WebSphere MQ は、IBMのメッセージ指向ミドルウェア(MOM)である。メッセージキュー方式の、信頼性が高い、非同期通信も可能な、マルチプラットフォーム対応のメッセージ通信を提供する。このためシステム連携のためのメッセージング・ミドルウェアとして使用される場合が多い。
最新版であるバージョン7.0は、Microsoft Windows、Linux、UNIX(AIX、HP-UX、Solaris)、i5/OS(ミッドレンジ)、z/OS(メインフレーム)で動作する。
目次
1 名称
2 歴史
3 機能
4 通信
5 メッセージ指向ミドルウェア (MOM)
6 API
7 外部リンク
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当初の名称は「MQSeries」(えむきゅーしりーず) であったが、2002年に WebSphereブランドに組み込まれ「WebSphere MQ」となった。「WMQ」または「MQ」と略される場合が多いが、「MQ」の場合はメッセージキューイング全般の略称との混同に注意が必要である。
歴史
MQSeriesリリース前
1964年 System/360がリリースされたとき、BTAM と QTAM(Basic and Queued Telecommunication Access Methods)が通信手法として提供された。
1971年 TSO(Time-Sharing Option)と共に TCAM(Telecommunication Access Method)が登場。
1971年12月 CICSとTCAMの連携が発表され、1972年12月にリリース。
MQSeries時代
1993年 MQSeries V1(メッセージ・キューイング。TCAM の機能を IBM 以外のプラットフォームでも使えるよう拡張した)
1995年 MQSeries V2(分散系プラットフォームへの拡張、トリガリング、コード変換、プライオリティ、Non-Persistentメッセージ)
1997年 MQSeries V5.0(メッセージサイズ拡張、C++やJavaのサポート )
1999年 MQSeries V5.1(クラスタリング(MQクラスター)、GUI管理ツール(MQエクスプローラ) )
2001年 MQSeries V5.2(パフォーマンス改善、Linuxのサポート)
WebSphere MQ時代
2002年 WebSphere MQ V5.3(MQSeries から名称変更、SSLサポート)
2004年 王立工学アカデミー ⇒[1]から MacRobert 賞 ⇒[2]を授与された ⇒[3]。
2005年 WebSphere MQ V6(64bit対応、Eclipseベースのユーザーインターフェース)
2008年4月 WebSphere MQ V7.0(パブリッシュ/サブスクライブ・メッセージングおよびJMSの拡張)
WebSphere MQ は各種プラットフォームでの時間を保証したメッセージ配信を行う。メッセージ交換の信頼性と堅牢性を強化し、メッセージを失わないことを保証する。
MQ は時間に依存しないアーキテクチャを構成する機構も提供する。メッセージをあるアプリケーションから別のアプリケーションに送信するとき、相手のアプリケーションがその時点で動作していなくてもよい。受信側アプリケーションが動作していないときにメッセージが送られた場合、キューマネージャが受信側が問い合わせてくるまでそれを保持しておく。メッセージの順序性はFIFO順で保持される。これは WebSphere MQ のキューマネージャに限った機能ではない。
通信相手のアーキテクチャの違いを WebSphere MQ で変換することによって対応することができる。例えば、ビッグエンディアンからリトルエンディアンへの変換やEBCDICからASCIIへの変換である。これは、"Exits" と呼ばれるアプリケーションコードで実行される。Exits はキューマネージャ上で動作し、必要に応じてデータ変換を行う。
WebSphere MQ は他のアプリケーションを起動するためのメッセージを受け付けて起動を実施できる。これによりメッセージ駆動型アーキテクチャを実現できる。
WebSphere MQ の中核となるのは「キューマネージャ」(MQ Manager、MQM)である。キューマネージャは記憶装置を操作し、タイミング問題を扱い、アプリケーション起動を行い、その他のデータの転送には直接関係しない機能を持っている。
キューマネージャは、同じホスト上で動作するソフトウェアとは Bindings と呼ばれるコネクションを持ち、ネットワーク経由では他のホスト上のソフトウェアとの間で Client と呼ばれるコネクションを持つ。同じホスト上のソフトウェアと Client コネクションで繋げることもできる。Bindings の方が高速だが Client の方が堅牢であり、アプリケーションの設計を容易に変更可能である。
キューマネージャ間の通信は Channel と呼ばれる別のプログラムが担当する。Channel はキューマネージャと同じホスト上で動作し、ネットワーク経由のデータ送受信を受け持つ。TCP/IP のネットワークでは、Channel は特定のポートでデータの送受信を行う。
Client コネクションでアプリケーションとキューマネージャ間の通信を行うプログラムは Listener と呼ばれる。Listener はアプリケーションから見たキューマネージャのネットワークインタフェースとなっている。TCP/IP ネットワークでは、Listener は特定ポート上で "listen" する(パケット受信を待ち受けること)。
メッセージのキューイングは2つの部分からなる。
メッセージとは、バイナリまたはASCIIのデータの集合体であり、関係するプログラムにとって意味のある内容である。通信プロトコルとしては、ルーティングなどの情報が転送前にメッセージに付与され、受信先アプリケーションに到達する前にそれら情報が捨てられ、メッセージだけが届けられる。
メッセージキューとは、アプリケーション内でメッセージを格納するオブジェクトである。
「キューマネージャ」は MOM に必ずあるわけではないが、WebSphere MQ では必要不可欠であり、メッセージキューの論理的コンテナを提供するシステムサービスであると共に、「メッセージチャンネル」を経由してメッセージを他のキューに転送する役割を持つ。
この技術の利点は以下の通り。
メッセージはTCP/IPのような純粋なパケット通信による転送に依存しない。このため、送受信を行うアプリケーション同士の結合度が弱く、非同期な運用も可能である。
メッセージは一度しか送られない。ネットワーク上の問題は全てキューマネージャが対応する。