国民党の予備選挙には、馬英九のほかに高雄師範大学の雷僑雲教授が出馬を表明したが、雷僑雲は予備選挙への登録に必要な署名を集めることができなかった。また、出馬が有力視されていた王金平も立候補の表明を行わなかった。このため、予備選挙への登録を行えたのは馬英九ただ一人という状況になり、国民党は5月2日、中央常務委員会において馬英九を総統選挙の候補者とすることを正式に決定した。
総統選挙には副総統候補とコンビで立候補することになるが、馬英九はこの人選に苦労することになる。当初、副総統候補を王金平と考えていたが、互いの意見が一致せず、両者の話し合いは5月31日に決裂する。6月23日、副総統候補として蕭万長元行政院長が最終的に選ばれた。
詳細は第七回中華民国立法委員選挙を参照
総統選挙の前哨戦として2008年1月に立法委員選挙が行われた結果、中国国民党が立法院の定数の3分の2を超す81議席を獲得し大勝した。これにより、国民党は単独で総統を罷免できる権限を手に入れた。さらに親民党や無所属議員等と協力すれば、憲法改正も可能となる。
一方の民主進歩党は27議席しか獲得できず、惨敗した。民進党と同じ泛緑陣営に属する台湾団結連盟にいたっては、候補者が全員落選して議席を獲得できなかった。
中国との統一共同市場の設立を行うべきか否か。馬候補は行うべきだとしているが謝候補は認めるべきではないとしている。李登輝は国の独立を守るためにも認めるべきではないとして3月20日に謝候補への投票を表明した。
中国で取得した学歴や資格を台湾でも認めるか否か。馬候補は認めるとしているが謝候補は失業者が増えるとして認めるべきではないとしている。
法哲学を専攻したことから、哲学的思考に立脚した政治路線や原則を打ち出してきた。また内心では強固な台湾主体性哲学を持ちつつも、国民党や中国など民進党が伝統的に対立してきた勢力とも「和解と共生」を打ち出し、対話を求めるスタンスで、「現実的な理想主義者」ともいわれる。
六つの基本政策理念
一つの国家:台湾は一つの主権が独立し、社会が共生する国家
二大原則:主体性(独自性)と開放性の両立
黄金の三角:経済発展、社会正義、生態環境の三つを共に実現
四つの優先:台湾優先、環境優先、文化優先、弱者優先
台湾維新 五つの方向性:価値維新、文化維新、教育維新、経済維新、政治維新
六星計画:台湾を6大地域(北北基、桃竹苗、中彰投、雲嘉南、高高屏、宜花東)に分けて、それぞれが相互に計画を立てて競争することで台湾全体の競争力を高める
日本が明治維新によって開国し近代化したことにならって、戦後中華民国政府の支配によって内向きで閉鎖的な傾向が出てきた台湾を開放し、多元的で寛容な開かれた海洋国家として建設しようというスローガンおよび目標。
準先進国レベルで、グローバル経済の真っ只中にある台湾は、単にGDPなどマクロ指標の高さを目標にするのではなく、国民の生活の質、満足度、幸福度の向上を目標とすべきだという主張。
「台湾運命共同体」とは、エスニックグループの違いを乗り越えて、台湾住民の運命は一つだという考え方で、謝長廷が1987年に打ち出し、現在台湾社会では共通認識になっている。次の三つの次元からなる:
政治的に、台湾の2300万人は中国の脅威と圧力を受けているという運命を共にしている。
経済について、短期的な利益を考えるのではなく、生態・環境・司法・法治・教育制度に配慮した発展を目指す。
社会的弱者に対する思いやりと関心を持ち、適切な制度を作っていくこと。それによって社会を安定させる基盤づくりができ、台湾の一体性が強まる。
2005年行政院院長に就任した際、激しい政党対立の緩和が国民から要請されていた。そこで、異なる立場や思想を持った集団とも敵対ではなく、和解と共生が必要だと主張した。自著では、共生とは単なる共存ではなく、積極的に異なるものどうしが交わり、対話する状態を指すと説明している。具体的には、陳水扁政権になってから敵対状態が続いてきた国民党との対話と協力であり、国内の不毛な対立を止揚してこそ国際的に困難な状況を克服できると主張する。また台湾にとって最大の脅威である中国とも恒久平和を目標に対話を打ち出した。
台湾の内政改革や対中国政策に関する原則。台湾は改革と建設、対中交流を進めるべきであるが、それは台湾の主体性を基盤にするとともに、かたくなに殻に閉じこもるのではなく、海洋国家としての特性を生かして、異なる他者への寛容と開放性を 持ち合わせなければならないという主張。台湾の主体性を守ってこそ、中国を 含めた諸外国との国際協力が可能であり、それこそが台湾の生存発展によって最高の条件を生み出す。
すでに準先進国レベルにある台湾がさらに発展する(経済繁栄)には、生態環境を犠牲にしない持続的発展(環境保護)、経済的な財を適切に配分できる社会政策(社会正義)とのバランスと均衡発展が必要だという考え。
1989年に打ち出された原則。「台湾優先、文化優先、環境優先、弱者優先」をいう。
コミュニティとは公共管理の最小単位であり、民主主義が永続的に運営されるための基本でもある。台湾のエスニシティ対立、党派間の対立の問題は、健全なコミュニティをボトムアップで作っていくことで、解消されるという意味である。
高雄市市長となってから打ち出された理念。激しい政党対立が展開される台湾社会では、人間間の信頼関係が徐々に失われつつある一方で、盲導犬と人との関係には愛と信頼が存在していることを発見、ここに信頼回復の鍵があると考えた。
台湾にとって伝統的な友好国である日本とアメリカとの信頼関係の発展と強化を目指し、中国とも対話を進める現実穏健路線。日米を軸に、韓国、欧州、国交があるアフリカ・中南米・太平洋諸国との関係発展も重視している。
12項目の優先公共事業を設け政府支出を増加させ、経済成長を促進する。
五つの基本理念
区域均衡発展:各区域発展につながる空港都市等の大規模開発計画
イノベーションのための基礎環境建設:科学技術の発展と技術者の育成
都市の再生:各都市の活性化と地域間格差の是正
知的資本の蓄積:教育・文化産業・IT産業の振興
永続発展の重視:造林・治水建設・下水道整備・交通整備を中心とした環境保護基礎工事の推進
五つの効果と利益
台湾経済の活性化
民間投資の促進
国民所得と雇用の増加
国民生活の向上
所得格差の是正
執行の説明
予算配合:予算の割り当ての支持を立法院から受け、政策実現のために地方政府と協力する。また、地域間格差の是正のために中南部・東部に多くの予算を配分する。