御敷地(みしきち)には、白い石(御白石)と黒みを帯びた石(清石)の2種類の石が敷き詰められているが、御白石は20年に1度の式年遷宮の際に取り替えることになっている[2]。そして、新しい御白石を旧神領である伊勢在住の住民(旧神領民)と日本全国からの公募で選ばれた人々(特別神領民)が御敷地に奉献する行事を「お白石持行事」と呼ぶ[2]。従来、お白石持の奉仕は旧神領民の特権とされていた[3]。 奉仕者はまず、宮川の川原で白い石を拾い集めておく[2]。集めた白石は、内宮へは川曳・陸曳(おかびき)で、外宮へは陸曳で神域へ運び込む[2]。そろいの法被を着て祓いを受けた奉仕者は、新しい正殿の周りに御白石を敷き詰めていく[2]。 御白石を敷き詰める意味として、白が清浄感を表す色であると同時に、白い石を清浄な河原へ行って集めることで、行事に神聖性を持たせているのではないだろうか、と櫻井治男は述べている[4]。 お白石持は、内宮・外宮の新しい正殿がほぼ完成した時点で挙行される[5]。第60回(1973年=昭和48年)は、内宮のお白石持が1973年(昭和48年)8月18日から8月23日、外宮のお白石持が同年8月25日から8月30日までの間に行われた[6]。 第62回(2013年=平成25年)の陸曳は、以下の日程で行われた[7]。内宮のみで行われる川曳は7月26日と7月27日の2日間、旧神領民により執り行われた[7]。 奉献団内宮外宮 お白石持に奉仕する団体を奉献団という。奉献団は旧神領の各町・大字から1団体が原則であるが、分村や枝郷の設置、人口増などにより複数の奉献団を有する町・大字もある[8]。第56回(1889年=明治22年)は83団体、第57回(1909年=明治42年)は77団体、第58回(1929年=昭和4年)は69団体、第60回(1973年=昭和48年)は78団体が奉仕した[9]。これらの旧神領民による団体のほかに、第56回(1889年)は個人奉献34件、小俣村・城田村などから43件の奉献、第60回(1973年)は「一日神領民」による奉献団305団体があった[10]。 奉献団の名称は地名を冠したもののほか、青年会 江戸時代の古書には、衣装に関してほとんど記載されていない[13]。衣装に関する数少ない記録である『寛政遷宮物語』は10代の女子10人ほどが金色の風折烏帽子をかぶり、単衣に薄手の狩衣を着て、金を貼った桶に御白石を入れて奉納した、と記している[14]。これは謡曲『松風』にちなんだ衣装であり、単に装飾が派手になったことを示すだけでなく、当時の伊勢庶民の教養の高さをも窺うことができる一件である[15]。ただしこれは特殊事例と考えられている[13]。
概要
日程
旧神領民7月28日 - 8月11日の金・土・日曜日(8月4日除く)8月17日 - 9月1日の金・土・日曜日
特別神領民7月27日 - 8月12日の金・土・日・月曜日8月18日 - 9月1日の金・土・日・月曜日
奉献団
衣装
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