国家の軍隊を一般的類型化したものとして以下のようなものが考えられている。 [6]
政治制度による類型
君主制軍隊:君主制の国家における軍隊。
民主制軍隊:民主主義の国家における軍隊。
社会主義制軍隊:社会主義の国家における軍隊。
総司令官による類型
国王軍:国王や皇帝の指揮統率の下にある軍隊。
政府軍:政府や議会の指揮統率の下にある軍隊。
政党軍:政党の指揮統率の下にある軍隊。
構成員の社会的階級による類型
貴族軍:貴族階級が、特に幹部層を構成している軍隊。
ブルジョワ軍:資本家に属する人々が、特に総司令部や幹部層を構成し、統制している軍隊。
国民軍:ブルジョワ軍に比べて市民に属する人々によって構成、統制している軍隊。
人民軍:ブルジョワ軍に対して人民(プロレタリアート)に属する人々によって構成・統制された軍隊。
部隊編制による類型
傭兵軍:傭兵によって構成された軍隊。
義勇軍:義勇兵によって構成された軍隊。
徴兵軍:徴兵された人員によって構成された軍隊。
構成員の国籍による類型
外人軍:外国人によって構成された軍隊。傭兵軍と同義語であることが多い。
国民軍:自国民によって構成された軍隊。
編制時期による類型
常備軍:国家によって平時より編制・維持されている軍隊。
民兵軍:戦時になってから編制される軍隊。
法的な正規性による類型
正規軍:国家政府によって法的な正統性に基づいて編制・管理された軍隊。
不正規軍:国家政府の統制下になく、私人や私的な集団によって編制・管理された軍隊。
専門性による類型
専門的職業軍:非常に高度な軍事的専門性を習得した職業軍人によって構成された軍隊。
一般的職業軍:一般的な軍事的専門性のみを取得した職業軍人によって構成された軍隊。
アマチュア軍:軍事的な専門性を持たない非軍人によって構成された軍隊。
軍事戦略の目的による類型
防衛軍(国防軍):防勢的な軍事戦略を採っている国家の軍隊。
侵攻軍(政策軍):攻勢的な軍事戦略をとっている国家の軍隊。
戦闘力の程度による類型
軍隊(純軍隊)
準軍隊(準軍事組織を参照)
軍隊は複数の部隊から成る組織体である。まずその機能から軍政機関と軍令機関に大別できる。軍政機関とは軍事行政を管轄する機関であり、軍事力の維持に関する予算編成、軍需品の調達、部隊の編制等の業務を担当する。軍令機関とは軍事命令を管轄する機関であり、軍事力の運用に関する作戦指揮を行う。
現代の軍隊はしばしばその高度な専門性から政治とは切り離され、プロフェッショナルである職業軍人により組織されているが、軍事的行動は文民政治家によって統制されるという文民統制の体制に置かれていることが多い。本来その目的は近世まで続いてきた政治家(王や貴族)による軍隊の直接統制を廃止し、軍人と政治家を切り離すことで政治が軍事に過剰に干渉せず、軍人がより専門化を推し進める体制を整えることにあった。また、議会制民主主義の浸透により、軍隊が政治の動向とは無関係に行動することを監督する機能もでてきた。そのため今日、軍隊の指揮系統の最上部にあたる最高指揮官はプロフェッショナルの政治家である国家元首や国防相である場合が多い(文民統制を参照)。
幕僚機関とは指揮官の指揮を専門的な立場から補佐する幕僚により構成される機関である。参謀機関は最高指揮官から軍団、師団、連隊等の高級部隊の指揮官の下にも設置されており、幕僚長を中心に作戦幕僚、情報幕僚、兵站幕僚、人事幕僚、計画幕僚等の一般幕僚を中心として複数の幕僚から構成される合議制の組織である。作戦部隊(Line)とは別の機関であり、指揮官の指揮下にのみ入っていて部隊の指揮権を持たない。ただし指揮官の決心を実行するために指揮官の代理者として部隊に命令を下す権限を持っている。参謀機関は戦時においては情報活動、戦術研究、作戦計画び立案などの活動を行い、指揮官の意思決定を補助する。19世紀に生まれたこの幕僚の制度は現代の軍隊では広く採用されている。
詳細は陸軍を参照
陸軍は陸地を主要な活動領域とし、陸戦を遂行する。作戦を遂行する歩兵、砲兵、戦車、航空部隊や、戦闘支援・後方支援を行う通信、需品、衛生、化学、会計、音楽部隊などから構成され、部隊が配備される駐屯地(基地)を持つ。
詳細は海軍を参照
海軍は海洋を主要な活動領域とし、海戦を遂行する。航空母艦、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、潜水艦、掃海艇、航空機などから構成される艦隊を持ち、それらが配備される港湾や基地を持つ。
詳細は空軍を参照
空軍は空域を主要な活動領域とし、航空作戦を遂行する。戦闘機、攻撃機、爆撃機、偵察機、電子戦機、早期警戒機、輸送機、空中給油機などから構成される航空部隊を持ち、また防空のための地対空ミサイルなどを有する。それらが配備される基地を持つ。
また旧ソビエトでは空軍とは別に防空軍と言う組織が存在した。
陸海空あらゆる場所において作戦行動が可能な戦力を持つ部隊は統合部隊であり、二国以上の軍隊で構成される部隊が連合部隊、両者が併用された場合は統連合部隊と呼ばれる。国によってその有無、規模、編制は異なる。米軍は地域別に統合軍を保有しており、世界規模の作戦行動を分担している。北大西洋条約機構軍や欧州連合軍は陸海空軍を統合し、さらに諸国の軍隊を連合した編制になっている。
軍学校とは軍隊の下士官や幹部を養成するための各軍各種の学校、大学、幕僚学校等である。これは要員を補充するための補充学校と要員の技能を高めるための実施学校に大別され、軍種や兵科によって設置される。ただし統合幕僚大学では全ての軍種を統合した教育機関である。軍学校の期限は17世紀に常備軍が創設されて将校の補充の必要が生まれたことにあるが、各国軍で軍学校の設置が本格化したのは18世紀後半からである。その教育内容は礼式、戦術と指揮、兵器の運用等であり、海軍ではさらに航海学等が加えられていた。20世紀には空軍の士官学校が設けられると科学技術の知識の必要性が見直され、第二次世界大戦後には一般的な教養科目も大幅に拡充された。