いじめ
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五十嵐かおるの漫画作品「いじめ」については「いじめ (漫画)」をご覧ください。
過去数か月の間に、少なくとも1回以上のいじめを受けたと報告した、13?15歳の割合(2015年)[1]

いじめ(イジメ、虐め、苛め、: Bullying)は、相手に何らかの精神的・身体的な苦痛やストレス、心身疲労を与えるハラスメント行為[2][3]あるいは[4]犯罪行為[5][6][7]である。2019年度(令和元年度)のいじめの認知件数 (日本国内) は、61万2,496件で過去最多となった[8][9]3人の生徒にいじめられている学生に対して、背景に見える周囲の人達は無関心である様子

いじめは、自尊心を損なわせ弱体化させることを目的とした、執念深い、冷酷な、あるいは悪意のある企てによる、長期に亘って繰り返される不快な行為である[10]。2006年度の文部科学省の定義においては、一定の人間関係のある人物から、心理的もしくは物理的な攻撃を受けたことにより、精神的苦痛を感じているものとされる[4]。被害者は人間関係に一生のトラウマを抱えたり、再起不能(引きこもり自殺等)となる場合もあり、殺人罪傷害罪暴行罪強要罪恐喝罪侮辱罪名誉毀損罪不同意わいせつ罪器物損壊罪暴力行為等処罰法ストーカー規制法リベンジポルノ対策法などに該当する犯罪行為である[5]

2001年の調査で、いじめは生徒精神成長に悪影響を及ぼすという分析結果が発表された[11]

当初、いじめは、学校内における生徒間の問題として認知された[12]が、学校内にとどまらず、社会の様々な場所で起こる問題である。

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第4条にて、学校に在籍する児童又は生徒の間でのいじめは禁じられており、同法第25条および第26条において、加害児童等に対する懲戒処分出席停止について明記されている。

人間以外の生物にも見られる。いじめの予防・早期発見・対応等の具体的な対策については、#対策を参照。
概要
いじめ認定の要件

いじめ防止対策推進法の施行以後、教育や司法の場において「いじめ」が議論される場合、基本的に同法の定義が使用される。各種文献において「いじめ」という用語が使用される場合、それが同法の定義する「いじめ」なのか、辞書などにある一般用語としての「いじめ」なのかを区別する必要があり、書かれた時期などにも注意を要する。

学校や第三者委員会が「いじめ」を認定する際には、「立場の互換性がない」、あるいは「力関係の差」が存在することを要件とする記述も散見される[13]。つまり、「いじめる」側と「いじめられる」側がしばしば互いに入れ替わったり、「強い」立場の者が「弱い」立場の者をいじめるという構図にあてはまらない場合には、じゃれあいやケンカなどとみなされる場合もある。なお、ここでいう「強い」「弱い」という言葉は、腕力や発言力などを指すものではなく、あくまでも集団内での「立場」《スクールカースト》を指し、たとえば発言力の強い者がまさにそれゆえにいじめの対象となることもありうる[14]

中学1年生についての国立教育政策研究所追跡調査(2004-2009)[15][16]によれば、半年後まで続くような週1回以上のいじめ事例は半分以下で、一般的イメージとは異なり、いじめる生徒・いじめられている生徒は短期間で入れ替わっており、固定的な「いわゆるいじめられっ子(いじめられやすい子供)」や「いじめっ子(いじめやすい子供)」も存在しないとされた[16]。また、同じ学校・同じ年度の生徒であっても学年が進むにつれていじめの数が大きく増減しており、「いじめが起こりやすい学校・年度」のようなものはなかった。したがって、「いじめが起きやすい学校とそうでない学校、いじめが起きやすい学年とそうでない学年というものが存在しているわけではない」[16]。そのため、「何か特別な問題や背景があるから、いじめが起きる」わけではなく、「そうした問題の有無とはさほど関係なく、いじめは起きうる」「ちょっとしたきっかけで、いじめは起きてしまう、広がってしまう」のが実態とされた[15]小学校においても同様の傾向が確かめられている[16]

ある行為が「いじめ」であるかどうかの判定は極めて困難であり、むしろその区別にこだわり過ぎているという指摘もある。1994年の愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件で自殺した生徒の父は「いじめかどうかは重要ではありません。その行為はいじめではない、と言われたら子供だって安心する。教職員を含めてみんな面倒なことは避けたくて、いじめではないことを心のどこかで望んでいるのかもしれません。でも本来は、仲間はずれにされたり、傷つけられたり、『ウザい』『キモい』『死ね』とけなされたりする行為そのものが問題なはずです。定義が曖昧ないじめという言葉は、教委や学校が責任を逃れるための隠れ蓑になっているのではないでしょうか」と語っている[17]

また、2005年の丸子実業高校バレーボール部員自殺事件では自殺した生徒の母親が裁判をおこすと、事実無根で捏造であるとして加害者とされた側も裁判を起こし、判決では生徒の遺族側の主張は退けられた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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