いとみち
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いとみち
著者
越谷オサム
発行日2011年8月1日
発行元新潮社
ジャンル中編小説
日本
言語日本語
形態四六判
ページ数253
コードISBN 978-4-10-472303-4
ISBN 978-4-10-135362-3文庫判

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『いとみち』は、越谷オサムによる日本小説[1]2011年8月1日新潮社から刊行された[2]のち、2013年11月1日に文庫化された[1]青森県の高校に通うが、津軽弁訛りと人見知りのせいで友人もいない女子高校生がアルバイト先のメイドカフェで奮闘し、成長する姿を描く[3][4]。タイトルの『いとみち』とは、三味線を弾く際に指にできる糸道のことを指す[3][4]
あらすじ

 人見知りを克服したい気持ちとメイド服への憧れから、相馬いとは青森市内の「津軽メイド珈琲店」でアルバイトを始める。慣れない接客業に苦戦し、更には風俗店と勘違いした客から痴漢被害に遭うなどの苦難を乗り越えるうち、徐々にいとのコミュニケーション能力は向上し、高校で友人ができるようになる。

 一方、いとは祖母のハツヱに手ほどきを受け、14歳の時には津軽三味線の大会ジュニアの部で審査員特別賞を受賞したほどの腕前を持ちながら、自分の演奏する姿を見た恥ずかしさから、久しく三味線から遠ざかっていた。しかし、そのスタイルが亡き母譲りのものであったことを知り、再び楽器を手にする。

 そんなある日、バイト先のオーナーだった成田が青森県警に逮捕される。常連客のひとりが奔走したお陰で存続の危機は回避できたものの、店は経営の立て直しを余儀なくされる。店長や先輩メイドたちが奮闘する姿を目にして、少しでも店に貢献したい一心でいとが発した一言がきっかけで、「メイドによる津軽三味線ミニコンサート」開催に向けて事態は動き出す。
登場人物
相馬家
相馬いと
青森県北津軽郡板柳町に住む高校1年生。小説では身長145cmと小柄。祖母譲りの津軽弁を話すことから同世代と会話が成り立たず、人見知りで引っ込み思案。 その一方、負けず嫌いかつ異様に高い集中力を発揮する性分で、勉学や三味線の演奏には、その能力が遺憾無く発揮される。

相馬耕一

 いとの父。小説ではハツヱの実子。弘前市内にある国立大学の文学部教授。教え子の学生達を自邸に招いたり、いとの友人達を車で送って行ったりする世話好きな性格。

相馬ハツヱ

 いとの祖母。小泊村の出身で、20歳で板柳のりんご農家に嫁ぎ、耕一といとを育てた。

 津軽三味線の名手である一方、エディ・ヴァン・ヘイレンの熱狂的なファン。しばしば民謡とヴァン・ヘイレンの曲をマッシュアップさせた演奏をする。

相馬小織

 耕一の妻でいとの母親。故人。

 弘前市で生まれ育ち、大学在学中に耕一の熱心なアプローチに根負けして交際しだすが、板柳の相馬家を訪れた際、ハツヱの奏でる津軽三味線に魅了され、半ば強引に弟子入りした。やがて耕一との間にいとが生まれるも、乳がんのため32歳の若さで他界。当時5歳だったいとに遺った母親の記憶はわずかだったが、その演奏スタイルや喫茶店でアルバイトをしていた母のメイド服姿を写真で目の当たりにし、亡き母との繋がりを意識するようになる。
津軽メイド珈琲店

工藤優一郎

 店長。標準語を操るため、いとは初め首都圏出身者だと思っていたが、外ヶ浜町蟹田の出身。

 かつて東京の大手飲食店チェーンに入社し、渋谷公園通りの店舗を任されていたが、労働環境の過酷さに耐えきれず退職して帰郷。オーナーの成田に声をかけられ、「津軽メイド珈琲店」の店長となる。はじめは成田や個性の強い幸子や智美といったメイド達の尻に敷かれている存在だったが、逮捕直前の成田から店を譲られ、銀行の融資継続が決まったのを境に、経営者として頭角を現していく。

葛西幸子

 メイド長。自称22歳だが年齢を5歳サバ読んでいる。

 高校を中退して17歳で一人娘・樹里杏を産み、成人する前に前夫と離婚してから独りで育ててきた。「その首もぐど」が口癖であるように同僚メイドに対する言動はガサツだが、その実、母親ならではの観察眼と面倒見の良さを発揮して店を切り盛りする司令塔。幸子が焼くアップルパイは「津軽メイド珈琲店」の看板メニューともなっている。

 いとは幸子に亡き母の面影を重ね、慕っている。

福士智美

 漫画家志望の自称「エースメイド」。工藤・幸子と並ぶ開業当時からのスタッフ。合浦の実家からスクーターで通勤している。

 かつては肥満体のため学校内でいじめに遭った境遇の持ち主で、一念発起してダイエットに励んだ結果、男性を魅了する体型を手に入れた。専門学校を卒業後、いったん就職するも規則に嫌気がさしてすぐに退職。「津軽メイド珈琲店」でアルバイトをしつつ“フクシサトル”のペンネームで週刊少年誌の賞へ応募を続けており、奨励賞を獲ったのを機に本気で上京を目指すようになる。

 店の人気者だが、勤務態度は良くない。また過剰なスキンシップを好み、頻繁にその被害に遭ういとからは「心に中年オヤジを飼う女」と看做され警戒されている。

成田太郎

「津軽メイド珈琲店」の創業者。「オーナー」と呼ばれている。ビーチ・ボーイズの曲を愛聴している。


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