あずみ
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この項目では、漫画作品について説明しています。映画化作品については「あずみ (映画)」を、その他の用法については「あずみ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

あずみ
ジャンルアクション漫画・時代漫画
漫画
作者小山ゆう
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックスペリオール
レーベルビッグコミックス
発表期間1994年14号 - 2008年23号
巻数全48巻、全24巻(文庫版)
話数350話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『あずみ』は、小山ゆうによる日本漫画。長編のアクション時代劇として高い評価を受け、映画や舞台化もされている。
概要

ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて1994年から2008年にかけて連載され、「第1部・完」となった。単行本は全48巻(小学館ビッグコミックス)。引き続いて、幕末を舞台にした続編『AZUMI』が同誌にて2014年まで連載された。

江戸幕府初期、泰平の世を作り上げるため、内乱の芽を摘む暗殺集団の一人として「爺」(小幡月斎)に育てられた少女・あずみの戦いと苦悩を描く。戦国から泰平の世へと移りゆく中で必要とされなくなった武人たちの不満にスポットが当てられており、過渡期ゆえの社会不安が物語のベースとなっている。

作者の小山によれば続編『AZUMI』で舞台を幕末に移したのは、この時代の有名人をあずみが殺し尽くしてしまったことが理由の一つで、一方幕末にはあずみの標的になりそうなのがウジャウジャいるのでそっちに移したという[1]。また「第1部・完」と未完で終わらせた件について後年『漫道コバヤシ』に客演した説明では、これ以上連載を続けても「今後の大きな舞台は島原の乱ぐらいしかなく、それでは年齢が30歳を越えてしまい新鮮さに欠けてしまう」こと。あずみの結末を想像した場合「大量殺戮してきたあずみが、平穏な幸福で終わる結末は考えられない。だとしたら、いずれは幕府に殺処分される絶望的な未来しかない」ため、そこまで描くのは読者も望まないだろうと考え、あえて中途で終わらせたと答えている。

1997年度第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞のほか、1998年には第43回(平成9年度)小学館漫画賞青年一般部門を受賞した。

上戸彩の主演で映画化(2003年、2005年)、黒木メイサの主演で舞台化(2005年初演)された。2015年には続編『AZUMI』が『AZUMI 幕末編』として舞台化された[2]
登場人物
主人公
あずみ
本作品の
主人公。凄腕の美少女刺客。幼いころに小幡月斎により拾われ刺客としての純粋培養で鍛え上げられて育てられ、常人を遥かに超える俊敏さと武術の腕を持つ作中で最強の存在である。月斎が凄腕刺客として育てた10人の子供らのうちの一人だが、彼女はその中でも傑出した実力を持ち、唯一の生き残りである。周りが男の子ばかりの環境で育ったので一人称は「俺」である。
【容姿】
稀有な美少女であり、作中の多くの男性たちからその美しさを指摘されている。普段の髪型はポニーテール。父親が異人というハーフであるため、瞳は青みが掛かっており、頭髪は茶色っぽく、肌の色も透き通るように白い。腕と脚が丸出しの紫のノースリーブの着物を着ており、後に月斎との旅路で南蛮織のマントを買い与えられて以後はその上にそれを羽織るようになり、トレードマークになる。途中からは脚絆を着けて腿だけが露出するスタイルとなる。
【武器】
武器は双頭刃の刀を主に使用しているが、敵の刀を奪って使用する時も多い。補助的に腰に取り付けた4本の手裏剣を使用する。鉤縄も保持しているが、彼女は高い跳躍力で身一つで簡単に木の上など高いところへ登っていくことができるので使用している描写はそれほど多くない。
【戦闘能力】
作中無類の強さを誇り、彼女に勝利できた者はいない。宮本武蔵との果たし合いのみ途中で兵助が割って入って勝敗が明確にならない形で終わったが(ただ、あずみは無傷で、武蔵は左手と左肩を斬られて負傷していた。しかし、あずみは兵助が止めに入らなければ自分は武蔵に切られていたと心中で語っている)、他は全ての戦いに勝利している。一対多勢の時も多いが、どの戦いでもかすり傷一つ負わず敵を全滅させている。作中では特に柳生剣士26人斬りと毘沙門天一味5,60人斬りのことが彼女の強さの語り種になっている。手裏剣は投げ付けられても素手で簡単にキャッチでき、背中に投げつけられても刀で弾いており、彼女にとってはまるで脅威にならない。鉄砲も素早く動き回ってまず当たらず、鉄砲隊を発見すると真っ先に始末に向かう。彼女の足は非常に速いので2発目を撃つ時間的余裕はなく、初弾を外した段階で鉄砲隊は彼女に皆殺しにされることが多い(踏み込んできて手当たり次第に喉笛や後ろ首を刺しまくる)。跳躍力も常人離れしており、簡単に人間を飛び越えることができるため、敵を頭上から斬り付けたり、斬りたくない相手を飛び越えて回避したり、逃げようとした標的の前に飛び降りたりしている。山奥で育った彼女は視力や聴力はもちろん、鳥や獣の動き、虫の音など僅かな変化を敏感に感じ取り、人の気配を察知する能力が常人よりはるかに優れていると作中で解説されている。最終話までずっと処女であり、色仕掛けで敵を倒すことはなく、男も太刀打ちできない卓絶した武術だけで敵を倒していく。美少女なので強姦しようとする男たちも数多く現れたが、強すぎて犯せた男はいない。あずみ当人も月斎の教えに疑問を感じることは増えても、圧倒的な武術の腕を身に着けさせてもらったおかげで男たちに陵辱されずに済んだことは最終盤まで感謝していた。
【性格】
刺客でありながらピュアな心を持つ[3]。初期には月斎の洗脳下に近い状態にもあったが、様々な体験を経て月斎の言っていることに疑問や反発を感じるようになり、次第に自我を形成し、成長後は井上勘兵衛から「心に菩薩を抱いている」と表現されるほど慈愛に溢れた心優しい聖女のような性格になる。親しい者や情を移した者が苦しんでいるのを放っておけない質で、柳生などあずみの命を狙う者たちからは人質作戦といった形でその性格を利用される。また親しい者が惨たらしく殺されると怒りを制御できなくなり、殺した集団を皆殺しにしてしまうことがしばしばある。非常に誇り高い少女で、雪国編ではサディストの静音と忠音の罠にかかって捕らわれの身となり散々に「調教」されたが、どれほど衰弱しようと家畜として餌を食うことは拒否し続けた。家畜化したフリをして油断を誘う手もあったが、そんな真似をするぐらいなら衰弱死する覚悟を決めていた(結局がっちに救出されて助かる)。兵助から使命をやめて自分の専業主婦になることを求められた時も何もせず兵助の厄介になることなどできないと断っている。また身分も身寄りもない女は女郎になるしかないが、女郎は誇りを捨てねばならないとしてなりたがっていない。そのため人殺しが好きなわけではないが使命を続けるしかないようである。誇り高いが高慢さはなく、人当たりがいい。ただ、自分の強さには絶対の自信があり、いたずらに自慢はしないが、自分を狙う刺客や強姦しようと迫る男たちに対しては自分には絶対勝てないので彼らが斬られて死ぬことを前提とした自信満々の警告を発することが多い。子供の面倒見が良く、使命や道中で知り合った子供たちとは大抵すぐ仲良くなっているが、子供が自分に巻き込まれて殺されるのを恐れ長く一緒にはいない。また全編を通して子供を斬ったことはなく、弦太を刺客として送ってきた騙し討ちの一族の頭からも「あずみは子供は殺せんと見た」と分析されている。月斎の洗脳下にあった連載初期の段階でも下谷の村虐殺において赤ん坊を殺すことは躊躇っている(代わりにうきはが赤ん坊を殺害し、他の村の子供たちもひゅうがなどが虐殺したので、彼女は大の男以外は手にかけずに済んだ)。なお女性を殺す描写もほとんど見られないが、西国編では紫苑を斬っているので、こちらは特に禁忌にしているわけではないようである。
【好きな男性のタイプ】
闇の世界でしか生きられない彼女は夢を持つことができないため、夢や理想を持つ男性に惹かれ、陽のあたる存在である彼らを影から守りたがる[4]。本作品では理想や夢を語ることが多い俊次郎、兵助、武信などに惹かれていた[4](ただし、いずれとも性交する関係には至っておらず、処女のままだった)。この傾向は続編『AZUMI』のあずみにも引き継がれており、同作品では新時代への夢を語る坂本竜馬に惹かれ、また双子の俊介も恋愛対象ではないが似たような存在になっていた[4]
【趣味】
自分の指の上で独楽回しするのが趣味で暇つぶしや憂鬱な気分を紛らわせるためによくやっている描写がある。狙った場所に正確に独楽を投げて回すことができ、刀の刃先の上で独楽を回す芸当も可能で曲芸師に成りすますときにはその芸をよく披露している。本人によれば独楽は自作で年季が入っているらしい。
【その他】
江戸時代初期の有名人の多くを彼女が手にかけた。月斎のもとでの「枝打ち」の使命で浅野長政加藤清正を暗殺し、親しくなった豊臣秀頼の望みで彼の自害の介錯を行い、月斎が殺された後は井上勘兵衛や秀頼の無念を晴らすため徳川家康を暗殺し、その後天海のもとでの使命の中で伊達政宗の自害の介錯をしている。あずみの名前は月斎が信濃安曇野から付けたものだが、月斎はあずみをどこで拾ったか覚えておらず故郷かどうかは不明。終盤に天海のもとを離れた後、自分の故郷探しの旅に出て安曇野の異人の隠れ里を訪れたが、そこが故郷であるという情報を得ることはできなかった。しかしそこの異人たちと親しくなり、あずみ当人はそこが自分の故郷だと思うことに決めた。続編『AZUMI』の主人公あずみとの関係は不明だが、本作品であずみが訪れた安曇野の異人の隠れ里が続編のあずみの故郷であると設定されている。本作品と続編のあずみでは、前髪に違いがあり、武器や衣装も一新された。
主要人物
小幡 月斎(おばた げっさい)
あずみをはじめとする10人の子供を幼少より刺客として育てあげた剣の達人。戦によって掛け替えのない仲間たちを亡くした経験を持つ。深く尊敬している天海の命を受け、天下平定のための「枝打ち」をする刺客にするため、あずみたちを拾って育てた。あずみは初期のころは彼の洗脳下にあったが、やがて彼が言ってることへの疑問や反発を強めていき、自我を形成していく。天海からの使命はほとんど果たしたと言っても過言ではないが、使命の中であずみ以外の子供たちは全滅。さらに柳生宗矩の陰謀によって駿府城で捕らえられる。あずみによって救出されたが、彼女とともに追われる身となる。あずみと2人でどこかにひっそりと隠れ住むことを考えるようになったが、その矢先に宗矩率いる柳生剣客集団に橋の上で包囲される。あずみに対して「お前は、どこまでも生き抜くのだ!!」と川に放り出し逃がした後、大勢の柳生剣客を相手に奮戦するも最期は宗矩らによって惨殺された。
飛猿(とびざる)
井上勘兵衛に仕えていた忍者。赤鼻、繋がり眉毛、丸い目、剃り込みと横に跳ねた髪が特徴。あずみに関わった登場人物は敵味方かかわらずほとんど死んでしまう本作品では珍しく、物語初期から最終盤まで登場し続けながら死ぬことがなかった稀有な人物。卓越した忍び技を持ち、あずみには及ばないものの剣や武術の腕も高いので幾多の修羅場をくぐり抜けている。また鼻がとても利く(血の臭いも嗅ぎ分けられる)。初期にはあずみが勘兵衛の主である加藤清正を狙っていたので彼女と敵対関係だったが、月斎が死んだ後あずみは勘兵衛と行動を共にするようになったので親しくなっていく。徳川家康暗殺を狙っての偵察中、徳川家の忍たちに捕まるも、あずみが忍たちを全員斬り捨ててくれたおかげで命が助かっている。その時に彼女の速すぎて刀に血もつかないほどのスピードを目撃し、彼女のことを「恐ろしいほどに強い」と認識を改めた(それ以前は一対一なら負けないと思っていた)。あずみが家康を暗殺する際には松井凛太郎と貢喬助の足止めするサポート役に回った。父のように慕っていた勘兵衛が死んだ後は暫く無気力だったが、天海に出会い、天海のために働こうと決意を新たにし、同じく天海の刺客となったあずみと使命を共にするようになる。やがてあずみが最も気を許す仲間の一人となっていった。天海配下の刺客たちの中ではあずみに次いで強く、仲間を失うことを恐れるあずみも彼とは安心して使命の分担ができたが、あずみほど絶対的な強さではないので羅刹鴉や安部蔵人などの強者には敗れて負傷させられている。その治療のため使命から外れた時期もあった。あずみを見守り続けたがっており、彼女が天海のもとを離れた後も彼女と一緒に行動しようとした。あずみからは友情や信頼は深く寄せられているが、恋愛対象とは見做されていないようで、飛猿もあずみから相手にされないことをわかったうえで陰から彼女を見守り続けているという
[5]
千代蔵(ちよぞう)
お鏡の弟。「庭内」を取り仕切る番人的な存在。大柄だが、耳がまったく聞こえず、まともな言葉もしゃべれず、顔が歪んでいる(何らかの発達障害を抱えていると思われる)。あずみの強さには及ばないものの、作中でも非常に強い人物である。あずみによれば千代蔵は彼女のように自分の身体を素早く動かせるわけではないが、腕力で長刀を振り回す速度が速いのが強さの原因であるという。彼には姉のお鏡が世界の全てであり、お鏡の命令であれば何でも言うことを聞くため、お鏡は千代蔵の武力を元に力をつけ庭内を統括していた。身体は大きいが知能と性格は幼児と変わらず、感情に任せ滅茶苦茶な行動をとってしまうことも多い。お鏡の死後はあずみがお鏡の代わりとなって引き取り、ともに天海の密命を果たしていくことになった。その類い稀な剣の腕により数々の死線を越えあずみの頼れるパートナーとなっていった。あずみは仲間が死ぬことを恐れて仲間に戦いを任せたがらない質だが、千代蔵の腕は信頼して色々任せている。幕間のある道中で柳生宗矩が放った刺客団に襲撃された際、刀を持っていなかったあずみに自らの長刀を投げ与えて無防備となり、あずみはすぐに刺客団を全員斬り伏せたものの、その間に刺客たちに腹や頭部を斬られて致命傷を負い、あずみに抱かれながら絶命した。彼の死がきっかけとなり、あずみは天海のもとを離れて一人旅に出ることになった。
やえ
弟の太助とともに横暴な親方のもとで曲芸師として生活していた。控えめで優しい性格をしている。佐敷三兄弟に親方と弟の太助を殺された後輪姦された。その後駆けつけたあずみたちに保護され、あずみ、ひゅうが、月斎と共に旅をすることになる。ひゅうがに想いを寄せられているが、やえは気づいていない。後にあずみらと別れて母親の住む丹後に向かう。あずみは井上勘兵衛が死んだ後は、残された最後の知古であるやえに会うことだけを生きがいに丹後への旅を始める。やえは結局丹後まで行かず、京で女郎になっており、そこであずみと再会。当初2人は再会を喜びあっていたが、あずみを追って京へ来ていた倉石左近と女郎屋で知り合い彼に好意を寄せるようになり、左近があずみに想いを寄せていることを知ったのをきっかけにあずみを強く拒絶するようになり2人の関係に亀裂が入る。あずみと彼女の命を狙う幕府旗本たちの戦いに巻き込まれ、旗本たちにあずみを誘き出すための人質に取られた。あずみは救出に駆けつけたが、あずみの負担になるまいと自ら舌を噛む。死んだかと思われたが、すぐにあずみと左近が旗本たちを斬り捨てて解放され、舌を噛み切るには至ってなかったので一命を取り留めた。その後あずみと和解し、左近からも傷つけたお詫びとして女郎屋に払った借金の肩代わりの証文を贈られた。左近の想いがあずみにあっても構わないので左近と一緒に暮らしたいと望んだが、左近はやえの制止を振り切ってあずみとの果たし合いに臨み命を落とした。
きく
柳生が放った、親しくなってから騙し討つという暗殺一族の一人。男の体と女の心を持つ。得意技はすり。当初はあずみを騙し討ちにするつもりで彼女の旅に同行していたが、一緒に旅を続けるうちに、あずみの優しさがきくを変えていった。あずみと旅を続けたいという思いと、あずみを殺すよう迫るお頭との間で苦悩し、ついにお頭を殺害して一族から逃亡。以降お頭の悪夢を見てうなされるようになる。「あずみとずっと一緒にいたい」という思いはかなわず、毘沙門天一味の人質となり、青龍らによって散々な暴行を加えられて非業の死を遂げる。その悲惨な遺体を見て怒りに燃えたあずみは毘沙門天一味の本拠に斬り込んで毘沙門天ら5,60人の男たちを皆殺しにした。勘兵衛があずみに人の道を教えたとすれば、きくはあずみに友情を教えた人物であり[6]、あずみの人間形成に大きな影響があった人物だった。
南光坊天海(なんこうぼうてんかい)
徳川家康のブレーン。川越・喜多院の住職。また、天台宗の大僧正でもある。家康に「お坊を知るのがあまりにも遅すぎた…」と評されたという。素性は謎に包まれ、生年はハッキリとしない。関ヶ原の戦いの後、これ以上の大戦を阻止するために月斎に不穏勢力の除去(枝打ち)を行う刺客集団の育成を要請し、そのために月斎はあずみたちを拾って育てた。月斎は天海から枝打ちの指令を受けてあずみたちを使ってそれを行っていく。月斎の死後、柳生に追われながら放浪生活を送る身になっていたあずみと京都で逢い、彼女を庇護した。以降あずみは終盤に千代蔵の死がきっかけで離れるまで天海個人の刺客として活動することになる。その直前に勘兵衛の配下であった甲賀忍者の飛猿とも逢い、彼も刺客として召抱えた。飛猿は勘兵衛の死後無気力になっていたが、天海のことを「徳川や豊臣といったものを超越した、はるかに高いところから天下のことを考えている」と評価し、彼のために働くことを決めた。将軍秀忠やその側近の柳生宗矩からは疎まれる存在で、天海の抱える刺客たち(あずみや飛猿ら)や僧兵団は、各地で柳生剣客団と死闘を繰り広げることになる。
井上 勘兵衛(いのうえ かんべえ)
加藤清正の側近。幼いころに両親と姉を徳川家康に惨殺され、その復讐に生涯を捧げる。あずみによって主君の清正を討たれ、旗頭と仰いだ豊臣秀頼も失ってしまう。大坂城落城の際には、徳川本陣に単独で斬り込み、家康に届くところまで単身で突進をしたが、相手方の体当たりにより、灯りの火に突っ込み、身体に火が燃え移ってしまう。半身を炎に巻かれながら射た矢は家康に届くことは無かった。あずみによってその場を助け出され火傷の治療を受けることになる。月斎の教えに迷いが出ていたあずみに「世のためではなく自分の意志で守るべき存在のために戦え」と人の生きる道を教えた[7]。その後は勘助という偽名を名乗って駿府の小野忠明のもとで下働きとして働き、家康を討つ機会を狙っていた。月斎が死んで当てのない身となったあずみは、生き方を教えてくれた勘兵衛に会おうと彼がいる駿府へやって来て彼と行動を共にするようになる。家康の側近である本多正純が忠明の道場を訪れた際に、素性を見抜かれる。松井凛太郎と木刀での一騎討ちをさせられ、両腕を折られ、刀を握ることも出来なくなったが、悲願であった家康への復讐は、あずみが彼の代わりに家康を打ち取ることによって果たされた。これを見届けた後、生きる目的を終えた勘兵衛は、あずみに殺されることを願い[6]、主君清正の仇として、あずみに勝負を挑み散って逝った。仕えていた飛猿によって埋葬された。史実では加藤清正の家臣に井上勘兵衛吉弘がいるが、本作品の井上勘兵衛が彼なのかどうかは不明。
柳生宗矩(やぎゅう むねのり)
将軍剣法指南役で2代将軍徳川秀忠の参謀役として権勢を誇る。柳生新陰流の実質的な支配者で多くの弟子たちを擁する。秀忠に実権を掌握させるため、あずみを家康暗殺に駆り立てるべく月斎を惨殺。その後計画通りあずみが家康を討つと用済みになったあずみを消すため柳生新陰流の弟子たちや養っている様々な技を持った各地の一族を次々と刺客としてあずみに差し向ける。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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