おいしい生活_(キャッチコピー)
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リニューアル前の池袋西武本店(2007年12月撮影)

おいしい生活(おいしいせいかつ)とは、1982年コピーライター糸井重里が考案、翌年まで用いられた西武百貨店キャッチコピー[1]。糸井が手掛けた同百貨店のキャッチコピーとしては、「じぶん、新発見」(1980年)、「不思議、大好き」(1981年)に次いで3作目に当たる。「不思議、大好き」や本キャッチコピーを契機として、1980年代には一連の「コピーライターブーム」が盛り上がり、糸井の影響を受け広告業界を志した者は多い[2][3]。戦後日本の名宣伝文句を集めた『日本のコピー ベスト500』で第1位に選出(第2位は1984年に同じく糸井が手掛けた新潮文庫の「想像力と数百円」)[4][5]
目次

1 概要

2 反響

3 分析

3.1 「情報を売る」という考え方の脆弱さ

3.2 「消費社会」は「階級」を無くしたか


4 関連項目

5 脚注

概要

衣食住に留まらず、余暇生活を含めたあらゆる場面で、物質的、精神的、文化的に豊かな生活を提案する、日本の広告史に画期をもたらした名コピーであった[1]。また1980年代から1990年代初頭まで「生活総合産業」を標榜していた西武百貨店にとって、都会的な洗練された消費の発信地とするイメージ戦略を展開する上で重要な役割を果たすこととなる[6]

本キャッチコピーのポスター作成に携わったアートディレクター浅葉克己によると、前作「不思議、大好き」の撮影でロケーションに向かう飛行機の中で、糸井が味気無い(つまり「おいしくない」)機内食お茶漬けが出ないことに不満を漏らしたのが契機とされる[7]

糸井にとっては何気無い発想から生まれたようで、「おいしいことに理由はない。好きなものは好きだ」という当時の発言からもその意図がうかがえる[8]

イメージキャラクターの起用に際して映画監督ウディ・アレンに白羽の矢を立て、居住地のニューヨークまで出向いたものの、多忙を極めていたため本人から出演拒否を余儀無くされる[7]。そのため、当時セゾングループ総帥に君臨していた堤清二が、映画館での作品公開を条件に本人と直接交渉したところ見事快諾[7]

当初は広告・コマーシャル撮影浅草江ノ島海岸で行う予定であったが、飛行機嫌いのアレンを慮って全編ニューヨークで撮影を実施することとなる[7]。撮影は各2回分、合計4パターン(上半身のアレンが師から特大の灸を据えられる「お灸編」、公務員に扮したアレンによる「おいしい生活相談員編」、「自動販売機編」、着流し姿のアレンが浅羽の手本を頼りに長半紙に「おいしい生活」と一筆認める「お習字編」)行われ、いずれも巷間に鮮烈な印象を与えるに至った[7]

なお、コマーシャルソングには本キャッチコピーと同名の曲(作詞は糸井と矢野顕子作曲は矢野)が起用され、矢野が1982年6月25日に発表した6枚目のスタジオアルバム愛がなくちゃね。


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