2006年5月25日、大学入試センターは1984年度以降23年間、解答用紙のマークシートに受験番号などをマークし忘れた受験生の答案でも0点にせずに、受験者を割り出して採点していた事実を明らかにした。
受験番号のマーク漏れなどがあると、電算処理でエラーが出て採点できない。センター試験の解答用紙は、模擬試験などでよく用いられる冊子型にはなっておらず、試験ごとに解答用紙が配布される仕組みになっている。そのためセンターでは、解答用紙に割り振られたコードや番号から受験者を割り出すことができないため、解答用紙に記入された名前や、座席順などから受験生を割り出し、手作業で受験番号を入力してきた。受験番号のマークミスなどがあった際の措置について、センターの公式サイトでは「個人が特定できた場合に限り、採点します」と説明していたが、実際には全員を救済してきた。一方、受験案内では「受験番号が正しくマークされていない場合は、採点できないことがあります」とだけ記している。
共通一次試験は受験番号の記入ミスを、1979年度から5年間は採点せず一律0点としていた。しかし、「一発勝負の重要な試験であまりに酷だ」との声が上がり、センター内に委員会を設けて検討した結果、救済することを決めたのである。センターでは「高校3年間の学習到達度を測るという趣旨も考慮し、解答とは異なる部分のミスに限定して教育的配慮をした」と説明している。
この救済措置について当時、文部科学大臣を務めていた小坂憲次は、「何年も受験のためにがんばってきた努力を、たった1つのマークミスですべてを失わせるのは、受験者の大半が現役生であることを考えるとあまりにも酷過ぎる」と、センターの対応に理解を示した。一方で文科省は「大学受験生を大人とみて自己責任を負わせるべきなのか、それとも子どもと見て手を差しのべるべきなのか、判断が難しい」とコメントしている。
なお、2007年以降の試験については救済について明示されるようになった。受験科目が複数ある教科(外国語を除く)については、採点者が受験者の回答科目を半ば推測的に判断することになるため、受験科目欄の塗り忘れを救済していない。ただし外国語は、別冊子配付希望を出していない受験生に限り「英語」とみなして採点を行う。同様の理由で、大問ごとに解答欄が設けてある科目(数学など)の解答欄を間違えた場合など、答案に直接関係のある部分のマークミスについては、実際にマークされた内容のまま採点が行われる。一方、答案に直接関係しない「試験会場コード」「受験番号」のマーク漏れ・マークミスは、個人が特定できた場合に限り救済が行われる。[3]
とはいえ受験場では受験科目欄のマークミスがないように何度も注意を喚起するように試験官用マニュアル(試験官が当日会場で受験生に注意事項などを伝達する台詞を書いた台本のようなもの)に記載されており、事実それに従って何度もの注意喚起がなされているのも事実である。
英語(リスニング)について受験生ひとりに一台ずつ配られたICプレイヤーあらかじめイヤホンが差し込まれた状態で配布されたICプレーヤー(開封前の様子)
2006年度から「外国語」で英語を選択した受験生には、「英語(リスニング)」の受験が必要となった。これは、「高校生は読み書きだけでなく、実用的な英語を身につけてほしい」という大学側の要望がある。当初は各会場のスピーカーで音声を流す案も検討されたが、設備面の問題や条件を均質にする配慮から、メモリーに録音された音声を再生するICプレーヤーによる「個別音源方式」に決まった。ICプレーヤーによるリスニング試験は世界初である。ただし、特殊なスピーカーを使用すれば、各試験会場の条件を均質化することができる、との意見もある。
当初、大学入試センターは、ICプレーヤーについて、「メーカーが出荷前に1台ごとに振動検査を行い、電池も新品を入れているため、途中で動かなくなる事態は考えられない」「プレーヤーは腰の高さから落として動作を確認しており、故障はまずない」と自信満々な姿勢を示していた。しかし、教育関係者などは、英語がセンター試験で受験者数がかなり多いことから、50万台以上の機械を使う試験で、1台も故障せず、1人の受験生も操作ミスをしないということが、果たしてあるだろうかとの疑問を呈していた。
2004年9月26日には、リスニング試験の「試行テスト」がセンター試験を利用する大学を会場として行われた(全国503大学・508会場)。受験対象となったのは、2006年に現役受験生となった当時の高校2年生で、希望者の中から抽選された約4万人が受験した。試行テストは、本番で試験を円滑に行うため、大学側に実施の手順に慣れてもらうことや、ICプレーヤーの性能確認(聞こえや作動具合、ヘッドホンとイヤホンの違い)などが主な目的であった。なお、試行テストの試験結果は受験者には通知されなかった。この試行テストでは、ICプレーヤーによる大きなトラブルは発生せず、「個別音源方式で円滑な試験実施は可能」と大学入試センターは判断した。
しかし、教育関係者の個別音源方式に対する不安は現実のものとなり、2006年度のリスニング試験では、東京など20都府県の試験会場で、ICプレーヤーの故障などが発生したとされて、再テストが行われるというトラブルが相次いで発生した。約1100人の内1人にトラブルがあったとされ、三大予備校が実施したリスニング試験の模擬試験に比べるとトラブルの発生率が高かった。リスニング試験が実施された1月21日の夜には、大学入試センターの記者会見が開かれたものの、反省の弁だけであってセンター側からの謝罪はなく、当時の事業部長は、「トラブルの申告をしたすべての受験生に対して、再テストを受験させることに決めていた」「性善説に立っている」と発言した。しかし、その後当時の文部科学大臣が陳謝する事態にまで発展してしまった。主なトラブルとしては、電源を入れても音声が聞こえない、試験途中で音声が聞こえなくなる、操作をしていないのに音量が変化する、などがあげられる。トラブルの多くは操作方法のミスや勘違いであるため事前に大学入試センターのWebサイトで操作を確認できるようにしている。
2007年度は、前年度のトラブルを反省し、イヤホンを最初から装着するなどの対策を行ったが、227大学で少なくとも351人から「音声が聞き取りにくい」などとICプレーヤーの不具合があり、少なくとも381人が再テストを行った。
2008年度も2006年、2007年と同様の形式で実施された。2007年度より人数は減ったものの相変わらずICプレーヤーの不具合を訴える受験生がおり、175人が再試験となった。
80分の筆記試験後に行われ、解答時間30分・配点は50点となっている。ICプレーヤーは再生機能しかなく、巻き戻しや一時停止などはできない仕組みとなっている。
問題開始前や、各大問(第1問など)の合間には「?ページを開いてください」という音声が流れるが、これはあくまでも試験者に対して、問題が始まる旨を知らせるだけであって、必ずしも従う必要はない。また、次のページに問題が移る場合でも、同じ大問であれば「?ページを開いてください」という音声は流れないため、注意が必要である。問題音声が終了した後に、解答をマークシートにまとめて転記する時間は用意されていない。各設問ごとにマークする必要がある。ただし、問題音声が終了しても、試験監督者から解答をやめるよう指示があるまで、マークシートへのマークやマークの確認を行うことができる。各試験会場では、この問題音声終了から解答終了までの時間が一律に決められていないため、今後のマニュアル化が望まれている。
なお、約2,000円相当のICプレーヤーは、試験終了後希望する者は持ち帰ることができる。また、受験生が持ち帰らなかったICプレーヤーは、試験会場の大学で保管されているほか、希望する高校などに配布されて再利用されている。
2005年の日本国内でのデジタルオーディオプレーヤーの市場は約250万台となっている。この数字に対して、センター試験では約50万台ものICプレーヤーが使用されているほか、予備校や模擬試験などで使用されるものも含めると、相当な数の市場となることが見込まれている。代々木ゼミナールでは、松下電器産業と模擬試験で使用するICプレーヤーのリース契約を結んでおり、30万台のICプレーヤーを調達した。