食肉
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熟成

筋肉は、と畜直後は死後硬直により硬くなり、そのまま食用に供することは出来ないため、熟成を経て解硬させてから食用に供する。熟成は基本的に枝肉の段階で行われる。

熟成に要する期間は畜種ごとに異なる。ウシなどの場合は、解硬のみならず、熟成によって生じる独特な香気を十分に発生させるため、十分解硬したのちもさらに長期に熟成させることもある。


成分と機能

本項では食肉の主な成分と、それらが栄養や味および香り、さらに健康機能などにおよぼす影響を述べる。


主な成分

食肉の主な成分はであり、他にタンパク質脂質無機質ビタミンなどで構成される。
タンパク質
食肉のタンパク質は、主に筋線維を構成するタンパク質、筋漿に溶解しているタンパク質、および結合組織を構成するタンパク質に分けられる。
脂質
食肉中の脂質の多くは中性脂質であるが、それらのほとんどは筋間脂肪組織および筋肉内脂肪組織(いわゆる「霜降り」)に分布する。霜降りの存在により、脂肪の含有量はバリエーションが大きく、牛肉のロース(胸最長筋)では40%を超えるもの、豚肉のロースでも近年は10%を超えるようなものも出てきている。また、リン脂質も含まれるが、これらは細胞膜等の膜に局在している。
無機質
食肉中の無機質で特に重視されているのはである。実際にはヘム鉄の形態で、ミオグロビンおよびヘモグロビンとして存在している。
ビタミン
とくに豚肉において、ビタミンB1(チアミン)が多く含まれることが良く知られている。


栄養学的な特徴

上記のような成分構成から、食肉はタンパク質および鉄について、優れた給源であると考えられている。他方、霜降りの多い食肉は脂肪の含量が多すぎることから、健康状態によっては極端に脂肪の多い食肉を摂取しないよう指導する場合もある。

また、豚肉はビタミンB1の優れた供給源である。

鉄については、無機の鉄よりもヘム鉄の方がよく吸収されることが知られ、このため食肉は優れた給源であると考えられている。


官能特性と成分

味や香り、見た目といった食肉の官能特性は、含まれる成分によりもたらされるものである。

食肉の呈味成分としては、酸味を呈する乳酸をはじめとする有機酸うま味を呈するアミノ酸核酸イノシン酸)およびペプチド塩味を呈する無機塩類、甘味を呈する還元糖などがある。実際にはうま味や酸味が重要だと考えられている。脂肪のおいしさも想定されているが、それが味であるのか香りであるのかについては判然としない。
香り
食肉を特徴付ける「肉らしい香り」は複数の成分によってもたらされるもので、いわゆるキーコンパウンドは存在しないと考えられている。肉の種類などによっても成分は異なり、一概に説明できないのが現状である。肉の悪い臭いについては、オスに由来するいわゆる性臭や、糞便に由来するインドール系の臭気、および保存によって生じる酸化臭などが知られており、それぞれ成分の同定が進められている。
食感
食肉の食感は、主に構成するタンパク質のうち、筋線維を構成するものと、筋肉内結合組織を構成するタンパク質によってもたらされているものと考えられている。
外観
食肉を特徴付ける赤い色はミオグロビンによるものである。ミオグロビンはその誘導体の種類により呈する色が変化するが、好まれる鮮やかな赤色は、ミオグロビンが酸素と結合したオキシミオグロビンによるものである。オキシミオグロビンはさらに酸化されるとメトミオグロビンになるが、このメトミオグロビンは、消費者に好まれない褐色を呈する。食肉を放置すると色が悪くなるのはこのためである。
畜種による官能特性の違い
動物種により味や香り、食感が異なると思われているが、実際に異なるのは香りと食感であり、味は動物間による違いが無いことが明らかにされている。


機能性

食肉を機能性食品として取り扱う例はあまり多くないが、前述の鉄の吸収が良い点などを機能性として紹介する例がある。


流通


流通形態

食肉の流通形態は、大きくと体、枝肉、部分肉、精肉に分けられる。また、加工品として流通する場合もある。
と体
と畜、と鳥した動物の体をと体と呼ぶ。内臓等を除く前、除いた後のいずれともと体と呼ぶ。
枝肉
肉畜において、と体から内臓や原皮等、畜産副生物に相当する部位を除去し、脊髄で左右に切断したものを枝肉と呼ぶ。日本では、枝肉の段階で格付やせりが行われる。ウシの枝肉では、腎臓および周囲脂肪をつけたままにしておくかどうか、国ごとに慣行が異なり、日本では腎臓と周囲脂肪をつけたままにしておくのが一般的である。
部分肉
枝肉を、さらに部位ごとに切断し、余計な脂肪を除去するなどしたものを部分肉と呼ぶ。ウシやブタなどの畜種ごとに部分肉の取引規格が存在し、その規格に基づいて調製される。部分肉の規格は、カットの位置や呼称が国ごとに異なり、国ごとの歴史的な商慣行に基づき規格化されている。
精肉
部分肉を、小売等に適するよう、スライスや角切り、細切れ、ひき肉などに調製したものを精肉と呼ぶ。
加工品
食肉をハム・ソーセージなどに加工したり、精肉を惣菜などに加工した状態で流通および小売されることも多い。


輸送

食肉の輸送は、生体のままで輸送する場合、枝肉や部分肉の状態でチルドで輸送する場合、あるいは凍結で輸送する場合がある。部分肉は真空包装で輸送されることも多い。

生体で輸送される場合は、基本的には農家から市場(と畜場)までの輸送である。


格付

食肉は客観的な規格により格付を受け、その結果により価格が形成される。格付規格はいくつかの国で制定されているが、そのうち日本、アメリカ合衆国オーストラリアのものについて述べる。


日本

日本では、ウシおよびブタについて日本食肉格付規格[1]により格付が行われる。
牛肉の格付
牛肉の格付は、肉付きのよさに関する歩留等級をAからCで(Aがもっとも良い)、肉質のよさに関する肉質等級を1から5で(5がもっとも良い)、それぞれ判定することで行う。歩留等級はロースの大きさや皮下脂肪の厚さなどから、肉質等級は、枝肉を第6胸椎-第7胸椎間で切開した切開面の外観などから、それぞれ判定される。肉質等級においては脂肪交雑(いわゆる霜降り)、肉色、脂肪色、肉のきめおよびしまりなどにより判定が行われている。
豚肉の格付
豚肉の格付は、枝肉の段階で行うが、牛肉と違い切開などは行わない。枝肉重量や枝肉の外観、皮下脂肪の厚さなどから極上?等外の5等級に格付される。


アメリカ合衆国

米国においては農務省 (USDA) による格付制度[2]が確立されており、牛肉については8段階で肉質が格付される。豚肉については日本と異なり脂肪交雑(霜降り)の基準も確立されている。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki