醤油
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添加物
保存料
醤油では一般的に、防黴効果の高い安息香酸ナトリウムまたはパラオキシ安息香酸ナトリウムを使用する。高付加価値商品では安息香酸を添加しない製品もある。
アルコール
保存料として安息香酸を利用しない場合、アルコールの防黴作用を利用することがある。アルコールを添加して防黴作用を持たせる場合は、安息香酸を添加した場合と比較し、品質保持期間は短くなる傾向にある。
甘味料
一般的に、甘草ステビア果糖ブドウ糖液糖サッカリン等が使用される。塩の辛さをやわらげ、マイルドな味わいとなる。
カラメル
黒色を呈色させる場合に添加する。また、独特の甘さと香りも追加される。
調味料(アミノ酸等)
グルタミン酸ナトリウム、核酸系調味料を添加して、うまみを強化する場合がある。


使用器具
かい棒
醤油や酒などを作る際、樽内をかき混ぜるために使用する棒のことを指す。


醤油の保存

醤油は塩分とアルコールを多く含んでいるので常温でも腐敗しにくい。ただし開封後は、極力酸素を避けて密封し、冷蔵保存することが望ましい。酸素存在下で放置すると、揮発性成分が揮発して香りが減少するほか、特に防黴剤として安息香酸が含まれない場合は、醤油液面に酵母(産膜酵母)が白く膜状に繁殖することがある。

このような産膜酵母の実態は、醤油の主発酵酵母と同種のZygosaccharomyces rouxiiであり、いわゆる「醤油に生えるカビ」である。害は無いが香りは悪くなり、糖を消費するため味も劣化する。さらに、酸化によりメイラード反応が進み、色は黒くなる。

なお、醸造期間にも劣化は平行して進行するため、単純に「長期醸造」が高品質というわけではない。


醤油メーカー

日本の醤油メーカーも参照

日本国内の醤油メーカーは、近年は急速に減少し、20年前には2000社以上を数えたと言われたが現在は約1500社を下回っている[4]。 これは、醤油価格が低迷している上、大手メーカーの地方進出に加え、副製産物の廃棄コストや設備の維持費高騰のため、地方の零細・小規模メーカーが廃業を続けているためである。

商品としての醤油はコモディティ化が進んでおり、他の食品と比較して利益は一般的に低い。その一方で、年々、衛生面での要求は厳しくなり、廃棄物に対する規制は強くなっている。特に、エネルギーコストが必要な製麹工程、人的・場所的コストが必要で、醤油油や醤油粕などの廃棄コストが必要な仕込工程を省略し、全工程を独力で行わない製造者が増加している。製麹工程までを外部に依存するケース、仕込工程までを行わずに大手生産者より生醤油を購入し、火入・詰工程を行うケース、OEMとして大手製造者に発注するケースがある。また、協業組合として複数の生産者が、製麹・仕込工程までを行う工場を作るケースもある。地方の中小メーカーの存在は、地域の食文化に密接に関係するもののため、文化保全の意味も含めて、「残って欲しい」と惜しまれている。

都道府県別では、キッコーマン(野田市)、ヤマサ、ヒゲタ(いずれも銚子市)等の大手が存在する千葉県が34%、ヒガシマル(たつの市)が存在する兵庫県が16%であり、この2県が圧倒的である。

醤油メーカーの名称はキッコーマンに代表される「キッコー○○」の商標名が各地に多い。


醤油の評価法

品質は「色」「香」「味」で評価される。高品質の醤油を製造するためには高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理が必要となる。
醤油の色
醤油の「色」は熟成の期間や温度経過によって異なり、無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まで存在する。醤油はアミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進むことで産生されるメラノイジンにより色は濃くなる傾向にある。一般的には淡色で赤い色調のものが良いとされ、製造/管理的に高度な技術が必要だが、地方性により、特に濃口醤油においてはむしろ色が濃いものが好まれる場合もある。
醤油の香り
醤油の「香」には、鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」がある。香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物であり、メイラード反応から、ストレッカー分解を経て産出される有機化合物、加熱工程にて産生される焦げ香も、醤油を特徴付ける重要な要素である。醤油は長期保存によって酸化が進み、「劣化臭」といわれる臭いがつくこともある。また、製造工程における衛生管理の問題により、バクテリアによる腐敗臭や、味噌のような臭いがつくこともある。
醤油の味
醤油は、塩辛さ、うまみ、甘みを強く持つ。塩辛さは原料の塩から、うまみは主にアミノ酸、甘みは糖による。アミノ酸は、麹により産生されたプロテアーゼアミラーゼ等の酵素によって大豆由来のタンパク質が分解されたもの、糖は同じく小麦由来のデンプンが分解されたものである。


醤油の官能評価

「きき味」により、主に色・香・味が評価される。「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」醤油が良質とされる。

花のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香が一般的に良しとされるが、製品によっては生乾きの雑巾のような臭い、汗のような臭いなど「悪い香」を呈するものもある。また、「麹の香」「味噌の香」「アルコールの臭」などの香りが加わっているものもある。

「よい香」とされる香も強すぎると問題となるため、それらのバランスにおいて製造者ごとに特徴が出る。


JASによる格付け

JAS(日本農林規格)では、醤油の品質基準に、含有する窒素分、無塩可溶性固形分(エキス分)、アルコールの量に従って格付けされている。 その中でもっとも重要とされるのが、「うま味」の指標となる全窒素分である。

「標準」(濃口: 1.2%以上、淡口: 0.95%)

「上級」(濃口: 1.35%以上、淡口: 1.05%)

「特級」(濃口: 1.5%以上、淡口: 1.15%)

また、JASの他に日本醤油協会が定めている基準がある。

「特選」: 特級の10%増し(濃口: 1.65%、淡口: 1.265%)

「超特選」: 特級の20%増し(濃口: 1.8%、淡口: 1.38%)

また、醤油業中央公正取引協議会が定めるものとして、以下の表示を利用することができる。

上級醤油は「上選」、「吟醸」、「優選」、「優良」

特級醤油は「特吟」や「特製」

日本醤油協会で言うところの「超特選」(特級の1.2倍)の場合、「濃厚」


醤油と微生物


麹菌

カビの中で、を作る際に用いられる菌が麹菌である。麹菌Aspergillus oryzaeおよび、醤油麹菌Aspergillus sojaeは、ともに醤油醸造に用いられているが、分類学的にはそれぞれAspergillus flavusとAspergillus parasiticusと分類される。 Aspergillus flavus, Aspergillus parasiticusともに猛毒アフラトキシンを生産する、有毒なカビとして知られるが、産業的に用いられているAspergillus oryzaeおよびAspergillus sojaeは、醸造工程中でアフラトキシンを生産することはない。 下の研究の結果、麹菌のアフラトキシン生合成経路は機能していないことが明らかとなった。 麹菌のアフラトキシン生合成能は、天然の麹菌から良質の麹菌株を得た時、もとからアフラトキシン生合成能を持たない株を選抜したか、数百年にわたる選抜および育種の結果、アフラトキシン生産能が欠けてしまったものと考えられる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki