没収の対象物等については各種の特別規定があり、その中では第三者所有物の没収も広く認められている。
刑法197条の5
賄賂罪に関して、犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂の必要的没収(裁判所の裁量によらず、必ず没収する必要がある)を定める。
関税法118条
禁制品輸入罪、密輸貨物運搬罪などに関して、禁制品や密輸品の必要的没収を定める。
酒税法54条4項
無免許での酒類製造罪・同未遂罪に関して、その「犯罪に係る酒類、酒母、もろみ、原料、副産物、機械、器具又は容器は、何人の所有であるかを問わず没収する」旨規定。
麻薬及び向精神薬取締法69条の3
麻薬類所持罪等に関して、犯人が所有又は所持する麻薬又は向精神薬について、必要的没収を定める。ただし、犯人以外の者の所有に係るときは、没収しないことができる(1項)。また、その罪の実行に関し、麻薬又は向精神薬の運搬の用に供した艦船、航空機又は車両は、没収することができる旨規定する(2項)。大麻取締法24条の5、覚せい剤取締法41条の8にも同様の規定がある。
銃刀法36条
登録済み銃砲刀剣類の無届け所持罪や虚偽申告罪に関して、「銃砲又は刀剣類で当該犯人が所有し、又は占有するものは、没収することができる」旨規定。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)
組織的犯罪に関して、その取得財産・報酬財産、資金等提供罪の資金を「不法収益」とし、不法収益の果実・対価等、不法収益の保有または処分に基づいて得た財産を「不法収益に由来する財産」として、没収することを定める。
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)16条ないし18条
薬物犯罪に関して、組織的犯罪処罰法の没収規定の準用を定める。
第三者所有物没収事件判決(最高裁判所昭和37年11月28日大法廷判決・刑集16巻11号1593頁)違憲判決#第三者所有物没収事件とは、関税法118条1項の規定(関税法違反罪に関係する物件が第三者の所有である場合にも、その第三者に告知・聴聞の機会を与えることなく、当該物件を没収することができる旨定める)に基づいて没収刑を言い渡した判決が、憲法29条及び31条に違反するとした判決である。
この違憲判決を受けて、刑事事件における被告人以外の者の所有に属する物の没収手続を定める刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法(昭和38年法律第138号)が制定された。この法律では、その第三者が被告事件の手続に参加する機会を与え、手続上の権利を定める。
没収と似た概念に、保安処分または刑罰以外の財産的制裁の一種である没取(ぼっしゅ)があるが、刑罰ではない点で没収とは異なる。
また、金銭も没収の対象物となるが、没収対象となるべき金銭が費消などによって失われて没収できないときには、その価額を追徴することができる(刑法19条の2)。 カテゴリ: 刑罰
更新日時:2008年5月9日(金)05:43
取得日時:2008/07/18 09:10