醤油
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濃口醤油・淡口醤油の登場うすくち醤油(左)、こいくち醤油(右)

江戸時代初期までは、日本の醤油の主流はたまり醤油で、主な産地は上記の湯浅に代表される近畿と讃岐(引田小豆島)に集中していた。しかし、たまり醤油は製造開始から出荷まで3年かかり、生産量が需要に追いつかなかった。

1640年代頃、寛永年間、巨大な人口を抱えて醤油の一大消費地となっていた 江戸近辺において、1年で製造できる「こいくち醤油」が考案された。また1666年には、現在の兵庫県たつの市で円尾孫右兵衛が「うすくち醤油」を考案したと言われている。


近代日本の醤油

明治以後、醸造技術及び企業形態の近代化が進む一方で、醤油が生活必需品である事に目をつけた政府が「醤油税」を導入。これは大正期まで続いた。

第二次大戦後、食糧難に伴い主原料の大豆が確保出来ず、日本の醤油製造は危機的状況に陥った。連合国軍最高司令官総司令部が醤油の重要性を理解せず、大豆を酸で加水分解した方が効率良く製造できるとの指導を行ったとも言われる。このため、苦肉の策として大豆の加水分解液を醤油に利用する方法が導入され、戦後しばらくの間はこうした醤油造りが続いた。

しかし、食糧事情の回復とともに本来の醤油造りが復活し、現在ではアミノ分解法等の製法は、ほとんど用いられていない。

現在、減塩食の流行や食事の欧米化に伴い、醤油の国内消費量は減少傾向にある。一方、日本人海外渡航者数の増加や、海外における健康食としての日本食の流行などにより、醤油の輸出量は増加していった。こうした状況を受け、キッコーマンはアメリカ合衆国に工場を建設するなど、醤油は国際的な調味料として愛好されている。


様々な醤油近年登場した「卵かけ飯専用醤油」台湾の醤油インドネシアのケチャップマニス中国の醤油


日本の醤油

日本の醤油には長い歴史があり、各地で独自の風味や味わいを持つ醤油が開発されてきた。日本農林規格(JAS)では、製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されている。そして醤油は「しようゆ」と表記されている。
こいくち(濃口)
関東地方で発達した最も一般的な醤油。醤油の生産高の約9割はこれを占め、通常、単に「醤油」というとこれを指す。様々な料理の味付けに使われる。食堂にある醤油は、まずこれと思ってよい。原料の大豆と小麦の比率は半々程度である。生産地として、千葉県野田市銚子市香川県小豆島がある。
うすくち(淡口)
1666年に龍野の円尾孫右衛門長徳が考案したとされる。濃口よりも原料の麦を浅く炒り、酒を加えるのが特徴。元々は龍野でのみ消費されていたが、18世紀半ばに京都への出荷が本格化。以降、関西地方で多用されるようになった。濃口に比べると色や香りは薄いが、塩分濃度は高い。食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われる。仕込み時に、麹の量を少なく、仕込み塩水の比率を高くする。圧搾前に甘酒を加えることもある。淡口は色が最重要視されることから、酸化して黒みが出たものは価値が低い。そのため、こいくちよりも賞味期限が短くなる。
たまり(溜り)
風味、色ともに濃厚なもの。刺身につけたり、照焼きのタレなどに向く。原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量である。東海3県九州地方が主産地である。
さいしこみ(再仕込み)
甘露醤油とも呼ばれる、風味、色ともに濃厚なもの。天明年間に周防国柳井で考案されたと伝えられる。刺身、寿司などに向く。仕込工程にて、塩水のかわりに生醤油や醤油を用いて造る。一般的には淡口醤油の諸味が用いられる。
しろ(白)
色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色をしている。味は塩分が強く、少し甘みを含む。煮物に向く。原料は大豆が少なく、小麦が中心である。色の淡さが特に重要なため、淡口よりさらに賞味期限が短くなる。
減塩しょうゆ・うす塩しょうゆ
塩分の割合を通常の醤油より減らしたもの。前者は高血圧心臓病腎臓病などの人を対象に、厚生労働省の「特別用途食品」に指定され、減塩しょうゆの塩分は9%で通常の醤油の半分。うす塩しょうゆの塩分は13%で通常の醤油の8割程度。製造方法は、醤油からイオン交換法で塩分を除去する方法と、濃厚に造った醤油を希釈する方法の2通りがある。
刺身しょうゆ、だししょうゆ、土佐しょうゆ等
醤油を原料に、昆布だしやカツオだし、液糖やステビア等の甘味料を添加し、うまみを強化した液体調味料。公的な基準はないため、同じ「刺身しょうゆ」でもメーカーごとに風合いは異なっている。


日本以外の醤油

健康食として日本食が世界各地で好まれるようになってから、醤油を世界各地で手にいれることが出来るようになった。醤油は現在100カ国以上の国に輸出されており、生産は年14万キロリットルにも達する。大手メーカーでは現地生産も行っている。

一方、アジアの他の国々にも醤油に似た調味料が存在し、英語では産地やタイプに拘わらず "Soy sauce" と呼ばれている。
醤油(中国)
中国にも大豆から作る「醤油 jiangyou」がある。中国料理における醤油の用途は、香りや味より、むしろ色づけに重点を置いているため、色調は濃い。カラメル等を加え、どろっとしてマイルドな「老抽」、塩が立って色が淡めの「生抽」がある。
カンジャン(韓国)
大韓民国では「カンジャン」(??、「塩辛い醤」の意)と呼ばれる醤油がある。カンジャンも、日本の醤油と比較して色調が黒めで、主に他の調味料とブレンドし、ヤンニョムとして利用することが多い。また、日本と同様に刺身に「つけ・かけ」用途でも用いる。
ケチャップマニスとケチャップアシン(インドネシア)
インドネシアでも、歴史的に大豆を原料とした液体調味料が使われている。代表的なものとして「ケチャップマニス」(Kecap manis, manis=「甘い」)、「ケチャップアシン」(Kecap asin, asin=「塩辛い」)が用いられている。ケチャップマニスは、物性的には、色調が黒く、甘辛くどろっとした調味料である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki