カーボンブラックは、広義には炭素からなる黒色顔料の総称として使われ、後述のランプブラックやボーンブラックを含む。黒色顔料の名称としてカーボンブラックと呼ぶ場合、チャンネルブラックやファーネスブラックなどの極微細カーボンブラックを指す。チャンネルブラックは著しい漆黒度と着色力を持ち、粒子の直径は僅か10nmである。ファーネスブラックは、表面が不活性で、通常カーボンブラックとして取引されているもののほとんどはファーネスブラックである。
ランプブラックは油を不完全燃焼させて得た「煤」である。使用の歴史は数千年前に遡る。生産効率は悪いが足色に美しい青みが出る特異な色合いの顔料である。
植物原料を炭化させたもので使用顔料によって「葡萄蔓黒・葡萄蔓炭」、「桃核黒・桃核炭」などと命名されるが慣用名になっており、例えば「ピーチブラック」を冠する製品は存在するものの広く一般に入手可能な製品に桃核黒・桃核炭を使用した製品は存在しない。真正の桃核黒・桃核炭を望むならば、例えば火鉢や鞴などの簡便な道具を用いて自作するほかない。このときなるべく高温で焼成すると植物性黒らしい青味の強い黒色顔料を作ることが可能である。ただし当然ながら火には注意しなければならない。
獣骨を焼成し製造した黒色顔料。主成分は燐酸カルシウムで発色成分である炭素は10%前後に過ぎない。この値は原料骨によって左右される。象牙は有機物含有量が高いために、象牙黒炭素を多く含有する着色力が強い黒色顔料を作ることができる。油絵具などに見られる「アイボリーブラック」のアイボリー(象牙)は名前ばかりで実際には牛などの骨による骨炭が使用されている。しかし2007年新たに発売された国産油絵具「油一」の「アイボリーブラック」には真正の象牙による骨炭を贅沢に使用されていおり、一部で話題となった。
黒鉛は平面状の分子がきちんと層状に積み重なったもので、炭素の原子が蜂の巣状(六角形が二次元的に繰り返された)に共役結合した平面分子である。現在グラファイトは顔料の形で購入可能であり、鉛筆から手作りした鉛筆の粉とは性質が異なる。
黒及びブラックに関する項目
物理では光を全く反射せず、それ自身の温度による放射のみを発する物質を想定し、これを黒体と定義している。黒体放射は天文学に応用されている。
熱の輻射率が最も高い色であるため、光の吸収を考慮する必要がない機械内部の放熱板の色は黒であることが多い。
黒(クロ)は、有を意味する。⇔白(シロ)
犯罪者、有罪を表すことがある。⇔白(無罪)
検査では、陽性を表すことがある。⇔白(陰性)
黒は闇のイメージから、「悪」「死」「恐怖」「災禍」の意味を付加されることが多い。⇔白(善)、赤(生)
黒魔術は一般には悪事のための、あるいは悪魔の力を借りた魔法とされる。
日本では喪服は黒で統一されることが多い。ただし明治時代以前においては、喪服は白であった。明治天皇の葬儀から、欧米に合わせて喪服を黒とするようにされた。
俗に、訃報を黒枠という。新聞や雑誌などでの死亡広告が、太目の黒ふちの枠で囲んだレイアウトであることにちなんでいる。
死→戦争→闘争との連想から、黒は「武勇」「憎しみ」「男性」を表す。また、「男性」を表す色には、黒以外に青もよく使われるが、黒が一般的である。例えば、トイレのピクトグラムでは、男性は黒で示されることが多い。⇔赤
黒旗が象徴するもの:(1) 海賊。「黒地に髑髏」。(2)(殺人犯への)始末。中世のイギリスでは、死刑執行が終わると黒旗を掲げた。(3) F-1などのモータースポーツでは、失格の意となる。
特に警戒すべき者が記載された名簿を、俗にブラックリストという。⇔ホワイトリスト
災害時の医療トリアージでは、死者もしくは救命不可能な患者に黒のタグを装着する。⇔赤、黄、緑
ぞっとさせるユーモアを、ブラックユーモアという。
ブラックマンデー・暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)など、異常な株価下落に対して「ブラック」が用いられることもある。
錬金術では富や財産を表す。
西洋の紋章学において黒色はセーブルと呼ばれる。古フランス語。ペトラ・サンクタの方法では交差した水平及び垂直の線で表現する。色の名前はクロテンの毛皮に由来する。
黒は政治的にはアナキズムを象徴する。マルクス主義の赤が「血」を象徴するのに対して、アナキズムの黒は「死」を意味し、「死ぬまで自由のために闘う」事を表現している。
黒はファシズムを象徴する例もある。これは、黒シャツ隊や、プロイセンの近衛兵を真似たナチ親衛隊(SS)の制服に由来する。日本でも、右翼の街宣車は黒で塗装されている物が多い。
印刷や筆記具では、白紙に黒文字で書くことが多いため、黒は「有」「全てを包含する」というイメージを持つ場合がある。 ⇔白
黒は、白や明るい他の色よりも重いイメージを持つため、見た目よりも重く感じさせる働きを与える作用を有する。実験では、同じ質量の物でも白色の同じ物質と比較して1.8倍は重く感じるという。