地上に限らず、上空でも雨氷は発生する。航空機などは、雨氷が付着すると視界が悪くなったり、機体の重みが増したりすることで、航行に支障が生じることがある[8]。ただ、雨氷だけではなく、その他の着氷も航行への支障の原因となる。
雨氷と景観花や葉の表面を覆う氷小型のリンゴ(crab apple)に付着した雨氷
雨氷が物体に付着すると、独特の景観がもたらされる。木々に付着した雨氷は、透明な氷の層を形成し、光が当たるとガラスのように光り輝く。また、山の斜面に帯状の雨氷ができ、それが白く輝いて見えることがある。これらは観光や自然観賞の対象となり、寒い時期に見られる美しい景観として親しまれている。廬山や黄山をはじめとして、山でよく見られる景観として捉えられている地域もあれば[24]、平野部の居住地でも身近に見ることができる景観として捉えられている地域もある。
雨氷を見ることができる地域では、雨氷がもたらす美しい景観やその情緒が、さまざまな形で芸術に表現されている。雨氷をテーマとした文化作品や芸術作品を以下に挙げる。
『雨氷の朝』(詩) - 尾崎喜八 『自註富士見高原詩集』、1969年、日本
『Freezing rain』(歌) - m.o.v.e アルバム『Deep Calm』、2004年、日本
『Freezing Rain Freezin'』(歌) - トロイ・グレゴリー( ⇒Troy Gregory)、2002年、アメリカ
北米やヨーロッパでは、冬を中心に、低気圧の通過時に平野部でも雨氷が発生することがある。以下に顕著な被害を出した例を挙げる。
1994年10月31日 - アメリカ インディアナ州上空を飛行中のアメリカン・イーグル4184便が雨氷に遭遇し、着氷により操縦不能に。同州ローズローン近郊に墜落、乗客・乗員68名が死亡[25]。( ⇒American Eagle Flight 4184)
1996年1月23日 - 24日 - イギリス ウェールズからイングランド中南部にかけての地域で雨氷が発生、各地で停電や交通障害が発生した。[26]
1998年1月5日 - 10日 - カナダ南東部・アメリカ北東部の広範囲で雨氷(アイスストーム)が発生、特にセントローレンス川沿岸で数十mmの雨氷が降り積もった。停電により約400万人が影響を受け、46人が死亡、被害額は数十億ドルに達した[27]。( ⇒North American ice storm of 1998)
日本でも、雨氷の観測や、雨氷被害の報告が多数ある。山地で局地的に発生することが多いため、集落や都市部で見られることは少ない。以下に主な例を挙げる。
1902年1月8日 - 関東地方のおよそ100km四方の範囲で雨氷が発生、電線に被害が出た[2]。
1954年2月27日 - 28日 - 北海道上川支庁で南北約160kmにわたる範囲で雨氷、森林に被害が出た[2]。
1969年1月28日 - 29日 - 長野県の山間部でおよそ90km四方に渡って雨氷が発生、鉄道や電線、林業に被害を出した[22][2]。
1970年2月24日 - 25日 - 新潟県内陸部?長野県南東部[22]
1980年3月22日 - 23日 - 長野県中部でおよそ70km四方にわたって雨氷が発生、鉄道や電線、林業に被害を出した[2]
1987年2月27日 - 28日 - 熊本県阿蘇地方の阿蘇外輪山東側で局地的な雨氷が発生、人工林の杉などが折れ曲がったりし、およそ1億6,000万円相当の被害を出した[28]。
1989年1月24日 - 宮城県仙台平野[22]
2003年1月3日 - 4日 - 関東地方内陸部で雨氷が発生、朝から鉄道の不通や道路のスリップ多発など大きな影響が生じた[21]。
中国でも、雨氷の観測や被害例が多数ある。南方では「下冰凌」「天凌」「牛皮凌」、北京地方では「地油子」といった俗称がある。以下に顕著な被害を出した例を挙げる。
1972年2月末 - 華中から華南にかけての非常に広い範囲で雨氷が発生、広州市、長沙市、南京市、昆明市、重慶市、成都市、貴陽市、北京市にかけて通信障害が発生し、多大な損失が出た[24]。
2008年1月後半 - 記録的な寒波の影響で貴州省、安徽省、江西省、湖南省などで雨氷が発生し、停電やスリップによる交通事故が多数発生した[29]。
国際式天気図の天気記号では、
24.前1時間内に着氷性の雨または霧雨があった(しゅう雨性ではない)→