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資本コスト(しほんこすと)とは、企業資本を調達・維持する為に必要なコスト(費用)のこと。通常はパーセンテージ(%)で表される。自己資本に関しては株式に対する配当金キャピタル・ゲイン他人資本に関しては借入金に対する支払利息が代表的である。

企業価値評価(DCF法)では、一般に他人資本自己資本の両方のコストを加味した「加重平均資本コストWACC)」が割引率として用いられる。
目次

1 加重平均資本コスト

2 β値(ベータ値)

3 自己資本コストの誤解

4 関連項目・脚注

5 外部リンク

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加重平均資本コスト

企業の資金調達には2つの源泉があり、ひとつは借入金社債といった他人資本、もうひとつは出資による自己資本である。他人資本の出し手(主に市中銀行など)は調達に際して返済方法や返済期限が明らかにされ、さらに必要であれば担保を要求できるなど自己資本の出し手に比べれば明らかに有利な条件で企業に資本提供できるため、その見返りとなる利息は自己資本への配当等よりも低くなる。また、会社が倒産した場合には借入金の債権者や社債権者には回収された会社資産から優先して配当がなされるが、株主にはその残余があった場合にのみ残余財産請求権が認められるだけで、この点でも自己資本の出し手は高いリターンを要求することが予想される。

この点からは、会社の資金調達は他人資本によることが合理的と見られるが、財務比率、とくに自己資本比率の悪い企業に対しては倒産リスクが付きまとうことから一般的なコーポレートファイナンス理論を前提にする場合、一定の自己資本を維持しながらでなければ借入れを行うことは困難であるとされる。こうした倒産リスクによる他人資本の利率上昇と自己資本の要求利回りを加味した上で、企業の資本構成を最適化することを説明する上で加重平均資本コストの概念は必要不可欠となる。加重平均資本コストは以下の式により求められる。この式で負債コスト部分に実効税率が乗じられるのは法人税の計算上、借入金利子が費用と認められる一方で、剰余金の分配とされる配当が税務上の費用に該当しないことによる。

・有利子負債残高×負債利率×(1-実効税率)+自己資本残高×自己資本要求利回り


β値(ベータ値)

自己資本要求利回りは多くのプライベートカンパニーで無償と考えられている。しかし、利益を留保した会社の株式純資産価値が上昇するように、株主に株式価値として還元されていると考えると無配の株式でも株主還元が行われ資本コストが支払われていることに変わりはない。ただし、プライベートカンパニーの株価を日々計算することは困難であり、その資本コストを測定する経済的価値も認められないため、プライベートカンパニーの自己資本コストが正確に測定されていないだけに過ぎない。日々、株価が変動する上場企業については自己資本コストの測定がある程度可能であり、CAPM理論では自己資本コストは以下の式で表される。

・自己資本残高×(Rf+MRP×β)

Rfは、長期国債利回りなどの無リスク債権利回りを指す。 MRPは、マーケットリスクプレミアムと呼ばれる債券市場に投ずるよりもリスクのある株式市場に投資した場合の超過利回りを指す。 βは、マーケット指標である株価指数日経平均TOPIX等)に対しての、ある銘柄の感応度を示す変数を言う。株式市場の変動に対して、どの程度の相対的リスクを持っているかということを算定する。

なお、株価がどの程度の期間、マーケット指標と連動しているかどうかについて判定する期間に特に定めがないため、β値採取期間を3ヶ月とするか1年、3年とするかでβ値が大きく違う結果なることもある。従って、このような曖昧な値(β値)を乗する資本コストは、実務上、結論ありきのお手盛りになりがちとの指摘もなされている(出典:『企業財務分析』中央経済社)。一方、β値の採取期間を一定に定めることにより、対象期間の株価に大きな不安定要素(金利政策の決定や為替変動、業界の状況の劇的な変化のほか決算発表、風説の流布、配当政策の変更など)がある場合には当該期間の影響を排除すべきことから、期間を一概に定められないのも事実である。


自己資本コストの誤解

一般的に「配当を行っていない企業では自己資本コストはタダである」といった誤解が(とりわけ企業経営者に)生じやすい。これは自己資本には返済期日が無く、直接の見返りである配当も配当可能利益がある場合に限定されるためである。しかし、株主が経済合理性に基づいて行動する場合には、配当の無い株式を保有するケースは将来の株価上昇によるキャピタルゲインを期待しているか、その他取引上の優越的取扱を受けるための妥協を余儀なくされているケースであり、株価の将来上昇予測や配当予測の目処の立たない株式は株式価値の下落を通じて、株主に資本コストが転嫁されていると考えるべきものといえる。

資本コストを短絡的に理解してしまうと 「キャッシュが多いことは効率的な投資をしていないことで良くない」といったような直感的な認識を持ってしまいやすい。キャッシュ残高は企業の信用に直結するものであり、無論、多いに越したことは無い[1]が、一方で金庫株制度が導入され企業の自社株購入が原則自由となったことから、余剰資金を資本コスト以上で運用できる投資機会がない場合には、余剰資金での自社株購入により企業全体の資本コストを下げることが可能であることから、厳密には「投資目的のない資金を多く保有していることは資本コストの観点から合理的ではない」と認識するべきである。


関連項目・脚注

企業価値

DCF法

金融庁
^ 「会社法対応 キャッシュフロー計算書が面白いほどわかる本」中経出版


外部リンク

リスクとリターンと資本コスト経済産業省
カテゴリ: 数理ファイナンス

更新日時:2008年8月24日(日)23:56
取得日時:2008/11/10 03:44


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki