第1条の「もって」以下にあるとおり、最終的には「国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的」としているが、これを達成するため、直接的には、同条の冒頭にあるとおり、
「企業内容等の開示の制度を整備」(第2章 - 第2章の4)
「金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め」(第3章 - 第4章)
「金融商品取引所の適切な運営を確保」(第5章 - 第5章の2)
その他(課徴金、罰則等、自主規制団体など)
の規定を目的とする法律である。
そのため、企業内容に関する開示について定めるほか、金融商品取引業の登録制度や、金融商品取引所や金融商品取引清算機関、証券金融会社に関する免許などについて定める一方、信頼される金融商品市場の形成を目的として、不公正取引などが禁止され、これに対応する課徴金や刑罰などについても規定がある。
金融商品取引業等の主たる許認可・登録関係は、以下のとおりである。
No種別許認可等
1金融商品取引業登録
2第一種金融商品取引業の行うPTS業務認可
3登録金融機関登録
4金融商品仲介業登録
5認可金融商品取引業協会認可
6認定金融商品取引業協会民法第34条の規定により成立した後、認定
7金融商品取引所免許
8自主規制法人認可
9金融商品取引清算機関免許
10証券金融会社免許
取引に関する規制
不公正取引の禁止(第157条)
風説の流布・偽計取引等の禁止(第158条)
相場操縦行為等の禁止(第159条)
空売りの規制(第162条)
内部者取引の規制(第163条以下、特に第166条及び第167条)
以前は「証券取引法」という名称であったが、2006年3月に「証券取引法等の一部を改正する法律」が国会に提出され、同年6月に成立したことにより、金融先物取引法などの金融商品に関する法律群をこの法律に統合し、それに伴い、名称が「金融商品取引法」に改題されることが決定し、2007年9月30日に施行された。
この改正は、
投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度の整備
公開買付に関する開示制度や大量保有報告制度の整備
四半期報告制度の導入
財務報告に係る内部統制の強化等に関する制度の整備
開示書類の虚偽記載及び不公正取引(インサイダー取引)の罰則強化
などを主内容としている。
日本では90年代後半から日本版ビッグバンに代表される金融システムの改革・再編に関する議論が盛んであり、今回の金融商品取引法の制定もその流れの延長線上に位置付けられる。
日本の証券取引法の母法であるアメリカの証券法における「証券」概念はそもそも幅広い対象を予定するものであった。またその他の諸国においても、イギリスでは2000年金融サービス・市場法(FSMA)において定義された「投資物件」概念、ドイツの2004年証券取引法改正、EUで2004年4月に採択された金融商品市場指令(Mi-FID)において導入された「金融商品」概念など、各投資商品(金融商品)について横断的な規制を及ぼす方向に移行しつつあり、国際的な金融市場の整備という点からも同様の横断的な規制を及ぼす必要が生じていた。
従来の証券取引法で用いられていた語句のうち、「証券」との語が付く用語は、原則として「金融商品」が付く語に置き換えられている。このため、金融商品取引法においては、いくつかの章のタイトルも変更されている。
以下の章は、章名が従来どおりである。
第1章,第2章,第2章の2,第2章の3,第4章の2,第5章の4,第6章,第6章の2,第7章,第8章,第9章,附則
以下の章は、章名が変更される。
第3章は「金融商品取引業者等」に、第3章の2は「金融商品仲介業者」に、第4章は「金融商品取引業協会」に、第5章は「金融商品取引所」に、第5章の2は「外国金融商品取引所」に、第5章3は「金融商品取引清算機関等」になる。
なお、以前の証券取引所、証券会社は、法律上の用語としては、「金融商品取引所」「金融商品取引業者」となったが、経過措置として「証券取引所」、「証券会社」の名称・商号を継続して使用することが認められている。
廃止された法律
外国証券業者に関する法律
有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律
抵当証券業の規制等に関する法律
金融先物取引法
この法律の制定前後においては「投資サービス法」という名称が仮称として、官庁の文書などを含めて使用された。ただし正式名称として金融商品取引法という名が採用されてからは、投資サービス法という名はもはやあまり聞かれなくなった。なお、「投資サービス法」と並べて用いられた言葉が「金融サービス法」であった。前者は投資商品(投資性のある金融商品)のみを規制の対象とするものとして、後者は投資性のないものも含めたあらゆる金融商品を規制の対象とするものとして用いられた。金融商品取引法は投資性のあるもののみを「金融商品」として規制対象とするので「金融サービス法」ではなく「投資サービス法」なのである。
この法律の一部について経済界、監査法人などを中心に「日本版SOX法」あるいは「J-SOX法」(オリジナルのSOX法はアメリカ連邦法)と呼称されている。これは金融商品取引法全体を指すのではなく、新たに義務付けられた内部統制報告書の提出に関する部分についてのみを指すのが一般的である。内部統制報告書ないしは内部統制システムについての詳細な基準については、内閣府令に委ねられている。「日本版SOX法」による日本の内部統制については「内部統制」の項にて詳述。
「この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とされている。これが原則であるが、ただし規定によっては別個の施行期日が定められている(外部リンク参照)。