近代の日本では、明治の文明開化の時期に西周(にし あまね)によって『百学連環』という日本初の百科事典が作られた。他に小中村清矩らの尽力で成立した『古事類苑』がある。1879年、当時の文部省により編纂が開始され、後には神宮司庁が引き継いで1914年に完成された。各時代の事物についての古文献を集成したため、資料的価値が高い。
明治末には三省堂『日本百科大辞典』(全10巻、齋藤精輔の編纂で1908年刊行開始、1919年完結)が、昭和初期からは平凡社『大百科事典』(全28巻、1931年刊行開始、1934年完結)などが発刊された。新たに「辞典」ではなく「事典」という語を作り出して書名に使用したのは、この平凡社のものが最初で、以後「百科事典」という漢字表記が一般化する。さらに昭和期の高度経済成長を経ると1960年代頃には各家庭に分冊の百科事典が置かれているのは珍しい風景ではなくなり、大衆化を果たした。この時代、百科事典はもっぱら応接間の飾りやステータスシンボルとしての役割を果たしていた。もっとも場所を取ることもあり、百科事典ブームが終息した後では大部の百科事典は余り家庭では歓迎されなくなり、廃棄処分されることが多くなった。
百科事典と類似の出版物として、『現代用語の基礎知識』のような流行・世相をふんだんに取り入れた時代風俗を映す年刊の資料集的なものも市場に現れるようになった。のちに『イミダス』『知恵蔵』という同コンセプトの年刊資料集が現れ、この三誌が鼎立している(『イミダス』『知恵蔵』は、インターネットの普及に伴う販売部数の減少により2007年版を持って休刊することが決定している)。
1980年以降は、コンピュータの普及に伴い、百科事典はCD-ROMなどでコンピュータソフトウェアとしても出回るようになった。2000年頃からは、インターネットの普及に伴い、ウェブ版も作られるようになってきた。ウィキペディアもその一つである。2005年現在、携帯電話・PHSのウェブブラウザでアクセスできる百科事典も存在しており、誰でも、使いたい時に、どこでも百科事典の知識にアクセスできる環境になりつつある。紙媒体の百科事典は、刊行後時間が経つと時事的な内容に関しては記述が陳腐化してしまいがちであるが、ウェブ版の百科事典では、項目内容の随時更新が可能であり、改訂が容易である。また、ウェブ版およびCD-ROM等の電子媒体を用いた百科事典は、検索機能などの使い勝手が紙製の書籍より一般的に優れている。
一方で、ウェブ版の百科事典の新しい潮流のひとつである、ウィキペディアなどの「誰でも」執筆や編集に参加できることを特徴とするプロジェクトに関しては、従来の百科事典のように専門家や研究者が編纂する体系的書物とは性質が異なるため、「百科事典」を自ら名乗ることは内容の信頼性に対して誤解を招くという批判がされている[3][4][5]。同時に、多くのサーヴィスが無料で提供されていることから伝統的な出版業者にとって経営上の不利益をもたらすという指摘もなされており[6]、『ブリタニカ』や『ラルース』といった伝統的な百科事典は書籍と同時にオンライン版を展開するなど、新たな対応に着手している。
日本語
世界大百科事典(平凡社) - 書籍、CD-ROM、 ⇒Internet(5千円/年)
マイペディア(平凡社) - 書籍、CD-ROM、電子辞書、メモリーカード、インターネット
日本大百科全書(小学館)-「ニッポニカ」書籍、CD-ROM、電子ブック、Internet(18,900円/年)、i-Mode(2500円/年)
大日本百科事典「ジャポニカ」、万有百科事典「ジャンル・ジャポニカ」 - いずれも小学館、書籍
ブリタニカ国際大百科事典(ブリタニカ)- 書籍、CD-ROM、 ⇒Internet
エンカルタ(マイクロソフト)- CD-ROM、 ⇒Internet(1万5千円/年)
ポプラディア(ポプラ社)- 書籍、DVD-ROM、 ⇒Internet
日本語以外
Encyclopadia Britannica(ブリタニカ百科事典) - 英語
Encyclopedia Americana(アメリカ大百科事典) - 英語
La Grande Encyclopedie(大百科事典) - フランス語
Brockhaus Enzyklopadie(ブロックハウス百科事典) - ドイツ語
Enciclopedia Italiana(イタリア百科事典) - イタリア語
Enciclopedia universal ilustrada europeo-americana(欧米国際教養百科事典) - スペイン語
Большая Советская Энциклопедия(ソビエト大百科事典) - ロシア語
Большая Российская энциклопедия(ロシア大百科事典) - ロシア語
《中国大百科全?》(中国大百科全書) - 中国語
年刊の用語事典
現代用語の基礎知識(自由国民社)
イミダス(集英社)
知恵蔵(朝日新聞社)
架空の百科事典
エンサイクロペディア・ギャラクティカ - SFにしばしば登場する銀河大百科事典。アシモフらの作品で取り上げられている。
宇宙完全大百科 - ドラえもんの道具の一つ。