治療法各論
薬物療法
うつ病に対しては、抗うつ薬の有効性が臨床的に科学的に実証されている。ただし抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1ないし3週間の継続的服用が必要である。このことをしっかりと理解して服薬する必要がある。抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・眠気などの副作用が比較的多い。これに対して近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI等は副作用は比較的少ないとされるが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされる。また、不安・焦燥が強い場合などは抗不安薬を、不眠が強い場合は睡眠導入剤を併用することも多い。なお、抗うつ薬による治療開始直後には、年齢に関わりなく自殺の危険が増加する危険性があると米食品医薬品局(FDA)から警告が発せられた。又、近年セント・ジョーンズ・ワートを始めとしたハーブの利用にも注目が集まっているが、有効性はまだ不明である。なお、非定型うつ病については、本来モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害剤)が第一選択になり、欧米では活用されているが、現在日本で認可されているものはない。
認知行動療法
外界の認識の仕方で、感情や気分をコントロールしようという治療法。抑うつの背後にある認知のゆがみを自覚させ、合理的で自己擁護的な認知へと導くことを目的とする。対人関係療法も認知行動療法の要素を持つ。
精神療法
いわゆる「カウンセリング」と言われるもの。
電気けいれん療法(ECT)
頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行う。薬物療法が無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などに行う。有効性・安全性とも高い治療法であり、保険診療でも認められている。
経頭蓋磁気刺激(TMS)
頭の外側から磁気パルスを当て、脳内に局所的な電流を生じさせることで脳機能の活性化を図るもの。保険は未承認。
その他、実験的段階にあるものや、限定的に行われる治療法として以下のようなものもある。
断眠療法
文字通り、睡眠を断つ治療法。「徹夜明けでハイになる」というものに近い。短期的には一定の効果があるが、再発率が高い。
光療法
強い光(太陽光あるいは人工光)を浴びる治療法。過食や過眠のあることが多い、冬型の「季節性うつ病」(高緯度地方に多い冬季にうつになるタイプ)に効果が認められている。
運動療法
有酸素運動の有効性が学会で指摘されている。入院時の日課とする病院もある。
音楽療法
総説
Belmaker RH, Agam G. "Major depressive disorder." N Engl J Med. 2008 Jan 3;358(1):55-68. No abstract available. ⇒PMID 18172175
脚注^ テレビ東京「主治医が見つかる診療所」2007年10月2日放映分
^ ⇒DSM-IVの診断基準
^ 内海健 うつ病新時代?双極II型という病 勉誠出版
^ 「うつ」からの社会復帰ガイド うつ・気分障害協会編 岩波アクティブ新書115
^ ⇒山脇成人(2005年). page 8,9.
^ ⇒学習・記憶、情動に関わるエピジェネティック制御機構
関連項目ウィクショナリーに ⇒鬱病の項目があります。
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