辛味(からみ)は、味を分類する概念のひとつ。日本語では、トウガラシ・ワサビ・ショウガ・サンショウなどに代表される刺激的な味を「辛味」と表現する。
総じて激越な刺激であって、しばしば耐えがたいと感じさせることもある。しかし多くの場合食欲を増進させ新陳代謝を促進する効果があるので、暑さ負けなどに効果がある。さまざまな文化で料理に利用されており、特にトウガラシの辛さを好み日常的に多量に使う文化が世界各地にみられる。
なお、「味」は当て字で、本来は「辛み」と書く。「み」は形容詞語幹から名詞を生成する接尾辞である。
目次
1 辛味は味覚か
2 辛味と健康
3 さまざまな辛味と辛味成分
4 文化と辛味
4.1 インド
4.2 中国
4.3 英語圏
5 料理における辛味
6 辛味の計測
7 辛味のある食品
8 辛味調味料
9 辛味のある料理
10 脚注
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現代日本では、社会通念上辛味は重要な味覚のひとつと考えられ、甘味、酸味、苦味、塩味と並ぶ5つの味(五味)のひとつとして捉えられている。
しかし生理学的定義によれば、狭義の味覚とは味覚受容体細胞にとって適刺激である苦味、酸味、甘味、塩味、旨味の5種(五基本味)をいい、辛味はこれにあてはまらない。神経刺激としての辛味の核心は舌・口腔のバニロイド受容体(カプサイシン受容体)で感じる痛覚であり、これに他の条件(トウガラシであれば、発汗および発熱)が統合されたものを辛味と呼んでいると考えられている。近年、カプサイシン受容体が単離されたが、口腔内に特異的なものではなく全身に分布しており、また従来の味覚受容器とは別のものであるため、5基本味が6基本味になることはない。
世界各地で特に好んで利用されているトウガラシの辛味は、発汗をうながし、新陳代謝を促進する効果があると言われている。ただし慢性的な過剰摂取に関しては悪影響が懸念されている。唐辛子を多く摂る韓国のような国では胃癌の発癌率が高く、唐辛子の過剰摂取との関連性が指摘されている。[1][2][3][4][5]
辛味にはいくつかの類型が認められ、基本的には、それぞれ辛味成分の化学的特性に対応している。
ワサビ・カラシや、ネギ・ニンニク・ダイコンなどの辛味は、清涼感をともない、舌や鼻へのツーンとした刺激として知覚される。日本語では、「ツーンとくる辛さ」などと表現されることが多い。これは硫化アリル・アリルカラシ油といったアリル化合物の作用である。
トウガラシの辛味は体を温め、発汗をうながす。舌には熱さ、時には痛さに似た刺激をもたらす。「ヒリヒリする辛さ」と表現されることもある。このような作用はカプサイシンと呼ばれる成分による。コショウの辛味はトウガラシに似るが、ややマイルドである。この味の主成分はピペリンと呼ばれる。カプサイシン、ピペリンはアルカロイドに分類される。
ショウガにはジンゲロールやショウガオール、サンショウにはサンショオールなどの辛味成分が含まれ、発汗と清涼感をもたらす。サンショウの辛味は同時に、舌に痺れるような感覚をもたらす。
また日本語では、強い塩味や、ミント・炭酸飲料の刺激が強いことを「からい」と表現することがある。現在ではこれを「辛味」と区別して考えることが多いが、古くは「過度に刺激的である」といった意味で概念が近接していたものと思われる(Cf. 「あまい水」と「からい水」、および「点があまい」「点がからい」の対比)。
辛味、またはそれに類する概念は文化によって多様であり、その感覚をどのように分類し、名を与えるかは一様ではない。下記はその一例である。
インド伝統医学のアーユルヴェーダなどでは6つの味覚(ラサ)のひとつと考えられた。
古代中国では「辛」は五行説により五味のひとつと考えられ、金気と関連づけられた。
現代中国語には、日本語の「辛味」に対応または近接する味の概念がいくつかある。
辣(ラー)
トウガラシなどの熱をともなう辛味。
麻(マー)
サンショウなどのしびれる辛味。
辛(シン)
ユズ・シナモンといった、あまり痛覚を刺激せず、日本語的な辛味の範疇におさまらない味。
英語における「辛味」の対応・近接概念には以下のようなものがある。
hot
トウガラシなどの辛味。
spicy
さまざまなスパイスの味の総称。日本語では「ぴりっとした」などと訳されることがある。
辛味に対する好悪は、文化的背景により大きく異なる。
世界的にみて、料理において辛味を尊重する文化は少なくない。特に、東南アジア・南アジアの料理にとってトウガラシは不可欠である(カレーなど)。中南米でも、辛味のあるソースを用いる料理は多い(タコスなど)。