この項目では、日本の童歌について説明しています。同名のテレビドラマについては「あんたがたどこさ (テレビドラマ)」をご覧ください。
あんたがたどこさは、童歌(わらべうた)の中の手鞠歌のひとつ。正式な題名は肥後手まり唄[1]。舞台となった場所については熊本県熊本市とする説と埼玉県川越市とする異説がある[1]。
歌詞エビをかたどった船場橋の橋柱燈
一般的な歌詞は次のとおり。あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ(もしくは「肥後もっこさ」) 熊本さ 熊本どこさ 船場(せんば)さ船場山[2] には狸がおってさ それを猟師が鉄砲で撃ってさ 煮てさ 焼いてさ 食ってさ それを木の葉でちょいと隠(かぶ)せ
歌詞がタヌキではなくエビになっているものも存在し、熊本政治新聞社『肥後民謡』(1953年)ではこちらが紹介されている[1]。あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ 熊本さ 熊本どこさ 船場させんば川にはえびさがおってさ それを漁師が網さで捕ってさ 煮てさ 焼いてさ 食ってさ
また、九州では「それを木の葉でちょいと隠(かぶ)せ」ではなく、「うまさのさっさっさー」になっている場合が多々あり[注 1]、実際、歌の舞台となっている船場橋(路面電車の停留場名としては「洗馬橋」の表記となっている)一帯でも「うまさのさっさっさー」の歌詞で広く伝わっているため、こちらが原型であるという説もある。
この歌詞でまりつきをする時は、歌詞の「さ」でまりをついた手とまりの間に足を通す。また、最後の「隠せ」ではまりを袴で覆ってしゃがむ。まりが袴から転がり出してしまったら失敗となる。和服を着ていなければスカートで代えることができる。ただしズボンではこれが出来ない。 「あんたがたどこさ」を関東地方の童歌とする資料・研究が多方面からなされている。実際、唄われている歌詞は熊本弁ではなく完全な関東方言である、と古くから研究者の指摘が多い。熊本のことが触れられているだけで、熊本で生まれた童歌ではない、とする熊本の研究家も少なからずいる。 この童歌の発祥地は、武蔵国川越藩(埼玉県川越市)とする説である[3][4]。 「あんたがたどこさ」のような「問答歌」は、幕末から明治時代初期に生まれた手鞠歌の形式である。 太田信一郎
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異説
川越の仙波山は、「古狸」と呼ばれた江戸幕府開祖の徳川家康を祀る「日本三大東照宮」のひとつ仙波東照宮がある[1]。また川越城内には「通りゃんせ」の発祥の地とされている三芳野神社(異説あり)もある。異説の根拠としては肥後の地元住民同士が出身を聞きあうのは不自然で、熊本の船場から来た人に対して川越の子どもたちが「川越の仙波山にも狸がいる」と返答するほうが自然とみる[1]。
これに対し、2016年3月19日放送のNHK『ブラタモリ』で熊本市が取り上げられたときは、熊本市新町付近は堀が作られ、その堀を作ったときの土を盛り上げた土塁を「せんば山」と呼んでおり、そこに狸がいたことが示されている。
なお、この異説の元となっている太田信一郎『童謡を訪ねて』には、この説について「地元川越市の郷土史研究家によって明らかにされています」とのみ説明している[4]が、その出典は明らかにされていない。一方、川越郷土史研究家で川越市史の編纂に当たった岡村一郎は、川越でなく「熊本城下の洗馬山のほうが正しい」としている[5]。 歌の舞台となったといわれる船場町の近くにある熊本市電洗馬橋停留場では、1992年2月に狸像が設置され電車接近時にこの曲が流れるようになった[1]。
地域シンボル
アレンジ・モチーフ・作品への起用
1976年発売のデンセンマン、伊東四朗、小松政夫、スクールメイツ・ジュニア「デンセンマンの電線音頭」に、「それを猟師が?」以下のフレーズが使われている[6]。
外山雄三作曲の管弦楽曲「管弦楽のためのラプソディ」に「あんたがたどこさ」のメロディが使用されている。
林大地
『LIFE!?人生に捧げるコント?』の番組内ドラマ『夜の連続テレビ小説 うっちゃん』オープニング曲として使用されている。
1986年[7]から放送されたヤクルト本社が発売している栄養ドリンク「タフマン」のCMで出演者の伊東四朗が最後に「あんたがたタフマン♪」と替え歌によるサウンドロゴで締めている。このサウンドロゴは日本では2010年代においても広く知られており、2011年に伊東が出演する「タフマン」のCMの製作・放送を再開した際、その理由の一つに「あんたがたタフマン♪」のサウンドロゴと伊東のイメージが強いことが挙げられていた[8]。
ばってん少女隊が2023年に発表したシングル曲「あんたがたどこさ?甘口しょうゆ仕立て?」で、ダンス・ミュージックにアレンジされている[9]。
脚注
注
^ コマーシャルで使われた替え歌の影響説あり。 ⇒熊本の歌資料編
注釈
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