それに乗じて Winny で流通するファイルに Antinny などといったウイルスが仕組まれるようになり、それによってファイルをダウンロードした者の個人情報が Winny を媒体としてばらまかれるという問題を引き起こしている。このウイルスは亜種も数々出現し、必ずしもWinnyを感染媒体とせずネット上でも感染被害が及んでいる。
また2003年11月27日、著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で Winny の利用者としては初めて、京都府警察ハイテク犯罪対策室によって2名が逮捕された。
2004年5月9日には、開発・配布者の金子勇もこの事件の著作権侵害行為を幇助した共犯の容疑を問われ逮捕された。このとき自宅と大学の研究室が家宅捜索を受け、証拠品として開発に使用されたノート型パソコンや Winny のソースコードが押収されている。
著作権侵害行為幇助の疑いに関わる裁判では公開・提供行為の方法が罪に問われており、技術開発の是非についてははっきり言及されていないが、これは「裁判所が判断を避けた」のではなくどんな技術を開発しようともそれを自分の頭に秘めておく限り思想・良心の自由の範疇に含まれるので技術開発の是非というものはそもそも論じる必要がないからである。その技術を何かに使用した時点で、使用法が問われるのであるから、法律論では、Winny開発・配布者が有罪になった件は技術開発には全く影響を与えないという考え方がある一方、ITPro誌には ⇒[3]には、「このような判決が出されたら,今後PtoPソフトの開発はできなくなってしまう」という意見もあり、社会的な影響は技術の使用法のみならず、技術の開発そのものにも及んでいる。 法的な問題の議論では
技術そのもの
技術を適用して配布・公開する行為
どのような意図・方法で配布・公開するか
をはっきり区別しなければならない。 多くの法律家は3を問題にしているが、金子の弁護団の事務局長である弁護士の壇俊光は「誰かが、不特定多数の人が悪いことをするかもしれないとを知っていて、技術を提供した者は幇助なんだということを、裁判所が真っ向から認めてしまった。これは絶対変えなければならない。高速道路でみんなが速度違反をしていることを知っていたら、国土交通省の大臣は捕まるのか」とのコメントを出しており、 ⇒[4]、法律家の間でもこの件で統一的な見解があるのではなさそうである。
警察側は、逮捕の理由はソフトウェアの開発行為を理由としたものではなく、著作権法の違反を蔓延させようとした行為にあるとしているが、多くのメディアではソフトウェアを開発すること自体について、刑事事件として違法性が問われたものと認識され、日本では非常に稀なケースであると報じられた。
日本以外では、ファイル交換ソフトによる著作権の侵害行為に対して、著作権者側から「Napster」に対して民事訴訟を起こされた例がある。
開発・配布者の逮捕については、正犯(Winnyを使って違法なファイルをアップロードした者)の逮捕時に金子が警察に対して協力的であったことなどから、警察の不意打ち的対応であるとして疑問を呈する声も聞かれた。
Winny 事件の立件にあたって、検察側はファイル交換用P2Pソフトウェアの開発自体を違法行為としているのか判断の明示を避けているが、この一件は日本国内でのP2Pソフトウェア開発・配布者の開発行為を萎縮させると懸念されると、2004年に開かれた初公判の中で金子は述べており、これに賛同するソフトウェア開発・配布者も少なくない。
日本製とされるファイル交換用のP2Pソフトウェアで、主に同様の目的で使われる種類のものとしては、「うたたね」、「Marie」、「Share」、「新月」、「AsgumoWeb」、「RinGOch」、「Ansem」、「Speranza」、「Sparrow」、「Zigumo」、「Cabos」、そして「Perfect Dark」などが存在している。
この中で開発・配布行為に責任を問われた事例は現在のところ存在しない。 P2P技術と、違法なファイルの交換を容易にする技術は全く別のものであり、P2P技術自体は Skype のような利用も可能である。 P2P技術と違法なファイルの交換を容易にする技術を組み合わせたものが幇助に問われたからといって、P2P技術に法的責任が問われる可能性があるというのは杞憂を通り越して単なる事実誤認である。また、日本の法律では技術そのものが違法という考え方は成立しない。金子が幇助に問われているのは違法なファイルの交換を容易にする技術を実装したことと、そのソフトウェアの配布の態様にあると考えられる。 ⇒判例タイムズ1229号(2007年3月15日号) 違法なファイルの交換を容易にしたりしないような中立的なソフトウェアの実装方式・配布方法であれば現状では問題ないと解される。
さらに、開発・配布者の逮捕に伴って Winny の使用法を解説したウェブサイト「WinnyTips」の制作者も自宅を家宅捜索され、ウェブサイトは閉鎖となっている。
この件については、間接的にではあるが事件そのものとは係わり合いのない個人のウェブサイトを閉鎖に追いやったことから、警察による表現の自由の侵害ではないかといった声もあがった( ⇒2004年5月17日、ITmedia)。
2004年5月31日、Winnyの開発・配布者である金子は京都地方検察庁によって京都地方裁判所に起訴された。
起訴するにあたっては、正犯である群馬県高崎市の男による著作権侵害行為への幇助が起訴事実として挙げられた。
また、京都府警の聴取に対して金子が「インターネットが普及した現在、デジタルコンテンツが違法にやりとりされるのは仕方ない。新たなビジネススタイルを模索せず警察の取り締まりで現体制を維持させているのはおかしい」などと供述していたことから、京都地検はプログラム自体の違法性などの是非には言及せず、そのソフトを作成、配布した金子の行為に幇助の故意を認め、雑誌などにより違法に使われている実態がすでに明らかになった後も開発を続けていたことから悪質であると断じた。
これらの起訴事実について、金子は正犯との面識がないことなどをあげて全面的に否認し、以後、検察側と弁護側が全面的に争うこととなる。
2004年6月1日、保釈。
2006年7月3日、検察側は論告において金子に対して懲役1年を求刑した。
第1審は2006年9月の弁護側最終弁論で結審。
2006年12月13日、著作権法違反の幇助により罰金150万円の有罪判決が京都地方裁判所(氷室眞裁判長)で言い渡された。 同日、判決を不服とし大阪高等裁判所に控訴、今なお係争中。
開発・配布者である金子に対する批判的な声として、Winnyの主たる目的は著作権法とわいせつ物頒布罪を犯した違法なファイル交換にあるというものがある。
これらの批判を展開する者は、Winnyが最初に発表された場所である2ちゃんねるのダウンロードソフト板がそれ以前からネット上で著作権法違反をする者らの温床と化していた点を指摘した上で、Winnyの開発目的として「(前略) ⇒ネット上に著作権法違反を蔓延させようと思った」といった金子が警察に対する供述の中で述べた発言などを引用し、ソフトウェアの持つ目的について元々、著作権侵害の意図があったものなのではないかと主張する。
発言の中から一例を挙げれば、2ちゃんねるのダウンロードソフト板に書き込まれた投稿の中で「(Winnyの)β8.1は匿名性に穴があります。