うみへび座
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うみへび座Hydra
うみへび座の恒星
属格形Hydrae
略符Hya
発音[?ha?dr?]、属格:/?ha?dri?/
象徴水蛇[1][2]
概略位置:赤経 08h 11m 23.7617s -  15h 02m 31.3847s[3]
概略位置:赤緯+6.6302376° - −33.6938934°[3]
20時正中4月下旬[4]
広さ1302.844平方度[5]1位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数75
3.0等より明るい恒星数2
最輝星α Hya(1.97
メシエ天体数3[6]
確定流星群4[7]
隣接する星座ポンプ座
かに座
こいぬ座
ケンタウルス座
からす座
コップ座
しし座
てんびん座
おおかみ座(角で接する)
いっかくじゅう座
とも座
らしんばん座
ろくぶんぎ座
おとめ座
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うみへび座(うみへびざ、ラテン語: Hydra)は、現代の88星座の1つで、プトレマイオスの48星座の1つ[2]。約1303平方度と、現代の88星座で最も大きな領域を持つ[5]ミズヘビをモチーフとしている[1][2]。21世紀現在は英雄ヘーラクレースが退治した怪物ヒュドラーがモデルであると紹介されることが多いが、古代ギリシャローマ期の文献ではアポローンと下僕のカラスにまつわる伝承に登場するミズヘビと結び付けられていた[8]

大きな星座だが明るく見える星は2等星のα星アルファルドだけで、あとは3等星以下の暗い星ばかりである。領域内には3つのメシエ天体があるほか、木星状星雲の通称で知られる惑星状星雲がある。2017年8月17日に史上初めて検出された連星中性子星合体に伴う重力波GW170817 は、この星座にあるレンズ状銀河NGC 4993 で生じたものであったとされる[9]
特徴

うみへび座の領域は、西端はこいぬ座いっかくじゅう座と、東端はてんびん座と接する、東西差し渡し102.5°に及ぶ細長い形状をしている[2][3]。20時正中は4月下旬頃とされる[4]が、この東西に長い形状のため、西端では3月下旬頃、東端では6月下旬頃となる[10]。角で接するおおかみ座も含めると14個の星座と境界を接しており、これは88星座中最大である[11]。領域の面積1302.844 平方度も88星座中最大[5]で、これは全天の約3.16%に相当する[注 1]
由来と歴史

うみへび座は、紀元前4世紀の古代ギリシアの天文学者クニドスのエウドクソスの著書『パイノメナ (古希: Φαιν?μενα)』に記された星座のリストに既にその名前が上がっていたとされ、エウドクソスの著述を元に詩作されたとされる紀元前3世紀前半のマケドニアの詩人アラートスの詩篇『パイノメナ (古希: Φαιν?μενα)』では ?δρη (Hydra) という名称で登場する[12]。アラートスは、かに座の南に頭部を置き、しし座の南を通ってケンタウルス座の北に至る、現代のうみへび座とほぼ変わらない蛇の姿を記述している[12][13]。アラートスの『パイノメナ』や1世紀初頭の古代ローマの著作家ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの『天文詩 (: De Astronomica)』では、女性名詞の ?δρη (Hydra) とされたが、紀元前3世紀後半の天文学者エラトステネースの天文書『カタステリスモイ (古希: Καταστερισμο?)』や、帝政ローマ2世紀頃のクラウディオス・プトレマイオスの天文書『ヘー・メガレー・スュンタクスィス・テース・アストロノミアース (古希: ? Μεγ?λη Σ?νταξι? τ?? ?στρονομ?α?)』、いわゆる『アルマゲスト』では、男性名詞の ?δρο? (Hydros) という名称が使われた[2]

うみへび座のモチーフとなった事物について、現代では勇者ヘーラクレースの12の功業の2番目として彼に倒されたレルネーの沼に住む怪物ヒュドラーが挙げられることが多い[2][14][15][16][17]が、エラトステネースの『カタステリスモイ』やヒュギーヌスの『天文詩』など星座の起源と伝承を記した古代ギリシア・ローマ時代の文献の本文では、怪物ヒュドラーとうみへび座を結び付ける伝承は全く書かれていない[8]。実際、『カタステリスモイ』や『天文詩』のうみへび座の項では、怪物ヒュドラーについては全く語られず、アポローンとカラスにまつわる伝承に登場するミズヘビだけが星座の起源として語られている[8][18][注 2]。このように怪物ヒュドラーとうみへび座を結び付ける考えが支持されなかった理由として、ギリシア・ローマの古典の現代語訳で知られる Robin Hard は、伝承では多頭の毒蛇として語られるヒュドラーの姿と星座の長細い姿が大きく異なっていることが原因ではないか、としている[8]

アラートスの『パイノメナ』に付けられた欄外古註(英語版)には、うみへび座の起源についてエラトステネースらとは異なる2つの説が記されていた[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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