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国際法における戦争

戦争に関する国際法には大きく二つの体系がある。軍事力の行使が合法かどうかを定めている「開戦法規(jus ad bellum、ユス・アド・ベルム)」と、戦争におけるさまざまな行為を規律する「交戦法規(jus ad bello、ユス・アド・ベロ)」の二つである。前者は国連憲章が基本的に根拠になっており、後者は「戦時国際法」「武力紛争法」「国際人道法」とも呼ばれ、その主な根拠となっている条約にジュネーブ条約などがある。一般的に戦争犯罪と呼ばれる行為とは、戦時国際法に違反する行為を指す。(極東国際軍事裁判におけるA級戦犯はこの戦時国際法とは無関係である)また戦時国際法は作戦領域から、陸戦法規、海戦法規、空戦法規に分類されることもある。[17]


開戦法規

伝統的国際法においては、戦争は国家の権利であったが、現代国際法においては武力行使の禁止に伴い、戦争そのものが禁止されている。具体的には,1928年のパリ不戦条約(ケロッグ=ブリアン条約)および1945年の国連憲章2条4項により、武力行使は違法化された。ただしパリ不戦条約では実質的な紛争解決機能が盛り込まれなかったために第二次世界大戦が勃発し、そのため国連憲章が改めて定められた。国連憲章において国際社会の平和と安全が破壊される違法行為があれば、集団安全保障体制で場合によっては軍事的措置を講ずることも定められた。また国連加盟国は個別的、集団的自衛権の行使が認められている。すなわち現代における戦争を行う原則は以下の通りとなる。
国家の自衛の場合(同51条)。

安全保障理事会において認定された「国際社会の平和と秩序への脅威」に対する強制行動(第七章)

地域的取極や地域的安全保障枠組みにおける強制行動(第八章)。


戦時国際法

戦争においては無制限の暴力が交戦国によって行使されるが、しかし現代の戦時国際法においては「軍事的必要性」と「人道性」の原則がある。軍事的必要性はさまざまな軍事作戦の遂行に不可欠な行動などを正当化する原則であり、一方で人道性とは最小限の人命損失、不要な破壊、文民に対する攻撃、過剰な苦痛などの軍事作戦にとって不適切な行動を禁止する原則である。またこのほかにも戦時国際法においては攻撃目標、戦闘方法、非戦闘員の対応、中立国との関係などが定められており、軍隊の各級指揮官や部隊の戦闘行動を規定している。この戦時国際法を違反することは、国際社会からの非難を受けることや、責任者が戦争犯罪に問われることなどによって処罰されることになり得る。(戦時国際法を参照)


比喩表現

激しい対立や競争を意味する比喩的な表現として使われることがある。例として交通戦争受験戦争等。


脚注^ 本郷健『戦争の哲学』(原書房、1978年)46項―47項
^ Field Manual 100-5, Operations, Department of the Army(1993)
^ 防衛大学校軍事学研究会『軍事学入門』(かや書房)98項
^ 猪口孝、大澤真幸、岡沢憲芙、山本吉宣、スティーブン・R・リード編『政治学事典』(弘文堂、平成12年)657項 - 658項
^ ジェイムズ・F・ダニガン、ウィリアム・マーテル著、北詰洋一訳『戦争回避のテクノロジー』(河出書房、1990年)37項
^ 防衛大学校・安全保障学研究会編『安全保障学入門』(亜紀書房、2005年)24項―25項
^ 栗栖弘臣『安全保障概論』(BBA社、1997)116項―119項
^ 防衛大学校・安全保障学研究会編『安全保障学入門』(亜紀書房、2005年)25項―27項
^ 防衛大学校安全保障学研究会『最新版 安全保障学入門』(亜紀書房、2005年)31項―32項
^ 栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997年) 131項 - 133項
^ リデル・ハートは『戦争に関する考察(Thoghts on War)』において戦争の原因は突き詰めれば心理的なものであると考え、全感覚(あらゆる方面における知覚)を用いて戦争を理解しなければ、戦争を防止する展望は持ち得ないと論じた。松村劭『名将たちの戦争学』(文春新書、2001年)18項を参照
^ 古賀斌『戦争革命の理論』(東洋書館、1952年)128―139項
^ 戦争哲学の前提として戦争の原因論はその性質から観察者の哲学的・政治的・歴史学的・法学的な立場やバイアスなどに大きく関わる。例えば決定論の立場で戦争の原因論を考察した場合、あらゆる要因がその戦争の発生を決定付けているために人間は本質的に戦争に責任を持つことができないということとなり、原因は起因したそれら諸要素となる。
^ 国際政治学において侵略と認定する条件として、第一に武力行使、第二に先制攻撃、第三に武力による目的達成の意思、が挙げられており、自衛や制裁などの免責理由がないこととして価値中立的な定義としている。ただし、侵略の条件に「意思」が挙げられていることはこの定義の法律的性質を現すものであり、ある特定の価値観が存在していると指摘できる。そのため、軍事上の事実的行為として侵略は武力の先制使用であると考えられている。服部実『防衛学概論』(原書房、1980年)33項―34項
^ 防衛大学校・安全保障学研究会編『安全保障学入門』(亜紀書房、2005年)182項の『軍事力によるエスカレーションの具体例』の図、及びジェイムズ・F・ダニガン、ウィリアム・マーテル著、北詰洋一訳『戦争回避のテクノロジー』(河出書房、1990年)32項―36項を参考とした。
^ 防衛大学校・防衛学研究会『軍事学入門』(かや書房、2000年)及びジェイムズ・F・ダニガン著、岡芳輝訳『新・戦争のテクノロジー』(河出書房新社、1992年)などを参考にし、主要な闘争の局面について整理した。
^ 防衛大学校・防衛学研究会『軍事学入門』(かや書房、2000年)52項―53項


参考文献

防衛大学校・防衛学研究会『軍事学入門』(かや書房、2000年)

防衛大学校・安全保障学研究会『安全保障学入門』(亜紀書房、2005年)

服部実『防衛学概論』(原書房、1980年)

本郷健『戦争の哲学』(原書房、1978年)

栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997)

ジェイムズ・F・ダニガン著、岡芳輝訳『新・戦争のテクノロジー』(河出書房新社、1992年)

ジェイムズ・F・ダニガン ウィリアム・マーテル『戦争回避のテクノロジー』(河出書房新社)

小沢郁郎 『世界軍事史』人間はなぜ戦争をするのか 同成社 ISBN 4886210392

内山正熊 『外交と国際政治』慶應義塾大学法学研究所


関連項目

ウィキポータル 戦争



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki