V型8気筒(ブイがたはちきとう)は、ピストン式内燃機関(レシプロエンジン)のシリンダー配列形式の一つで、直列4シリンダー2組がV字様に配置されている形式を指す。V8と略されることが多い。
多気筒レシプロエンジンとして広く用いられるエンジン形式の一つであり、自動車用としては特に大排気量車の多かったアメリカ合衆国で発達してきた。ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン双方あるも、現代では大型乗用車用のエンジン形式として普及している。
目次
1 概説
1.1 V8エンジンのクランクシャフト
1.2 V8エンジンのバンク角
1.3 乗用車用V8エンジンの歴史
1.3.1 V8の黎明期
1.3.2 キャディラックV8
1.3.3 アーリー・フォードV8
1.3.4 アメリカにおけるV8エンジンへの移行
1.3.5 戦後のV8化競争
1.3.6 V8のスタンダード化
1.3.7 戦前ヨーロッパのV8
1.3.8 戦後ヨーロッパのV8
1.3.9 ヨーロッパでのV8の一般化
1.3.10 日本のV8
1.4 モータースポーツ
2 搭載車種
2.1 トヨタ自動車
2.2 日産自動車
2.3 三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バス
2.4 いすゞ自動車
2.5 日産ディーゼル工業
2.6 日野自動車
3 自動車以外でのV8エンジン
3.1 航空機
4 関連項目
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クランクシャフトの形式によりV8エンジンは2種類に分けられる。
クロスプレーンは通常の乗用車に用いられる。クランクピンが90度で交差しているためにクランクシャフト末端から見ると十字に見える。クロスプレーンは振動バランスは良いが、非常に重いカウンターウェイトが必要になる。そのために高回転化、レスポンスの点では不利となる。クロスプレーンのV8は全体でみると燃焼間隔は等間隔であるが、片側のバンクで見ると等間隔とならないため、排気干渉を防ぐには2つのバンク間の排気管を繋げる必要が生じる。このことはレーシングカーにとっては問題となる。
フラットプレーンのV8は180度のクランクピンを持つ。フラットプレーンでは振動はバランスしないためにバランサーシャフトなしでは非常に激しい振動をともなう。一方で大きなカウンターウェイトを必要としないため重量が軽く、クランクシャフトの慣性も小さいため、よりすみやかな加速と高回転が可能となる。
クロスプレーンの設計は単純では無く、極初期のV8はフラットプレーンで設計された。1915年、クロスプレーンは全米自動車工業会で提案されたが、生産に至るまでは8年の歳月を要した。共に高級車メーカーであるキャディラックとピアレス(Peerless)の両社はクロスプレーンのV8に関する特許をほぼ同時に出願し、両社はその特許を共有することに同意した。1923年にキャディラックは「Compensated Crankshaft」V8エンジンを導入し、1924年11月にピアレスから「Equipoised Eight」が現れた。
最も一般的なものは90°である。左右のバンクでクランクピンを共通化した上で、燃焼間隔も等間隔に出来るためにほとんどのV8エンジンで用いられる。一方で90°よりも狭いバンク角も用いられることがある。狭いバンク角はエンジンのコンパクト化に寄与するためにレーシングカーや横置きエンジン車に用いられることがある。レーシングエンジンが出自のTVRのAJP8や、ヤマハ製でフォードグループで使われるエンジンなどに見られる。
19世紀末期に始まる自動車用ガソリンエンジン発達の初期過程では、高速化と大排気量化を両立させる目的から、当初の単気筒から2気筒、4気筒と気筒数が増加し、1900年代初頭には直列6気筒までが出現した。
しかしこの頃から長すぎるクランクシャフトが、生産時の加工精度と搭載スペースの確保、高速回転時の振動などに制約を及ぼすことは認識されていた。1900年代の初期6気筒エンジンには、クランクシャフト剛性の低さや加工精度の悪さによって、所期の性能を得られないものも多かったのである。従ってこれ以上の多気筒化はしばらく停滞した。
クランクシャフトを短縮できるV型配置として8気筒エンジンを実現する発想は、既に1905年にロールス・ロイスが試作車「レガリミット」で試みている。