タイトルの「部長刑事」とは階級が巡査部長の刑事のことを指し、警察本部刑事部の長である「刑事部長(階級は警視正か警視長)」と混同されがちだが全く異なる。
但し、本当は実際の警察においては「部長刑事」という呼称は殆どされていない。そもそも刑事という呼称そのものも殆どされていないので巡査部長階級にある刑事も他の課の警察官と同じく「主任・班長」と呼ぶのが一般的である。
小説やドラマでは警察官が巡査部長であれば「部長さん」、巡査部長や巡査長の“長”から「長さん」という呼び方をする描写が見られるが、これも実際にこのような呼ばれ方がされることは無い。そもそもこの呼称自体がフィクションによる産物が出所なので実際の警察では元々そのような呼称は使われていない。巡査長の場合は敬意を払って「苗字+さん付け」にするか、“○○巡査長”と呼ぶことがほとんどである。
番組は一貫して毎週土曜日に放送(当初は19:30〜20:00。2001年度だけ18:30〜19:00に移動。但し土曜日にプロ野球中継など当該時間帯を跨ぐ全国ネット特番がある場合、当日時間枠が17時台に移動)。
1958年9月から1989年3月までは「連続アクチュアルドラマ・部長刑事」と題して、関西を中心に活躍する俳優やタレントが大阪府警察本部の部長刑事として登場、毎回原則として1話完結(作品によっては複数週をまたぐものもあった)で大阪の庶民的な観点から様々な事件の犯人などの人間模様を描き続けた。
オープニングのタイトルバックには、かつて大阪府警捜査一課で「浪速のコロンボ」とまで呼ばれた名刑事、森川覚一(1975年3月定年退官)の眼光鋭い目が使われていた。
放送開始当初から1965年頃までは生放送で製作されていた。当然やり直しはきかず、入念にリハーサルを行ったにも関わらず本番で台詞を忘れるタレントが続出した。
特に初代部長刑事の中村栄二はよく台詞を飛ばし、タバコを吸ってごまかしていた。また、カメラに映らない椅子の後ろや柱に書き込んでおいた台詞(カンニングペーパー)をスタッフに消されて、当てにしていたタレントが台詞に詰まって慌てたり、死体役が瞬きするなど、本番中のハプニングは頻繁に発生していたようである。
筒井康隆が脚本を書いた回が2回ある。
もうひとつの動機(第1100回、1979年11月24日放送)
刑事たちのロンド(第1300回、1983年9月24日放送)
これらの脚本はそれぞれ、放送後に『SFアドベンチャー』に掲載され、さらに筒井の戯曲集『筒井康隆劇場 ジーザス・クライスト・トリックスター』(1982年新潮社)、『筒井康隆劇場 スイート・ホームズ探偵』(1989年新潮社)に収録された。
「大阪の庶民的な観点から、事件に関わる人々の人間模様を描く」という体裁は、平成に入った1989年4月から2001年3月まで続いた「新・部長刑事 アーバンポリス24(にじゅうよん)」にも踏襲された。主人公となる部長刑事に、篠田三郎、勝野洋、小野寺昭、京本政樹といった、全国メジャーのタレントを起用したのが、大きな特徴である。
「アーバンポリス24」では、重厚な作風を重視していた事や、事件の複雑化で1話30分で事件が解決出来ない事から、1話2週完結のストーリーが多かった。そのため、前編の放送では「後編につづく」のテロップ表記をし、後編の放送で主役の刑事が前編でのあらすじをナレーションで紹介し、「前回のあらすじ」のテロップ表記した。また、当時忙しかった出演者とスタッフのスケジュール確保やマンネリ化防止も兼ねていた事も理由に含まれる。
また、「アーバンポリス24」では、舞台を「大阪府警特捜部」という架空の部署とし、主人公の部長刑事は、東京の警視庁から赴任した(もしくは人材交流によって派遣された)という設定となった。従って台詞について、大阪弁にこだわる必要がなくなったが、その反面、劇中では、部長刑事が標準語なのに対し、彼を除いた登場人物全員(家族を含む)が皆大阪弁、といった状況も生まれた。
この辺りの軌道修正がなされたのが、リニューアルとして、出演者の総入れ替えを行った時である。「特捜部」の設定こそ変わらないが、従前の「戸上班」から「出海班」に舞台は変わり、主人公は府警の南署からの異動、ゆえに大阪弁を使うという設定になった。この時の主人公を演じた京本は、当地出身(大阪府高槻市)ではあったが、ドラマのなかで大阪弁を使ったのは、この作品が初めてだったという。
しかし、視聴率が10%前後と安定していたとはいえ、ゴールデンには全国ネット番組を放送する関係上、編成上の苦労が多かった(#部長刑事放送に伴う影響を参照)。また、キー局であったテレビ朝日から、番組打ち切りの要請もあった。
そのため、2001年4月から、時間帯を18:30からのスタートに変更し、内容も、これまでの庶民的な刑事ドラマから一新する。「部長刑事シリーズ」という名称が公式に使われ始めたのは、この時からである。
2001年度上半期(4月から10月中旬まで)に放送された「部長刑事シリーズ・シンマイ。」は、若手女優・木内晶子を主演に起用し、文字通り史上初めて、部長刑事を主人公としない作品となった。またシリーズで唯一、大阪府警察本部の「応援」から離れた作品でもある。さらにストーリーも1話完結ではなく、続きものの体裁をとった。
警察学校の研修で、大阪府警刑事部特捜班に配属された19歳の女性巡査が、困難に遭いながらも人間として成長していく姿を描いた。ストーリーの序盤で死んだ主人公の兄をゴーストとして登場させたり、また準主役の刑事の離婚等、警察官のマイナスイメージになりえる部分も劇中で描かれるなど、「応援」ゆえの制約が取れた分、様々な意味で幅を広げようとした、意欲作だった。
2001年度下半期(10月下旬から2002年3月まで)には、 宮崎美子主演による、シリーズ最初にして最後の女性刑事を主人公とした「部長刑事シリーズ・警部補マリコ」が放送された。こちらは舞台が実在する部署である生活安全部に移り、母親の役目を果たしつつ、日常に根ざした事件を解決していく警部補の姿を描いた。前作で一旦途絶えた大阪府警察本部の「応援」が復活し、1話完結に戻るなど、従前の「部長刑事」のスタイルへの原点回帰が目立った。
この他に、年1回、シナリオコンクールが開催され、最優秀作品には賞金50万円と、ドラマ化の権利が与えられた。
しかし、マンネリ化が出ていた事や、テレビ朝日製作の全国ネットの放送の受け入れ等で編成上に問題が生じていた事から、「警部補マリコ」放送中の2001年12月、シリーズ自体の打ち切りが発表された。こうして2002年3月、「警部補マリコ」の最終回をもって、「部長刑事シリーズ」は終了、43年7ヶ月(およそ44年)の歴史に幕を下ろすこととなる。
【部長刑事】
作:佐川桓彦、葉月一郎、小松徹、若槻文三、伊藤尚、茂木草介、小函橘、大野武雄ほか
プロデューサー:中西武夫、辰巳禎男
演出:中西武夫(第1回「俺は云えない」から第1513回「心斎橋筋界隈」までの内865本の演出を担当)、谷村政樹、辰野悦央ほか
応援:大阪府警察本部
【アーバンポリス24】
監修:松本明
プロデューサー:深沢義啓、東浦陸夫、田村正志
作:若槻文三、大野武雄、林千代、土井陽子ほか
応援:大阪府警察本部
【シンマイ。】
プロデューサー:森山浩一
作:永冨義人、わかぎゑふ
演出:内片輝、谷村政樹ほか
【警部補マリコ】
監修:松本明
プロデューサー:東浦陸夫
作:山田誠二ほか
演出:皆元洋之助ほか
応援:大阪府警察本部