1970年の日本万国博覧会の会場周辺には、電子レンジを組み込んだハンバーガーの自動販売機が登場して、話題になった。
この自動販売機は紙箱に収められたハンバーガーのみ販売し、「パンは蒸気でふやけ、肉はパサパサ」という、ハンバーガーチェーンの出来立てハンバーガーに比べると些か味気ないものであったが、自動であるため深夜でも簡便に暖かい食べ物が供されるという利便性から、無人ドライブインや高速道路のサービスエリアなどを中心に設置が進んだ。
こういった軽食を提供する電子レンジ内蔵自動販売機は、その後の自動販売機設置数の増加も相まって着実に社会に浸透し、冷凍食品の発達にも助けられて様々なバリエーションが登場した。
2000年代の日本では、温める機能のみの単機能な電子レンジであれば、1万円以下で購入でき、経済的に発展し電力事情も良く家電製品の普及している先進国の多くの地域でも、安価な廉価版機種から多機能高性能な機種に至るまで幅広く流通、その利便性が認められて広く使われている。
このため、電子レンジで温めればそのまま食べられる食品も数多く店頭に並ぶようになった。コンビニエンスストアを中心に、風味もよく簡便な冷凍食品が取り揃えられるようになり、スナックフードコーナーには電子レンジ対応メニューが定番商品として並び、いわゆる「コンビニ弁当」と並んで、その場で温められたり、持ち帰って温めて食べられたりしている。
シャープが2005年4月、世界累計生産台数が1億台を達成したことを発表した[4]。
一方、電子レンジに高付加価値をつけた製品も多く登場してきている。その代表的な例がオーブン機能のついた電子レンジである。電子レンジには出来ない「焼く」という機能を、電熱線を使ったオーブン機能で行い、オーブンと電子レンジの双方の利点をミックスしている。ただ、冷凍食品の中には電子レンジの調理機能のみで焼き物料理を実現した製品も出ており、調理法は各々の食品に沿ったものが求められる。
家庭用製品ではマイクロ波の照射・吸収にむらがないように、ターンテーブルを設ける様式が一般的だが、電波の拡散のためのファンを内蔵する製品もある。業務用電子レンジでは出力を上げたり内部で乱反射させることで入れられた食品を回転させることなくムラ無く加熱させる製品も見られる。スチームを利用して加熱したり、あるいは食品の温度を計測しながら自動的に加熱時間を調整するなど、多機能化した電子レンジも登場している。
また、電子レンジは、その構造上商用電源周波数に依存するものが大多数であった。しかし、より効率的な加熱を行うために、インバータなどで、電力をコントロールする機能を有しているものもある。そのような製品は商用電源周波数に依存しないようになっているものもある(いわゆるヘルツフリー)。
電子レンジは使い勝手の良い調理機器であるが、大量の電力を消費することやその性質などから、誤った使い方による事故もあり、またその独特な加熱方法にもよって他の機器には見られない問題点も存在する。
設置に際しては、一般に利用し易いよう、また加熱調理中の食品の状態が目で確認し易いよう、目の高さかやや低い位置に置かれる傾向がある。一般の家電製品の中でも突出して電力を消費するものであるため、他の家電製品では無視されがちな部分にも注意が必要である。
1kW程度の電力を消費するので、電源系統の過負荷には注意する必要がある。電源も蛸足配線のような高電気抵抗配線やトラッキング火災を誘発させかねない状態は避けたほうがよい。
調理の際に水濡れなども起こりうるほか、高電圧を利用するため、漏電に伴う感電防止の観点からアースを取ることを、メーカーなどでも推奨している(無くても動くが正しい利用方法とは呼べない)。
かなり重く比較的高い位置に設置して使う機器なので、震災時に動いて思わぬ事故にならないよう耐震補強しておくとよい。
基本的に利用できる食器は、陶器・磁器(いわゆる「せともの」)のうち金箔・銀箔などを使っていないもの(色彩・装飾された皿は注意が必要である)か、MICROWAVABLEの刻印があるなど電子レンジ用であることが明記された耐熱ガラス器などである。合成樹脂容器の中にも電子レンジ対応のものが見られるが、こちらは内容物(油を含む食品など)によっては融けたり溶けたり(融解・溶解)する場合もあり、過度に熱しないよう注意が必要である。所定の利用方法が説明書などに示されている電子レンジ対応プラスチック容器は、それに従うようにする。
電子レンジはマイクロ波を使うため、金属箔(アルミ箔など)、金属粉を使った(装飾の金線・銀線など)陶器、沈金を施した漆器などは、火花を生じるので使用できない。漆器自体も塗装面が傷むので避けたほうがよい。
耐熱性の無いプラスチック容器を用いると、高温により変形することもある。特に油物を入れた発泡スチロール製のトレーでは溶解する場合がある。また、容器の材質によっては高温により可塑剤などの人体に有害な成分が食品に溶出する恐れもあるので、極力電子レンジ用の容器に移し替えて調理することが望ましい。
食品用ラップフィルムでも成分が溶出する製品も存在するので、電子レンジに利用するものは慎重に選ぶことが望ましい。また耐熱性の面から、ほとんどの製品には「油分の強い食品を直接包んで電子レンジに入れないでください」という注意書きがある。耐熱限度を超えたラップフィルムは溶融して食品に付着してしまう場合もある。
耐熱ガラス容器と混同され易い強化ガラス容器は、これに入れられた料理の加熱後にステンレス流し台の上に置くと、容器の底面接触部分だけが急速冷却された形になり、粉々に破砕することもある。2000年代に肉じゃがを加熱したガラス器がひとりでに粉砕したとしてニュースで取り上げられた。
調理
電子レンジ調理の際、食品から熱が伝達して容器が熱くなる場合があるので、容器の耐熱性や取り扱いには十分注意する。必要に応じて鍋掴みを用いたり、あら熱を取ってから食品を取り出すようにすることも火傷の事故を防ぐ手段となる。
密封された冷凍食品や透明袋入りのレトルト食品を加熱する場合は、パッケージの指示に従って、一部を切るなど、蒸気の逃げ場を作る必要があり、これを怠ると容器が破裂する場合もある。スナックフードなどプラスチック袋で包装されたものなども同様で、パンパンに膨れたパッケージを破る際には蒸気でやけどする場合があるため、加熱前に穴をあける。