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軍法

軍法とは軍隊の構成員を軍隊の司法機関が規制する特別な法である。軍法の法源は基本的に議会の立法であるが、慣習法に基づいている場合もある。ただし軍隊と無関係の犯罪を軍人が犯した場合は一般的な法廷で裁判を受けさせることは可能である。軍法の適用される範囲は軍隊の構成員である軍人軍属である場合が多く、さらに捕虜に対しても適用される。ただし反逆罪のような罪で起訴された場合は民間人でも軍事裁判で裁かれる国もある。軍事犯罪に関してはアメリカ軍の統一軍事裁判法では20種類の軍事犯罪が明記されており、任務の無断放棄、敵前逃亡、命令違反、敵前での許すべからざる行為などが挙げられている。殺人強盗強姦なども挙げられているが、専管でない。ただし軍事犯罪の定義は国によって異なっており、フランス軍やイギリス軍では純粋な軍事的な犯罪に限定しており、旧日本軍では軍人軍属の犯罪を全て軍事犯罪とまとめていた。軍事裁判が行われる法廷は軍法会議と呼ばれる。軍種別、部隊別に定められている場合が多く、アメリカ軍では略式軍法会議、特別軍法会議、一般軍法会議があり、それぞれに性格が異なる。犯罪者を起訴するのはその犯罪者が所属する部隊の長であり、事前に公正な調査が行われることと定められている。ただし指揮官は軍法会議によらず限定的な懲罰を部下に課す権限を持っており、この細部も国によって異なっている。


軍隊と政府

詳細は文民統制を参照

現代の軍制は概ね政治統制に基づいて国家元首の下に設置されているが、歴史的にはさまざま関係のあり方があった。政府指導者と軍隊指揮官が同一であった時代に始まり、その後に政府指導者と軍隊指揮官は軍事的な専門性の深化から分離されていった。そのために政府指導者による軍隊の統制という新しい必要性が生まれることとなった。アメリカの政治学者であるサミュエル・P・ハンティントンはこの文民統制を大きく政府指導者が軍隊の専門分野にまで強く介入する主観的文民統制と政府指導者が軍隊に専門分野に特化させて最低限の統制を保つ客観的文民統制に分けて論じた。またパールマターやファイナーは本来的に軍隊が政治へと介入しうる存在であることを軍隊の団体性や動機から説明している。軍隊と政府の関係は軍事と政治の関係であり、本質的には政治に軍事が従属するものであり、政府の意思を軍隊が代理して遂行する。しかしながら実際には政府は軍隊の軍事上の専門性を完全に理解することはできないために一方的な統制を行うことは出来ず、専門的な助言や判断を軍隊に対して要する。ここに政府と軍隊の関係がどうあるべきかについての問題がある。(政軍関係


軍隊と警察

軍隊と警察は多くの点で特徴を共有している。警察は実力を以って法を執行し、その抑止的な能力によって秩序を維持する組織であり、その観点から軍隊と機能が一見類似している。しかしながら本質的には意義、権限、権限付与の単位、活動地域、基本的属性などが異なっている。警察の機能は国内法に基づいて犯罪の防止と法の執行を行い、部分的な治安維持を担うが、一方で軍隊の機能は国際政治において国家主権の象徴であり、必要時には武力を行使する組織である。軍隊は国防省などの下で行政府の外部に設置された国家の自衛権を担う機関であり、警察は行政府の下に置かれる行政機関である。さらに警察は国内法により権限が与えられているが、軍隊に与えられている権限は国際法によるものであり、国際法の主権絶対の原則や主権平等の原則に基づいた原則的無制限の権限である。現代の戦時国際法による制約はあるものの、それらは無制限の原則に基づいた規則であって権限の原則を規定しているわけではない。権限付与の単位として、警察では一人の警察官にまで権限が付与されているが、軍隊の権限は部隊行動を前提としており、個人の兵士一人ひとりに付与された権限ではない。活動領域についても警察力の行使は国内に厳格に限定されているが、軍事力の行使が可能な領域は国内に限定されない。警察力が外国で行使された場合は国際法では主権侵害であり、軍事力であればそれは戦争である。またそもそも警察の身分は基本的に文民であり、軍人ではないために戦時国際法における軍人として扱われることはない。ただし警察組織も非常に国によって多様性があり、より重武装な威力警察や準軍事組織などがある。[7]


軍隊と社会

詳細は文民統制#社軍関係を参照

軍隊と社会の関係は一般的に限定されたものとなりやすい。これは軍隊という組織がそもそも社会の内部で活動する組織ではないことや、軍隊そのものが平時の軍事活動の統率や防諜のために一つの閉鎖社会を形成していることなどによる。そのために軍隊と社会の関係が悪化すると軍隊への風当たりは強くなり、軍事費の縮小の機運が高まるなどの反応が起こる。このような場合には軍隊内部での綱紀粛正が重視される(一例として、自衛官の犯罪率は一貫して、日本の一般国民の一割程度を保っている)。これは上述の統率と言う観点からも必須である。また平時が続くと切迫した必要性の感覚が政治家や国民から失われるため、兵器開発や訓練、部隊維持のための費用が削減される傾向があり、場合によっては大規模な軍縮に繋がりうる。


日本の軍隊

日本に存在する、または存在した軍隊およびそれに準ずる組織。

軍団

大日本帝国陸軍

大日本帝国海軍

警察予備隊

海上警備隊

保安隊

警備隊

自衛隊

戦後、日本政府は、日本には憲法上、軍隊は存在せず、その代わりとして防衛組織である自衛隊があり、軍隊と同様に陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊に分かれているとしている。 だが、日本国外のメディアなどでは自衛隊のことを正式名称のJapan Self-Defense ForcesではなくJapanese Armyと呼ばれる場合も多い。この場合の多くは陸上自衛隊を指している。同様に海上自衛隊がJapanese Navyと、航空自衛隊がJapanese Air Forceと呼ばれることもある。また防衛省が設置されている。自衛隊という独自の呼称と建前は議論を呼び続けており改称や改革論がたびたびなされる。候補としては自衛軍(英訳は自衛隊と同じ)・防衛軍(Defence Force)・国防軍(英訳は防衛軍と同じまたはNational Defence Force)・国連待機部隊(国連待機軍)など。


類義語

「軍」「軍団」「軍部」「軍備」と、軍隊の意味と部分的に重なる類語がいくつかある。

」は軍隊そのものを指すほかに、方面軍など軍隊の編制単位を指すことがある。

軍団」は軍隊の編制単位であるが、一般には「たけし軍団」や「日光猿軍団」のように、「集団」に近い意味で比喩的に用いられる。

軍部」は政府・民間の文民機関の対義語として軍機関を指すのに用いられ、主に(政治的影響力を持つ)参謀幕僚など高級将校団を指す。

軍備」は装備や配備を指す。


参考文献

防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)

服部実『防衛学概論』(原書房、1980年)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki