2008年度の本試験
「世界史A」第2問問9(原子力発電や核実験について正しい選択肢を4つのうちから1つ選ぶ問題)に関して河合塾は、「アメリカ合衆国のスリーマイル島で、原子力発電所の事故が起こった」という選択肢を正答として扱う問題があったのに対し、岩波書店の「世界史年表第2版」や山川出版社の「世界史大年表第5版」では、誤答とされる選択肢「日本とアメリカ合衆国は、1963年に部分的核実験停止(禁止)条約に調印した」について、日米ともに1963年に調印したとの記載があることから、4つある選択肢の中に正答が2つあるのではないかとする質問書を大学入試センターに送付した。河合塾は当初、日本が1964年に条約を批准したことから「誤答」としているのかもしれないが、選択肢にある「調印」は1963年であるため正しいはずだと主張していた。これについて大学入試センターは21日、両方の選択肢をともに正解とし、該当科目を受験した生徒に対して陳謝した。採点が完了している解答用紙については、採点をやり直すという。センター試験の出題ミスは2002年以来で、12件目となる。
「英語」第5問Cにおいて、問題文が「次の漫画の内容に最も近いものを、下の(1)?(4)のうちから一つ選べ。」となっているにもかかわらず、選択肢が実際には右のページにあったことが22日に判明した。大学入試センターは、解答上は問題ないとして、特別な措置を取らない方針を示している。
「地理A」「地理B」の共通問題で校正ミスがあったことを、大学入試センターが22日に発表した。解答自体に影響はないため、センターは特別な措置を取らない方針を示している。出版社からの指摘で判明した。ミスがあったのは、中国・四国地方にある4都市の農業と経済に関する指標の中から、広島市の指標を選ばせる問題で、「農業産出額」の単位を「千万円」とすべきところを「億円」としていた。
倫理、理科総合B、情報関係基礎の計3科目で、試験実施の際に受験生に対して問題の訂正が行われるなど、上記の出題ミス・校正ミスを含め、センター試験の点検体制の不備を指摘する声も上がっている。
英語のリスニング試験では、ICプレイヤーの不具合によるトラブルが開始年度から毎年報告されている。2006年度は451人、2007年度は381人、2008年度は175人の受験生が再テストを受けることになった。リスニング試験に関しての一定確率でのトラブルはセンター側としても想定済みの事態であり、試験当日における対応マニュアルなども試験監督者に渡されている。
その他、機器の不具合以外のトラブルで再試験が認められる例が何件か報告されている。
2008年度の本試験
日本文理大学の受験生179人の教室内で、試験開始5分後に、受験生の足元のバッグに入っていた携帯電話の着信音が鳴りだした。試験監督者はバッグを会場の外へ持ち出したが、約30秒間鳴り続けた。大学入試センターは携帯電話の持ち主を除く残りの受験生全員の再試験を認めた。なお、この行為はセンター試験の受験の注意事項に書かれている「試験開始時間中に携帯電話や時計の音(着信・アラーム・振動音など)を鳴らすこと」の不正行為に該当する。試験開始前には口頭で受験の注意事項の説明があるため、この受験生は注意事項を守るのを怠っていたことになる。
成蹊大学では、試験中に大学内の全教室で約5?30秒間停電した。これは節電のため自動的に消灯されるシステムによるもので、大学側がこのシステムを事前に解除しておくのを忘れた。停電している間教室はかなり暗くなったとみられるが、幸いパニックに陥る受験生はいなかったとされている。この大学で受験した855人が再試験の対象となった。
横浜国立大学では、試験を行っている教室の近くに物品販売車が停車し、約5分間、客集めの為の音楽を流した。問題が聞き取れなかった可能性もあり、この教室にいた受験生1人の再試験を認めた。
センター試験では、前身である大学共通一次試験を含めて過去に出題した問題、いわゆる過去問を再度出題したことはない。これは、問題を解いた経験がある受験生と、その経験がない受験生とで不公平が生じるのを避けるためである。加えて、教科書に載せられた題材も出題しないことが慣習となっている。これも過去問と同様に、履修した経験で不公平が生じるのを避けるためである。
しかし、問題を作成する過程で、センター試験や他の大学の過去問、模擬試験、教科書などと題材が重複していないかを点検する作業に、膨大な時間と労力を割かれる状況が年々深刻化してきた。また一方で、センター試験の問題は、各大学が入試問題を作成するときに参考資料とすることが想定されているため、学習指導要領に基づいた良質な問題を出すことが求められており、年々少なくなる題材から良質な問題を作成することは限界に近付いていた。
このような状況を憂慮した大学入試センターは、文部科学省や国立大学協会などと協議したうえで、過去問の活用を行う方針を固めている。