赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)」
赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)」模型
所属宇宙航空研究開発機構(JAXA)
主製造業者NEC東芝スペースシステム
公式ページ ⇒あかり(ASTRO-F)プロジェクトサイト
国際標識番号2006-005A
あかり(第21号科学衛星ASTRO-F)とは、日本の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部(旧・宇宙科学研究所)が打ち上げた赤外線天文衛星である。開発・製造はNEC東芝スペースシステムが担当した。別名はIRIS(InfraRed Imaging Surveyor)。2006年2月22日にM-Vロケット8号機によって内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。
期待される観測成果として
銀河の起源と進化の謎を解明
恒星の誕生と最期を調査
褐色矮星の探索
太陽系外惑星系の発見
彗星の発見
などがある。後述するように、太陽系内の小惑星観測でも成果を上げている。 「あかり」は掃天観測による、赤外線天空地図の作成を主目的として開発された。掃天とは、望遠鏡の向きを変えながら空を舐めるように観測し、それを合わせて一枚の大きな画像を得ることである。つまり「あかり」とはスキャナのようなものと考えてよい。 「あかり」と同時に稼働している赤外線天文衛星としてはスピッツァー宇宙望遠鏡があるが、こちらは「あかり」とは異なり、空のある一点を詳細に観測(指向観測
概要
「あかり」は地球の昼夜境界線上を廻る太陽同期軌道に投入され、運用される。この軌道上では、地球周辺で最大の赤外線発生源である太陽を常に真横に見ながら飛ぶことができるため、観測条件を一定に保ったまま、かつ太陽に目を向けず掃天観測を行うという目的に適う。
目標寿命は3年であったが、打ち上げから5年を超えて運用された。2011年5月24日以降はバッテリーの蓄電量が低下したことで、日陰での電力供給ができなくなった[1]。2011年6月から停波に向けた運用が行われ、11月24日(午後5時23分)停波作業を実施し、同衛星の運用を終了した[2]。2023年4月11日には北大西洋上空で大気圏再突入した。[3]。
地球に送信された観測データの分析はその後も続けられている。2018年12月17日には、JAXAと神戸大学(惑星科学研究センター)、東京大学大学院理学系研究科からなるの研究チームが、小惑星帯にある複数のC型小惑星に、含水鉱物の存在を示唆する特徴を捉えたとの観測結果を発表した[4]。
後継機となる赤外線天文衛星としてはSPICAが提案されている。 FIS (Far‐Infrared Surveyor)。衛星の主目的である掃天観測に用いるために搭載されたが、分光分析も可能である。2台の検出器を搭載し、さらにフィルターを用いることで、50–80 µm、60–110 µm、110–180 µm、140–180 µmの波長帯に対応する。 IRC (InfraRed Camera)。主として指向観測のために搭載されたが、掃天観測にも用いることができる。FISをスキャナとするとIRCはデジタルカメラである。3台のカメラシステムからなり、1.7–5.5 µm、5.8–14.1 µm、12.4–26.5 µmの波長帯に対応する。 打ち上げ後、太陽センサが太陽を認識できないというトラブルに見舞われた。このセンサを用いる姿勢制御ができないことから、直後の軌道修正も危ぶまれたが、取り急ぎ、太陽電池の出力を観察することで大まかな太陽の方向を推定してしのいだ[5]。その後、地球センサとジャイロを用いた姿勢制御に移行した[6]。さらに別の太陽センサも不具合を起こしたが、こちらは星を捉えるセンサで代替することになった[7]。
搭載観測機器
遠赤外線サーベイヤー
近・中間赤外線カメラ
打ち上げ時のトラブル
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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