UEFA欧州選手権2008
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ミラクル・トルコとヒディンク・ロシア

スペインと並んで大会を盛り上げたのが、ともに下馬評は低かったトルコロシアの躍進である。

予選や親善試合でも良い成績を残せず、完全なアウトサイダーとして大会に乗り込んだトルコは、グループリーグ初戦のポルトガル戦で完敗を喫し、決勝トーナメント進出は絶望的かと思われた。ところが、スイスと対戦した2戦目、トルコは先制点を許しながらも、後半ロスタイムに決勝点を決める逆転勝ちを収め、開催国に引導を渡す。更に3戦目のチェコ戦では、残り15分の時点で2点差をつけられるという厳しい状況から、75分、87分、89分に立て続けに3ゴールを奪い逆転勝ち。奇跡的なグループリーグ突破を果たした。

トルコの奇跡が頂点に達したのは、準々決勝のクロアチア戦である。0-0のまま延長戦に突入したこの試合は、残り1分となった延長後半14分に、クロアチアが決定的な先制点を挙げる。ところが、このゴール直後のロスタイム、トルコはセミフ・シェンテュルクが起死回生の同点ゴールを挙げ、試合は土壇場で引き分けに終わる。そしてこの後のPK戦を制し、トルコは史上初のベスト4に進出したのである。準決勝のドイツ戦でも、残り4分で同点に追いつく粘りを見せたものの、これまでのお株を奪われるロスタイムの決勝点により敗退。しかし、勝利の全てをロスタイムの逆転勝ちで挙げた「ミラクル・トルコ」は、世界中を驚かせた。

一方、過去にオランダ韓国をワールドカップ4位、オーストラリアを同ベスト16に導いた名将フース・ヒディンクに率いられたロシアは、監督の知名度からダークホースに挙げられることはあったが、選手レベルが高くないこと、エースのアンドレイ・アルシャヴィンが予選最終戦の退場により開幕から2試合に出られないことから、やはり下馬評は低かった。実際、初戦のスペイン戦で何も出来ずに完敗した際は、誰もがヒディンクの神通力もここまでだと考えた。

しかし、2戦目のギリシャ戦を何とかものにすると、アルシャヴィンが復帰した3戦目でロシアは圧倒的な強さを見せる。有力国の一角だったスウェーデンに完勝して決勝トーナメント進出を決めると、準々決勝ではグループリーグでイタリアフランスに圧勝していた優勝候補オランダを、アルシャヴィンの大活躍により3-1で粉砕。ベスト4入りを成し遂げた。準決勝ではスペインに再度完敗したが、ヒディンクは名将の誉れをさらに高め、ローカルスターだったアルシャヴィンはこの大会で世界的選手の仲間入りを果たした。

この他、イタリア・フランスの二大強国に圧勝し序盤戦の話題を独占したオランダ、若いビリッチ監督に率いられ躍動的なサッカーを見せたクロアチアも、ベスト8ながらポジティブな印象を残したチームであった。


W杯上位国の不振

逆に、ドイツW杯でベスト4に入った4ヶ国(イタリアフランスドイツポルトガル)下馬評は高かったものの、期待通りの結果・内容を見せることはできなかった。

特にフランスはオランダ戦で4失点を献上するなどベテラン選手中心の守備陣が崩壊。攻撃もフランク・リベリー以外にアクセントをつけられる人材が見当たらず(そのリベリーが負傷退場したイタリア戦は攻撃が機能不全に陥った)、ジネディーヌ・ジダン引退後の世代交代に完全に失敗した印象を与えてしまった。更に、不慣れなCBで起用されたエリック・アビダルが一発退場処分となるなど、監督のレイモン・ドメネクの采配にも非難が集中した。

イタリアもやはりオランダ戦で自慢の守備陣が崩壊し0-3と惨敗。ディフェンスラインを入れ替えた2戦目以降、守備は建て直しを見せたものの、攻撃はエースのルカ・トニが絶不調なのが響き、セットプレーでしか得点ができなかった。フランス同様世界王者となった後の世代交代の遅れが指摘されることとなったが、そんな中若手のジョルジョ・キエッリーニが優勝したスペインの攻撃陣と互角以上に渡り合ったのは光明となった。

ポルトガルはエースのクリスティアーノ・ロナウドが世界一の選手との呼び声も高い中活躍を期待されたが、マンチェスター・ユナイテッドで見せるような活躍は出来なかった(ポルトガルはマンUよりFWの人材が決定的に不足しており、彼らにマークを分散できなかった)。司令塔のデコ・ソウザの活躍もありグループリーグは突破するものの、準々決勝でドイツに完敗。大会中にルイス・フェリペ・スコラーリ監督がチェルシーの新監督に就任するという報道があり、それが選手の心理に影響したという推測もあった。

そんな中ドイツは唯一この4ヶ国の中では準優勝という結果を残した。但しその内容はクロアチアには内容でも圧倒され完敗、使えるプレーヤーが(負傷・出場停止などで)14人しかいないトルコ相手には延長に持ち込まれる寸前まで行くなど、磐石とは言い難かった。ルーカス・ポドルスキーバスティアン・シュヴァインシュタイガーの活躍もあって決勝まで駒を進めたが、決勝では生命線のセットプレーをスペイン守備陣に完全に封じられ、完敗を喫した。

この4か国で戦力の高齢化に直面していなかったのはドイツだけである。さらにチェコやスウェーデンも高齢化で戦力後退を印象付けた事を考えれば、今大会は欧州の勢力図を大きく変えた大会だったといえる。


開催国の早期敗退

欧州中堅国同士の共催となった本大会では、当初から開催国が結果を残せるのかが危惧されていた。特に、FIFAランキングでは100位台に低迷し、この大会がユーロ初出場となるオーストリアの下馬評は極端に低かった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki