「ブラヴォー」とは、観客・聴衆などが賞賛の意を込めて発せられる感嘆詞である。そもそもイタリア語の形容詞 "bravo" からの外来語であるが、現在の日本における使用法はイタリア語から直接入ってきたものではなく、それが一旦フランス語に入って転意したものが日本語に取り込まれたという経緯が認められる。日本においては、日常生活の中で使用される機会は稀な語で、幾分改まった文化的な場所・時の中、特にクラシック音楽の演奏会やオペラ上演の際に用いられる語である。
目次
1 外来語としての伝播で発生した意味の変化
2 発音の問題
3 語形変化
3.1 イタリア語としての "BRAVO!" の的確な使用例
4 ブラヴォー及び拍手のタイミング
5 日本における、語形変化への留意点
5.1 一律 "BRAVO!" だけを使用することによって起こり得る事例
6 関連項目
7 参考文献
8 注釈
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イタリア語における "bravo" は、英語の "good" に該当する語として広く使用される日常的な形容詞であるため、その意味は非常に広い。「良い」、「素晴らしい」、「偉大である」、「立派である」、「優秀である」、「腕のよい」、「賢い」、「勇敢な」など非常に広義の語であるため、その場によって意味を限定することが困難なことも多い。それがフランス語に輸入され、「いいぞ」、「うまい」、「しめた」など特別な意の感嘆詞になったが、それはまた、「喝采」、「歓呼」などの意の名詞としても定着したことから、フランス語においては、イタリア語における一般的な形容詞から喝采の意に限定されたことが理解される。
片仮名表記として「ブラヴォー」の表記が浸透しているが、簡易的には「ブラボー」の表記が旧来からなじんでもいる。イタリア語風に強調して伸ばされた発音の際には「ブラーヴォ」・「ブラーボ」と発せられるが、日本人の語感によって「ブラヴォー」・「ブラボー」と発せられることは現在においても混在している。後者のアクセントはフランス語風のものでもあるため、あながち誤りでもない。また、"r"を巻き舌によって発音されることも、イタリア語では普通に、フランス語においては時に認められるものである。
日本においては日本語が人称や性・数の変化の意識が希薄な言語であるため、一般にはどのような場合でも "Bravo" のままの形で使用されるが、特にクラシック音楽などの場においては、声をかける対象によってイタリア語の語形変化を厳密に使い分けしている層が比較的多い。イタリア語における性数変化は以下のようになる。参照:イタリア語の文法#形容詞("-o"で終わる形容詞に該当)
人称単数複数
男性形bravo [ブラーヴォ]bravi [ブラーヴィ]
女性形brava [ブラーヴァ]brave [ブラーヴェ]
男女混合の複数が対象の場合には、男性形複数を使用する原則が適用され、bravi となる。brave が使用されるのは、相手が女性のみの複数の場合に限られるため、使用頻度は一番低いものとなる。
イタリア語としての "BRAVO!" の的確な使用例
男性(単数)に向けられた正しい使用例
女性(単数)に向けられた正しい使用例
男性(複数)に向けられた正しい使用例
女性(複数)に向けられた正しい使用例
男性と女性の混合(複数)に向けられた正しい使用例
クラシック音楽の演奏会やオペラの上演も聴衆の存在を前提としている以上、その内容に対して賞賛(ないしは侮蔑)の意を表することは聴衆・観客の自由である。しかし、ポピュラー音楽のそれと比べてマナーを重んじるのは演奏家が演奏に集中し、かつ聴衆全員が音楽を十分に楽しむ環境を作るためである。したがって、マナーを守ることは自身の音楽体験をより充実したものにすることにもつながるということに留意されたい。
拍手は「指揮者が手を下ろしてから」が基本とされる。「ブラヴォー」もこれに準じると考えてよい。欧州ではこの原則が守られているが、日本では指揮者が手を下ろす前でも余韻が消えてから拍手を始めるのが慣習になっている。(日欧の例ともにオーケストラの演奏会の映像で確認できる。)
ここで注意すべきなのは『演奏が終わった後の余韻と静寂を含めて全てが音楽』という考え方があることである。実際、ブルックナーの交響曲第5番のように“全休符で終わる曲”、またはベートーヴェンの『英雄』のように“フェルマータの休符で終わる曲”は少なくない。