目的による分類
侵略戦争は敵の領土に侵攻し、積極的に敵を求めてこれを攻撃、獲得した都市、領域を占領する攻勢作戦の方式をとった戦争である。戦術的には機動攻撃を行い、獲得した地域や拠点はこれを占領する。
防衛戦争は侵略してくる敵に対してこれを破砕し、自らの領土や財産などを守るための防勢作戦の方式をとった戦争である。戦術的には各種防御を行い、進攻する敵を排除する。
宗教戦争とは主に宗教的(イデオロギー的)な組織による戦争である。熱狂的な信仰者はしばしば確信的な動機を持つため、政治的な外交交渉による解決が不可能な場合がある。また殉教の思想が戦闘員に普及している場合は、より積極的、好戦的になる傾向があるため、敵対勢力に対する攻撃が無差別テロなどに結びつく危険性がある。
「自衛戦争」「予防戦争」「制裁戦争」などと類別されることもあるが、これには当事者の主観の入り込む余地が大きく、客観性に欠ける分類になる傾向がある。
フランスの軍事史学者カステラン(Georges Castellan)の歴史的な観点から見れば以下のように分類できる。
人類黎明期の戦争
部族または種族社会の戦争
地域国家時代の戦争
都市国家時代の戦争
古代帝国時代の戦争
中世の戦争
前期近代の戦争(宗教戦争、民族主義戦争、植民地戦争など)
後期近代の戦争(第一次世界大戦までの戦争、第二次世界大戦までの戦争)
戦争史において作戦地域の拡大、交戦兵力の増大、必要な兵站能力の上昇などによって、戦争はその規模と複雑性を徐々に増大させてきた。その結果、
ある交戦団体が政治目的を達成するために他の交戦団体に対して武力を行使する戦争(war)
地域的、時間的に別の複数の相互に関連ある作戦によって構成される戦役(campaign)
任務を達成するためにある比較的に大規模な部隊が連続的に行う軍事行動である作戦(operation)
比較的に大規模な部隊が作戦において時間の余裕を持って、または地域を保持するために行う戦闘行動である会戦(battle)
任務を達成するために戦術的な単位部隊が行う戦闘行動である戦闘(combat)
と規模に応じて段階的に整理して理解されるようになってきた。
戦争は人間社会における対立によって生じるものであり、何らかの意志や理由を伴う。しかし戦争の原因についての一般理論は未だ完成されていない。その発生の過程にはさまざまな要因、誘因、環境が有機的に起因するは確かであり、無政府状態、勢力均衡、攻撃・防御バランス、好戦的イデオロギー、ナショナリズム、誤認などの多くの理論が提唱されている。ここではいくつかの戦争の原因として考えられている学術考察または理論について述べる。(戦争哲学をも参照)
国際政治学ではまず国際社会において戦争が生じる理由は国際政治は無政府状態(アナーキー)であることがまず挙げられる。すなわち国際政治には国内政治のように中央政府のような集権体制が不在であり、紛争の平和的解決が強制できない。従って各国は自助努力を行う必要性に迫られる。第二に情報の不完全性がある。つまり戦争を回避するために必要な情報が必ずしも入手できず、例えば軍事情報についてはしばしば軍事機密によって秘匿されるために合意達成が確認できず、ここに猜疑心が生じる可能性がある。そして三つ目の原因として国内政治と国際政治の相互作用の関係が挙げられる。国家政策は国内政治と国際政治の双方向の作用によって形成されるものであり、つまり国内的に非戦の方針であったとしても国際的な政治的影響などによって戦争に踏み切る可能性がある。[4]
軍事史上の戦争を調べて、その戦争を開始する直接的な要因に注目して統計化すれば大まかに直接的な不満、国内的な混乱、軍事的な優位、軍事的な劣位、以上の四つに分類できると言われる。[5]
長期的な不満とは領土問題、国境問題、地方の独立要求など、長期的に慢性化した不満を指す。この例としては日露戦争、パレスティナ問題、中東戦争などが挙げられる。
国内的な混乱とは国内の民族間対立、反政府運動など、国内における諸勢力の対立による収集不可能な事態を指す。この例としてフランス革命、ルワンダ内戦などが挙げられる。
軍事的な優位とは、軍事力が非常に優位にあると認識し、戦争を簡単に解決できると考えることである。政府や世論にとってその認識が戦争開始の判断材料となる場合があるが、その優位の認識が実際の軍事力を把握していない現実性のないものであった場合、開戦しても予想通りの戦果を挙げることができず、戦争が長期化、悪化する可能性が高い。この例として冬戦争、独ソ戦、朝鮮戦争、イラン・イラク戦争が挙げられる。
軍事的な劣位とは、軍事力が非常に劣位にあると認識し、先制攻撃だけが残された手段であると考えることである。この認識によって政府や国民が恐怖や焦りに支配され、軍事的優劣や戦争遂行の見通しを忘れてしまい、戦争開始を決断する場合がある。この例として奴隷反乱、インディアン戦争、太平洋戦争などが挙げられる。
世界的な大国が存在することによってその統一的な影響力を用いて国際秩序を安定化させる「単極平和論」が存在する。このような国際体制においては反抗できる勢力がそもそも存在しないため、戦争が発生する可能性を大きく低減できる。また反抗勢力を圧倒することによって覇権国家も政治的目的を達成するために軍事力を行使する必要がなくなる。ただしこの場合、属国群が長期的な不満を覇権国家に対して形成する危険性がある
また勢力が均衡する二つの大国が互いに拮抗する場合、戦争が発生しにくいとする「双極平和論」も論じられる。ただし、この理論は不確実性による誤認・誤算によって戦争が勃発する点に注目し、双極であれば相互に相手の動向により的確に対応できるようになるため、安定的に勢力が均衡する可能性を論じている。