K-T境界
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K-T境界(ケイ・ティーきょうかい)とは地質年代区分の用語で、約6500万年前の中生代新生代の境目に相当する。生命誕生以来何度か発生した大量絶滅のうち最新の事件で、恐竜を代表とする大型爬虫類が絶滅したことで有名。巨大隕石落下の想像図

白亜紀(Kreide:ドイツ語 英語で頭文字がCのものが多いためあえて用いられる)と新生代第三紀(Tertiary)の境目なのでK-T境界と呼ばれている。

K-T境界では直径約10kmの巨大隕石ユカタン半島付近に落下したことが判明している。この隕石落下は生物相変化をいっそう促進したと考えられるが、その影響の大きさについては諸説ある。
目次

1 大量絶滅

2 地球気候の変化

3 高濃度のイリジウム:隕石説と火山説

4 巨大隕石落下の証拠

5 想定されるシナリオ

5.1 顕生代の内訳のグラフ


6 脚注

7 参考図書

8 関連項目

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大量絶滅

中生代は大型爬虫類の時代であった。地上では恐竜が、空中では翼竜が海中では首長竜魚竜が繁栄していた。K-T境界ではこれらの大型爬虫類の全てが絶滅した。生き残ったのは、爬虫類の系統ではカメヘビトカゲヤモリなどの比較的小型の種類とワニなどに限られ、恐竜直系の子孫である鳥類も絶滅を免れた。海中ではアンモナイト類をはじめとする海生生物の4割(有孔虫では種の97%以上と属の92%以上)が姿を消した。この時期に絶滅した生物種は、全体の70%ほどと見積もられている。これらの生物がいなくなった後に哺乳類と鳥類が進出し、現在の生態系が形成された。陸上の植物相は、ジュラ紀末まで隆盛を誇ったソテツ類などの裸子植物に代わり、白亜紀中頃には被子植物が主体となっていたが、花粉分析の結果、被子植物主体であるものの、K-T境界を境に、(シダ植物の一時的進出はあったにせよ)その構成は大きく変化していることが示されている。


地球気候の変化

中生代を通じて地球の気候は温暖であった。当時の爬虫類の分布から想定して、平均気温は現在より10〜15℃程度高かったと考えられる。原因として大気中の二酸化炭素の濃度が現在よりも高く、温室効果が大きかった事があげられる。中生代は火山活動が比較的活発で、火山ガスによって二酸化炭素が大量に大気中へ供給された。中生代の二酸化炭素濃度は現在(0.03%)の10倍以上あったと推定されている。中生代に繁栄した恐竜を代表とする生物種は、この高温に適応した生物であった。しかし白亜紀末期には気温が徐々に低下し始めていたため、隕石落下前の地層から発見される化石では、大型恐竜やアンモナイト類の種の数が減少していた。


高濃度のイリジウム:隕石説と火山説

1980年、地質学者のウォルター・アルヴァレズ(Walter Alvarez、一般にはアルバレスとも)とその父でノーベル賞受賞者でもある物理学者ルイス・アルヴァレズ(Luis Alvarez)は、K-T境界における大量絶滅の主原因を隕石とする論文を発表した[1]。アルヴァレズ父子はイタリアのグビオに産するK-T境界の薄い粘土層を分析し、他の地層と比べきわめて高濃度のイリジウムを検出した。イリジウムは、地表では極めて希少な元素である反面、隕石には多く含まれること、デンマークに産出する同様の粘土層からも同じ結果を得たことで、イリジウムの濃集は局地的な現象ではなく地球規模の現象の結果であると予測されることから、彼らはその起源を隕石に求めた。隕石の衝突による「核の冬」が大量絶滅を引き起こしたと考えたのである。

この論文は、地質学者の激しい抵抗で迎えられた[2]。反論のなかで最も有力だったものが、イリジウムの起源を火山活動に求めた火山説である。地表では希少なイリジウムも、地下深部には多く存在する。それが当時起こっていた活発な火山活動(デカントラップ)により地表に放出されたとするのが火山説であり、隕石説に反対する多くの地質学者がこの説を支持した。

以来、およそ10年にわたって、隕石説と火山説の間で展開された論争は、1991年に、ユカタン半島において白亜期末に形成されたと見られるクレーター跡が発見されるに至って、隕石説に軍配が上がる形で決着した。


巨大隕石落下の証拠K-T境界:チクシュルーブ・クレータ(Chicxulub Crater)

白亜紀と第三紀を境する、イリジウムに富む薄い粘土層はイタリアやデンマークだけでなく、アメリカや日本等世界各地に分布している。特に北アメリカでは、イリジウム濃縮層とそれよりやや厚い粘土層の2層が観察され、衝突の結果形成されたクレーターが付近に存在すると考えられてきた。

粘土層中には、高熱で地表の岩石が融解して飛び散ったことを示すガラス質の岩石テクタイトやスフェルール、高温高圧下で変成した衝撃変成石英(Shocked Quartz)、ダイヤモンドも発見されており、これらはすべて、衝突時の衝撃により形成されたと考えられている。また粘土中には多量のすすが含まれ、これは衝突時の高熱により地上の植生等が大規模な火災を起こした証拠と考えられている。

1980年の論文の時点で、落下したと考えられる隕石の大きさ(直径10km程度)は計算されていたが、落下したことの最も確実な証拠であるクレーターの場所については、先述の通り北アメリカ近辺にあるらしい、という以外明らかではなかった。

1991年、ユカタン半島北部に存在する円形の磁気異常と重力異常構造が再発見され[3]、その後の調査の結果、求めるクレーター跡であると認められた。

K-T境界では、上記のように直径約10kmの巨大隕石が落下した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen