RFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)は、ID情報を埋め込んだタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm?数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、および技術全般を指す。PHSなどの通信機器を用いた技術もあるが、一般的にはICタグや、その中でも特にパッシブタイプのICタグのみを指して用いられることが多い。
これに用いるタグをRFタグと呼び、無線通信によって外部からその情報を読み書きする。従来は、複数の電子素子が乗った回路基板で構成されていたが、近年、小さなワンチップのIC (集積回路)で実現できるようになってきた。この場合はICタグと呼ばれ、そのサイズからゴマ粒チップと呼ばれることもある。
非接触ICカードも、RFIDと同様の技術を用いており、広義のRFIDの一種に含まれる。非接触ICカードは乗車カード(Suica、ICOCA、PASMO、PiTaPaなど)や電子マネー(Edy、iDなど)、社員証やセキュリティロックなどの認証用など色々な用途がある。この分野では日本ではFelicaが支配的である。
狭義では、タグとリーダとの間の無線通信技術であるが、技術分野としてはそれにとどまらず、タグを様々な物や人に取り付け、それらの位置や動きをリアルタイムで把握するという運用システム全般まで含めて語られる。
実世界のオブジェクトを、デジタルの仮想世界と結びつけて認識や操作ができるようになるという点が、社会的に様々な波及効果を与えると考えられている(期待される用途を参照)。
目次
1 タグの種類
2 通信方式
3 使用する電波の周波数帯
4 期待される用途
5 バーコードとの違い
6 普及の課題
7 参考リンク
8 リライトプリンター関連
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パッシブタグ(受動タグ)とアクティブタグ(能動タグ)の2種類がある。
パッシブタグ
パッシブタグとは、タグリーダからの電波をエネルギー源として動作するRFタグで、電池を内蔵する必要がない。タグのアンテナはタグリーダからの電波の一部を反射するが、ID情報はこの反射波に乗せて返される。反射波の強度は非常に小さいため、アクティブタグに比べてパッシブタグの受信距離は比較的短くなるが、安価にできること、ほぼ恒久的に作動することから、今後の普及の本命と目されている。タグリーダ側は、比較的強めの電波を供給し、タグからの非常に微弱な反射波を受信・解読できる必要がある。
ICそのものにアンテナが埋め込まれている場合も多いが、その場合、通信可能距離は数センチオーダーに制限される。通信距離を伸ばすには、ICの外部にアンテナを取り付けることが必須となる。
RFIDに期待が高まっているのは、このパッシブタグが非常に安価(10円以下)に生産できる見込みが出てきたためである。
アクティブタグ
アクティブタグは、電池を内蔵したタグである。自ら電波を発するので、通信距離が長く取れる(10-100メートル以上)。またセンサーを内蔵して、自発的にその変化を通知することができるので、センサーネットワークとしての用途が期待されている。
また、電磁波の伝達方式で、次の2つに分類することもある。
電磁誘導方式
タグのコイルとリーダのアンテナコイルを磁束結合させて、エネルギー・信号を伝達する方式。電波方式に比べて、エネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先に進んだ。Felicaはこちらの方式である。電磁波の周波数としては、135kHz、13.56MHzで、この方式が採用されている。パッシブタイプでの通信可能距離は最大でも1m程度である。
電波方式
タグのアンテナとリーダのアンテナで電磁波をやりとりし、エネルギー・信号を伝達する方式。電磁波を空間に放射して伝達するので、電磁誘導方式に比べて、より遠くのタグと通信が可能になる。が、タグが受け取れるエネルギーがきわめて微弱であるため、パッシブタイプのこのタグは、最近になってようやく実用化された。電磁波の周波数としては、900MHz帯、2.54GHzで、この方式が採用されている。通信可能距離はパッシブタイプで3-5mである。アクティブタイプでは、電波強度さえ許せば数キロメートルオーダーでも通信可能である。
アンテナで伝達するという点で2者に基本的な違いはないが、この2つの違いは、電磁波の波長とアンテナ間の距離で決まる。波長に対して距離が長ければ、空中を伝搬する電磁波として伝達され、短ければ空間放射されるよりも前に、電界・磁界の変化が他方のアンテナに伝わる。
パッシブタイプのタグでは、タグ内部に整流回路が内蔵されており、タグリーダからの電波を整流して、直流に直し、それを電源として、ICが動作する仕組みになっている。 通常、リーダからの電波は、プリアンブルに続きコマンドbit列で変調されたものである。この後にさらに無変調のキャリアが続く。 プリアンブルの部分で、ICの初期動作に必要なだけのエネルギーが蓄えられる。 そしてコマンドbit列を復調して解釈し、無変調部キャリアの部分で反射波に返答を乗せて情報を返す。 リーダからの変調およびタグの返答の変調には、振幅変調、周波数変調、位相変調、あるいはその組み合わせ変調が用いられる。 パッシブタイプのタグでは、必ずリーダからの送信が始めにあって、タグはそれに応えて情報を返す。つまり、タグから自発的に情報を出すことはない。
これに対して、アクティブタイプのタグでは、情報を自発的に発することが可能である。 定期的に情報を発信するタイプ、センサーを内蔵してその変化があったときに発信するタイプ、 などがある。もちろん、リーダからのコマンドに応答して返答するタイプも存在する。
使用する電波の周波数帯
135kHz
135kHzのタグは、もっとも歴史的に長く使われている。世界的にも規格が統一化されているが、通信できる情報量が小さい上、電磁誘導方式であるため、通信可能距離が数十センチメートル前後と短く、アンテナがどうしても大きくなるという短所がある。しかし電波の性質上、周波数が低い程水分の影響を受けにくいため、回転寿司の自動精算などの飲食店向け用途・スキー場のリフト券などのレジャー施設向け用途といった、水分と密接な環境下での優位性は高い。また、自動車のイモビライザーキーも135kHzのICタグである。しかしその他の一般的な乾燥した環境下での用途に関しては、UHF帯、2.45GHzのタグに取って代わられるものと予想される。
13.56MHz
これも電磁誘導方式である。一般的な非接触式ICカードが利用している周波数帯であるため、13.56MHzのICタグは我々にとってもっとも身近な存在であり、広く使われている。CD、ビデオショップなどで盗難防止用によく使われているもののうち、RF方式と呼ばれるものは、この帯域に近い8.2MHz帯が主流であり、13.56MHzのパッシブタイプの元になった技術である。