「おたく」の語義については、ウィクショナリーの「おたく
」の項目をご覧ください。おたく(オタクまたはヲタク)とは、愛好者を指す呼称で、1980年代に日本のサブカルチャーから広まった言葉である。元来の「お宅」は相手の家や家庭を指す敬称の二人称代名詞であるが、ある特定のサブカルチャーの愛好者を指し示す、現在使われている言葉としての「おたく」の起源は、1983年にコラムニストの中森明夫が「コミックマーケット」に集うSFや漫画・アニメなどの若いファン達がお互いを「おたく」と呼び合っていた現象を揶揄して、彼らを「おたく」として分類したことにある。
1989年に発覚した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件において、犯人が収集していたアニメや特撮等の多数のビデオテープや漫画雑誌を、マスコミが事件と関連付けて盛んに報道したことで、世の中でオタクバッシングが起こり、皮肉にもその「おたく」の存在が世間一般に広く知られるようになった。そのため、当初は漫画やアニメ、コンピュータゲーム、アイドルなどの趣味を持つ人たちと、社会性が欠如している人間や対人コミュニケーションが不得意な人等を、十把一絡げにして指し示す否定的な意味合いを持つ言葉として使用されることが多かった。
その後、1990年代後半からのインターネットの普及やアニメや漫画、コンピュータゲーム、アイドルの社会的地位の向上によりおたくへの悪い印象は薄れ、現在では単なる「ファン」や「マニア」と同義で使われることも多い。
歴史
起源最初期のロリコン同人誌『愛栗鼠』『シベール』『幼女嗜好』を創刊し、1980年代前半のコミックマーケットに変質者のコスプレで出没していた蛭児神建。大塚英志は「中森明夫が『おたく』の語をもって外からコミケに集う人々をカリカチュアライズするより前に蛭児神建の異装は既におたく自身による『批評』としてあった」と評している[1]。
「おたく」の元の語源は、相手の家を指す敬称である「御宅」であり、転じて相手の家庭、夫を指す二人称代名詞として使われた[2]。1950年代からの学生運動により、青年層を中心に、相手個人を指す敬称としても使われ始めた。「あなた」や「きみ」と比べて距離をおいた呼びかけ[3]としてその後、若者言葉のような形で一般的に使われるようになった。
「おたく」が「おたく」と呼ばれる以前の歴史は、それほど研究されていない。内田樹は、「SF」から「オタク」へのテイクオフは1960年代後期の少年文化の「過政治化」に対する反動であり、自閉的で自分の立ち位置について客観的に語ることができないとしている[4]。
1982年から放送されたロボットアニメ『超時空要塞マクロス』の中で、主人公の一条輝がリン・ミンメイ相手に「御宅(おたく)」という二人称を使う場面があり、ファンがコミケやSF大会などでこの呼び方を真似たことで[5][6]、アニメファンの中で相手を指し示す際の「おたく」という言葉の用法が広まったとされる。