VHS
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また規格外ではあるが標準モードで2つの番組を同時に録画できる機種も存在しており、VTR普及期にはメーカーから様々な提案がなされた。ベータ8ミリLDVHDなど様々なメディアとの競争の結果、家庭用ビデオ方式としてデファクトスタンダードとなった。

VHSのハードの普及台数は全世界で約9億台以上、テープに至っては推定300億巻以上と言われている。このことを称え、VHS規格発表から30周年の2006年にはIEEEによってVHSの開発を「電気電子技術分野の発展に貢献した歴史的業績」として『IEEEマイルストーン』への認定を果たした[1]

2008年に初代VHSデッキHR-3300が重要科学技術史資料(未来技術遺産)の第1回に登録された。


開発元の撤退

2007年5月30日、日本ビクターは経営不振による事業再建策として、VHSビデオ事業からの撤退を発表し、VHSビデオ事業の清算を発表した[2]

2008年1月15日、日本ビクターはS-VHS/VHS単体機を全機種生産終了したと発表した[3]

2008年10月27日、日本ビクターはVHS方式ビデオデッキの生産を終了した。在庫が無くなり次第、販売も終了する。この撤退により、国内メーカーのVHSビデオ製造は完全に終了する[4]


コンピュータ用としてのVHS

VHSが普及するにつれ量産効果が上がり、テープ価格が大幅に値段を下げた。オープンリールを多用していたコンピュータ業界はテープの安さからデータカートリッジとしての利用を推し進めた。富士通などは大型コンピュータの補助記憶装置として用い、数百本のVHSテープを筐体内ラックに納め、コンピューター制御によりジュークボックスさながらのオートローディングを行わせ大型磁気ディスク装置のバックアップ装置として活用した。この際使用したテープは市販のビデオ用テープと同じ規格の物を使用した。


プロ・オーディオ用としてのVHS

1991年、米ALESIS社がS-VHSテープに8トラックのデジタル録音を可能にしたADAT(ALESIS DIGITAL AUDIO TAPE)を発売。機器ばかりでなくメディアも安価ということで、中小のスタジオやホームスタジオで急速に広まった。デジタルがゆえに事前にフォーマット作業が必要で(後に録音と同時フォーマットが可能になる)、120分の録画テープで約41分の録音が可能。デジタル記録はヘッドとの物理的接触に弱いため、ベース・フィルムを強化したADATロゴ入りの推奨S-VHSテープも存在する。当初のTypeIフォーマットではサンプリングビット/レートは16bit/44.1kHzと16bit/48kHzだったが、後のTypeIIフォーマットで24bitにも対応した。1チャンネルの記録につき2トラックを使って96kHzを実現するS/MUXという規格もある。一方デジタルのインターフェイスは標準の角型オプティカル(S/PDIF)で8チャンネルを同時に送受信できるが、もちろん一般の2チャンネルのフォーマットとは互換性はない。16台まで同期できる。

現在この規格は一般化し、adat(エーダット)として、Hi8テープに同様の録音ができるティアック社のDTRS規格とともに、ユーザーの根強い支持を得ている。


VHSフォーマット概要VHSカセットのテープ構造

記録方式:ヘリカルスキャン方式

記録ヘッド数:2

ヘッドドラム径:62mm

ヘッドドラム回転数:29.97Hz(約1800rpm)

カセットテープサイズ: 188×104×25mm

テープ幅:12.7mm

テープ送り速度:約33.34mm/s(SP)/16.76mm/s(LP)/11.18mm/s(EP)

記録トラック幅:約58μm(SP)/29μm(LP)/19μm(EP) ※LPモード対応機種は、日本国内ではほとんど普及していない。

音声トラック

ノーマル1トラック(モノラル音声)

ノーマル2トラック(ステレオ音声。1978年音声多重放送開始に対応するために追加された。ヒスノイズが増加したため、対策としてドルビーノイズリダクションシステムBタイプを搭載した。なお、対応する製品は1987年・日本ビクターのHR-S10000以降生産されていない)

Hi-Fi2トラック(1983年に開発されたHi-Fi規格が主流になるまでは、ノーマル2トラック対応機種が各社から発売されていた)

リニアPCM(過去には日本ビクター製の1990年発売の「HR-Z1」など、国内のメーカー数社から対応する製品が発売された。衛星放送エアチェックファンなどから高く評価されたが、著作権保護の問題から僅か1世代で生産が終了した)


信号方式

映像信号:周波数変調(FM)シンクチップ:3.4MHz/白ピーク:4.4MHz:クロマ信号:低域変換方式(VHS方式)

映像信号:周波数変調(FM)シンクチップ:5.4MHz/白ピーク:7.0MHz:クロマ信号:低域変換方式(S-VHS方式)

音声信号:2チャンネル長手方向記録(ノーマル音声トラックの場合)


VHS発売エピソード

アンペックス社の巨大な業務用VTRを始まりとして、NTSC方式をそのまま録画可能な回転2ヘッドヘリカルスキャン方式の開発以降、各社は比較的コンパクトなオープンリール式のVTRを発売する(方式はバラバラ)。松下・ビクター・ソニーの3社は家庭用も見据え、テープがカセットに収められたビデオレコーダー(VCR)の統一規格(Uマチック)に合意。発売したが、高価なこともあり、オープンリール式と同様に企業の研修用途、教育機関、旅館/ホテルの館内有料放送(ブルーフィルムもどき)などが主な販売先だった。

そこでソニーは家庭への普及を狙いテープ幅を1/2インチ、カセットがコンパクトな「ベータマックス」を開発。各社に家庭用VCRのベータ方式での統一を呼びかけた。しかし、ビクターも同じテープ幅1/2インチの家庭用VCRを開発しており、カセットのコンパクト化よりも長時間録画を優先。ベータはUマチックとおなじUローディング方式をそのまま用いたのに対し、開発が難航したものの部品点数が少なく生産もしやすいMローディングを採用した。

そしてソニーに続いてビクターも家庭用VCR、VHSの開発を発表。ビクターは親会社の松下電器産業(現・パナソニック)にVHS方式への参加を要請したが、当時、子会社の松下寿電子工業(現・パナソニック四国エレクトロニクス)が開発したVX方式のデッキを販売していたこと、さらにベータ方式を支持する社内意見もあり松下の反応は煮え切らないものだった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki