PC-VAN
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クラブ・サークル

SIGの電子掲示板内でトラブルが発生すると必ず既得権益のSIG-OPから「じゃぁ、別なSIGを作れば良い」って反論が出た。当然と言えば当然の発言だが当時のPC-VANでは新しいSIGの開設を安易に認めなかった。特にSIGのテーマが「平和」等の個人の主観に依存するテーマのSIGではこの種の論争が絶え間なかった。 SIGの既得権益擁護派と見られたくないPC-VAN事務局は、追加料金を支払うことによって自由にメンバー制のSIGもどきを提供するサービスを始めた。これがクラブ・サークルで、書き込みの蓄積規模、参加可能メンバー数でクラブ>サークルの構造で提供された。

==追加料金(参考)==
ク ラ ブ:200円/月
サークル:2000円/月

優良なクラブ・サークルはSIGへ昇格するって触れ込みだったが、実現はしなかった。 同様に、お試しSIGも審査の上提供されたが、もはやパソコン通信の終焉期にPC-VAN事務局の打つ手はことごとく外れ、同様の機材で法人サービスをしていたため、辞めるに辞められない事態が1995年頃から始まる。


ハンドル

会員個々はハンドルを設定できたものの、当初は初回使用時にいきなり質問され、1回だけ設定できる(しかも後で変更できない)という厳しいものだったが、いつの間にか回数の制限なく変更が可能になった。また、この設定したハンドルは会員情報の検索で調べられたが、設定した以外のハンドルを使う人もいた。しかし別人に成りすまそうと別ハンドルを名乗る人がいても、会員情報を調べられれば一発で正体が発覚した。そのため複数のIDを入手する人もいた。またハンドルを何度も替える人や、同じハンドルを使い続ける人など色々だったが、ハンドルに思い入れがある人ほど一貫して同じハンドルを使い続けた。

OLTにおいてはハンドルネームでの参加が基本で、OLTに参加するごとにハンドルネームの入力を促された。多くのOLT愛好者は上記ハンドル同様に、各人のハンドル自体がアイデンティティと同一化していたため、前回のハンドルネームをそのまま入力して参加した。 ちなみにPC-VANのOLTでは、ハンドルネーム変更の画面で改行コードのみを入力すると、前回利用していたハンドルネームが表示されるシステムとなっていた。



PC-VAN文化

管理志向が強かったニフティサーブとは異なり、放任に近かったPC-VANでは自由風土が根付いた。ために文化面においても、ニフティサーブとは異なった文化が誕生し、文化が継承されていったものの、PC-VAN末期に近づくに従い、独自の文化は必ずしも優勢ではなくなった。


背景

文化は風土の影響を受けるが、PC-VANの風土はニフティとは幾つかの点で違っていた。その第一として、運営事務局の対応が、PC-VANでは消極的であった。これはよく言えば放任だが、実際には運営事務局がトラブルに巻き込まれるのを恐れ、積極的な介入は務めて避けようとしていた。第二として、発言削除や会員排除機能が、当初はSIGの主催者用IDに付加されていなかったことである。そのため、問題ありとされた発言でも簡単に削除することはできず、発言削除は書き込んだ当人の意思によるか、運営事務局に依頼しての削除しか方法がなかった。しかし、先ほど述べたように、運営事務局は介入に積極的ではなかったことから、書き込んだ当人が同意しなければ削除の道はないのとほぼ同様であった。そういった中で、SIG「チアリコンピュータワールド」は唯一の例外で、削除機能が早い段階で付与されていた。

このような状態は、「言論の自由」が保障されていたにも等しいが、かと言って、そのまま打ち捨てられていたわけではない。おかしな発言をする人は叩かれる定めであったし、村八分同然の状態に置かれてしまうこともあった。そのため結果的に、自主削除に追い込まれるにしても、「内容に関わらず発言の機会は保証する」、といった考えに結びつくことにもなった。

SIG主催者の中には、発言削除機能の付加を求める声があったものの、色よい返事は返されなかった。しかし「LADY紛争」の最中に、運営事務局は全SIGの主催者IDに、削除機能を一斉に付与した。これに対しては戸惑いが見られ、削除機能などいらない申し立てるSIG主催者や、管理に苦労するので返したいと主張するSIG主催者など様々であった。また削除機能を使うに当たって、事前に削除条件を定めるよう通達が送られ、それぞれのSIGにおいて削除方針が定められたが、削除可否について延々と討論が繰り広げられることも少なくなく、時には不用意に削除したために、吊るし上げられる場合もあった。
後には、参加者排除機能も付与されたが、これについては申告制で、削除機能付与の時と同様にして、排除機能行使についての方針の定めが求められた。


論争

PC-VANでは、「ネットの中の事はネット内で解決する」が不文律とされ、徹頭徹尾論に徹することが求められた。そのため、論争技術が発達して、駆け引きやレトリックが日常化し、また罵倒に付いても磨きがかけられた。そして実力至上主義が大勢を占めたことから、才能ある論者と以外の人との格差が際立った。一方、ニフティサーブでは、事あるごとに実名晒しをして、論争を終わらせる方法が選択されることが少なくなかったため、論争技術はあまり発達しなかった。

文化が異なれば、一方で是とされる事が、もう一方では非とされることもある。ニフティサーブから流れてきたAKITSU=☆=ALPHAは、当初「NIFTY一の論客」と紹介された。しかし、実力至上主義のPC-VANでは、肩書きに敬意を示されるどころか、実力を見通され、その程度の論者として扱われた。またAKITSUはある時、対する相手から電話番号まで公開された。 これは、相手(たねり)から「メールで教えろ」と言われたので「公開は拒否する」との条件付きで伝えたものが、約束を破って公開されたものであった。 しかしAKITSUは、それを逆手に取り「たねりホットライン」として「いたずら電話の内容はたねりの責任なので全て公開」とし、たねりがAIDS感染して風俗でウィルスをばらまいているなど、電話番号公開と同等の「無責任情報」として公開。  そのため。たねりは事務局に「AIDS差別だ」と、泣きついて弱者の権利を利用などの醜態をさらした。  たねりの行為こそ、旧来のPC-VANメンバーからは非難ごうごうであった。PC-VAN文化に照らせば、恥ずべき行為であったからだ。


自己責任

PC-VANでは、自己の言動責任を放棄しない、ことについても不文律とされ、自己では対処不能になって、PC-VAN運営事務局に話を持っていくことは、「事務局に泣きついた」として蔑まれた。
ニフティサーブから流れてきたAPI(PC-VANにおいてのハンドルネームはお子様ランチ)は、ある時、ともと関わりを持った。そして暫くの間、ともとやり取りしていたが、ともが自身の思いのままにならないことに気づき、PC-VAN運営事務局に話を持っていった。その結果、ともは ID剥奪になった。ともの姿が見えなくなったことが掲示板のメンバーの話題に上がった後、APIはPC-VAN運営事務局に話を持っていったことを明らかにした。しかしAPIの思惑通りに賛同されるどころか、「自身で対処できないことに手を出しておきながら・・」などと非難の嵐になった。ニフティサーブでは、自分の手に負えないことは、運営事務局に話を持っていくのが日常化していたためと推察できるが、このような点から「ニフティ幼稚園」と揶揄されることもあった。


文化の翳り

1993年、新入会員のためのPC-VAN事務局直轄フォーラム「わかばマーク(WAKABA)」が開設された。1987年当時の第一期SIGオペが相次いでも燃え尽き症候群でPC-VANを去ったこともあり、新規加入者にとっては各SIGの常連さんの敷居は高く、そのような入門者を集め、教える目的で開設されたのがWAKABAであった。そして既存のSIGへと連動していくこと想定されてはいたものの、既存文化の継承が考慮されていなかったため、旧会員との間とで軋轢が生じ、「わかばもの」なる侮蔑語も発生した。そのため、初心者同士が集まってWAKABA文化を創る結果ともなった。
WAKABAにたむろするWAKABAモノは、「卒業してくれ、もうここに書いてはいけない」となって反発されるが、WAKABAモノにはパソコン通信の開拓者の気概は無いので「そんなもんかなぁ」と離れていく。1988年の有料化で3万人にまで減ったと言われたPC-VAN会員だが、その後100万人(法人契約を含む)まで回復したものの、文化の方向性を見失った時代がWAKABAから始まった。


用語

主に、PC-VAN早期からの会員で使われた用語がある。

RAM - 書き込みと読むの両方を行う人。出所は不明だが、会員数の1割と言われた。

ROM - 読むだけの人。

MSG - 発言を意味する。


女性会員

1990年代の中期頃、女性会員は3割ないし4割を占めると言われたが、開局まもない1980年代末では2%程度であった。一部のSIGにおいて「女性優先ボード」を設けているところはあったものの、女性を引き寄せるような方針は特に打ち出されてなかった。それに対し、ニフティでは「LADYフォーラム」が存在していたことから、PC-VANにおいても同様のものを作ろうという動きが出てきた。

SIG「QLD画像通信」には、「美容室」という名の女性優先ボードがあった。ここに集う女性たちは、SIG主催者であった魔女に相談し、「美容室」を独立させて新しいSIGを作ることを決め、運営事務局に申請書を提出した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki