錯誤
出会い最短記録!!
B分で即アポHも可

[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]


違法性に関する事実の錯誤(違法性阻却事由の錯誤:誤想防衛、誤想避難)

違法性に関する事実の錯誤ないし違法性阻却事由の錯誤とは、その名の通り、自分の行為には違法性阻却事由があるため違法ではないと勘違いしていた場合をいう。

違法性阻却事由とは、通常なら違法とされる行為でもこれを備えていれば例外的に違法とはされず、犯罪として処罰されないという条件のことをいう。典型的には正当防衛緊急避難のことである。つまり、ある人を殴ってもそれが自分の生命を守るためにされた正当防衛であるならば暴行罪は成立しない、という場合の正当防衛が違法性阻却事由にあたる。この違法性阻却事由がないのにあると勘違いして行動した場合が違法性阻却事由の錯誤であるが、これを事実の錯誤と考えるのか、違法性の錯誤と考えるのかについては争いがある。まずはこれが問題となる事例を挙げる。

Aが道を歩いていたところ、向かいから歩いてくるBが突然手を振り上げた。Aは襲われたと思って反撃し、Bの顔面を殴りつけた。しかしBはたまたまAの後ろを歩いていた友人に手を振っただけで、Aが襲われたわけではなかった。

Aの行為は暴行罪の構成要件にあてはまる。事実BがAに襲いかかってきたのだとしたら、その行為は自己を守るための正当防衛であり、違法性が阻却され、犯罪は成立しない。しかし現実には正当防衛になるような状況がなかった(正当防衛を規定した刑法36条1項にいう「急迫不正の侵害」がなかった)のであるから正当防衛にはなり得ないと解するのが一般である(藤木説、川端説、井田説のように行為無価値一元論の立場から正当防衛とする見解もある)。ただAが正当防衛の要件があるという誤った想像をしていただけなのである。これを誤想防衛といい、違法性阻却事由の錯誤における典型例である。

事実の錯誤説
誤想防衛では自分の行為が違法であると認識するための事実について勘違いがある。上記の例でいけば正当防衛の要件である「急迫不正の侵害」という事実があると誤認している。これは違法性に関する事実の錯誤であって前述した事実の錯誤にほかならず、違法性はあるが故意を阻却し、犯罪は成立しないと考えるのが通説である。ただしここでいう故意とは責任の段階における故意(責任故意)であり、ここでいわれる錯誤も構成要件に関する事実の錯誤で展開された複雑な錯誤論とは異なる単純なものである。つまり、責任故意においては違法性に関する事実の表象が要件とされ、違法性に関する事実の錯誤がある場合にはこの要件が欠けるため責任故意が阻却されるにすぎない。

違法性の錯誤説
これに対して、誤想防衛においては構成要件的事実の認識はあり、ただ単に自己の行為が違法であるかどうかという評価を誤っただけなのであるから違法性の錯誤(法律の錯誤)の問題であると考える立場もある。これは前述した厳格責任説を採る論者の立場から主張されている。厳格責任説を採るこの論者は責任故意の概念を認めず、責任能力期待可能性の他には違法性の意識(の可能性)のみが責任要素を構成すると考えるので、故意といった場合には構成要件段階における故意(構成要件的故意)のみを指すとする。そして構成要件に該当する事実(殺人罪なら「人を殺す」ことであり、窃盗罪なら「他人の物を盗む」ということ)を認識している以上構成要件的故意が認められ、責任段階での責任故意を否定するので、違法性阻却事由に関する事実の錯誤は故意を阻却せず、違法性の錯誤の問題にすぎないという結論になる。

誤想防衛には3つのパターンがある。
「急迫不正の侵害」がないのにあると思い込み、相当な手段で反撃した場合。

「急迫不正の侵害」がないのにあると思い込み、相当な手段で反撃したと思ったが実は過剰な手段であった場合。(有名な「勘違い騎士道事件」がこれに該当する)

「急迫不正の侵害」がないのにあると思い込み、過剰な手段で反撃した場合。

これを具体的に考えると、以下のようになる。
木の杖で襲われたと思い込み、その場にあった木の棒をとっさにつかんで反撃した。

木の杖で襲われたと思い込み、その場にあった木の棒をとっさにつかんで反撃したつもりだったが、実際につかんだのは斧だった。

木の杖で襲われたと思い込み、その場にあった斧を斧であると承知した上で反撃した。

1は誤想防衛、2と3は誤想過剰防衛と呼ばれ、特に2は「急迫不正の侵害があった」ということと「反撃手段が相当である」ということの二つについて事実誤認があるため二重の誤想防衛と呼ばれる。 誤想過剰防衛については、結論としては、過剰性について認識があった場合には過剰防衛とし、過剰性について認識がなかった場合には誤想防衛とする説が有力である。


法律の錯誤(違法性の錯誤)

違法性の錯誤とは、発生した違法な事実については認識があり認識通りの結果が発生しているが、自分の行為は「違法ではない」と思い込んでいた場合である。これには法の不知と当てはめの錯誤という二つの類型がある。以下、具体例を挙げて説明する。

法の不知
大麻を所持することが一定の条件の下において合法とされている国に育ったAが、出身国で合法的に大麻を入手し、それを持ったまま日本へ入国した。Aは日本において大麻を所持することが処罰の対象になるということを知らなかった。Aは大麻の所持を禁止する法律の存在それ自体を知らなかった。これが法の不知による違法性の錯誤である。

当てはめの錯誤
Aは自転車を盗まれて悲嘆にくれていたところ、数日後に自分の自転車がBの家のガレージにおいてあるのを発見した。Aはその自転車をガレージから出して、自分の家に持ち帰った。Aの行為は通常ならば窃盗罪にあたるが、Aとしては自分の自転車を持ち帰って何が悪い、違法な行為であるはずがないと考えていた。しかし現在の通説や判決例によれば、この場合には窃盗罪が成立してしまう可能性が高い(司法の判断に待つべきであるところを自分の判断にて行う「自救行為」として処罰の対象となる)。つまりAは違法なことをしているのにその自分の行為について「違法ではない」という誤った評価を下してしまっている。これが当てはめの錯誤である。

法律の錯誤(違法性の錯誤)の場合、すなわち違法性の意識が欠ける場合に故意(責任故意)ないし責任が阻却されるか、 ⇒38条3項に関連して争いがある。

この問題の前提として、まず、これを故意(責任故意)の問題とするか、故意以外の責任要素の問題とするかの争いがあり、故意説は故意(責任故意)の問題とする。これに対して、責任説は故意犯と過失犯に共通する問題として故意(責任故意)以外の責任要素の問題とする。

制限故意説
通説である制限故意説は、故意(責任故意)の問題としつつ、違法性の意識は責任故意の要件ではなく、ただ違法性の意識の可能性は責任故意の要件とする。責任主義の見地からは違法性の意識を要件とすべきだが、他方で確信犯の処罰の必要性からは違法性の意識を要件とすべきではなく、違法性の意識の可能性があれば人格形成における反規範的人格態度を認めうる点で違法性の意識がある場合と同質といえるからである。制限故意説によれば、38条3項の解釈は、本文の「法律を知らなかった…」とは「違法性の意識を欠くこと」ではなく、「法律の規定を知らないこと」を意味し、法律の規定を知らないだけでは責任故意は阻却されないことを意味するとされ、ただし書の「情状により…」は、違法性の意識を欠いたが、その可能性があったとき、責任故意は阻却されないが、刑を減軽し得る旨定めたものとされる。結局、制限故意説によれば、違法性の意識を欠き違法性の意識の可能性もなかったときは、責任故意は阻却されるが、違法性の意識を欠きつつも違法性の意識の可能性があったときは、責任故意は阻却されない。ただし、違法性の意識の可能性があっても、それが困難であったときは責任が減少し、刑を減軽し得る(38条3項ただし書)。

厳格故意説
厳格故意説は、故意(責任故意)の問題とする点では同じであるが、違法性の意識は責任故意の要件であるとする。

責任説
他方、責任説は、故意以外の責任要素の問題としつつ、その責任要素として違法性の意識は要件でなく、ただ違法性の意識の可能性は要件とする。

判例
判例は、違法性の意識の可能性に言及することなく、ただ違法性の意識は不要としている。なお、違法性の意識の可能性を必要とする下級審裁判例は多数あり、その中でも制限故意説に立つことを明らかにするものもある。これをふまえて、違法性の意識可能性が(少なくとも故意犯には)必要であるというのが実務上の取扱いである。


関連項目

故意

違法性違法性の本質と故意の正否には密接な関連がある。

たぬき・むじな事件

ブーメラン現象


近所セレブを即検索
永久無料セレブマップ

[次ページ]
[オプション/リンク一覧]
[記事の検索]
[おまかせ表示]
[トップページ]
[ニュースをチェック!]
[列車運行情報]
Size:34 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki