日本の天皇以外の君主で政治的な権限がない国は、北欧やオランダ、スペインなどヨーロッパのほかの立憲君主国でも普通に見られる。
日本の天皇以上に政治的な権限が制限されている君主として、スウェーデン国王があげられる。1979年の憲法改正以後、首相任命権などの形式的な国事行為すら認められていない。政治から完全に分離され、国の対外的代表としての地位しかない。そのため、象徴君主制という新たな区分を設けるべきではないかとする意見がある。
その一方で、リヒテンシュタイン家は、象徴・儀礼的存在にとどまらず、強大な政治的権限を有している。そのため、ヨーロッパ最後の絶対君主制と言われる。
天皇は元首・君主かどうかについての議論 この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
大日本帝国憲法は第4条で天皇を元首と規定した。一方、日本国憲法やそのほかの法律には、天皇を元首とする規定がない(そもそも元首が誰であるかの規定さえない)。ただ、元首の案件とされる国事行為についての規定はある。
しかし、前節で述べたとおり、他の民主制国家と同様「主権在民」を謳っている日本で、憲法第1条によって「象徴」となる以外、国政における一切の権能を有さないと定められた天皇がなおも「元首」「君主」であるのか否か、言い換えれば、そもそも日本国憲法の下における元首は誰かについて議論がある。
また、象徴天皇制は、憲法に規定された君主を戴く政治体制であり、その意味では立憲君主制であると理解することが可能である。だが、そもそも君主の政治的権能の存在が憲法によって否定されている以上、憲法学者のなかには日本は共和制を採用しているとする説も存在する。[要出典]
日本の公的機関の見解を以下に記述する。
内閣法制局は、「立憲君主制と言っても差し支えないであろう」としている[1][2]。また、天皇は元首であるとする[3]。一方で、天皇を元首と呼びうるかは定義によると述べるにとどまっている[4]。
外務省は日本は立憲君主国であるとしている。
判例においては、プラカード事件第二審において天皇は元首であると判示している。ただし、大日本帝国憲法に基づいた判決である。
外国の大使・公使の接受を行うという意味で国を代表している側面があり、元首の性質を有しているとする立場がある。清宮四郎らがこの立場にある。
元首ではないという考え方は、天皇は政治上の権能を有さず、また外交上条約の締結などの権限を行使していないことを理由とするものである。宮沢俊義、鵜飼信成、芦部信喜などがこの立場である。
うち芦部信喜説によると、「君主」は
その地位が世襲で伝統的な権威を伴う
統治権、少なくとも行政権の一部を有する
などが要件とされる[5]。 元首の要件で特に重要なものは、外に向かって国家を代表する権能(条約締結権など)であるが、天皇は「象徴」という主権者の枠外におかれ(憲法第1条)、「国政に関する権能を有しない」者であると規定され(第4条)、国事行為においても「認証」「接受」という形式的・儀礼的行為しか認められていない。憲法1条の規定の主眼は、国の象徴たる役割を強調するというよりも、むしろ天皇が象徴以外の「元首」「君主」としての役割を持つことを積極的に禁止した、と解釈する。「国民主権」を原則とする以上、天皇に対し「象徴」以外の権能を、憲法改正等による主権者からの付託を伴わずに与えることには現行憲法上問題がある、とする。ただし、これらの説については、スウェーデンの国王やドイツの大統領のように、元首が一切の権力を有さず、象徴の役割しか持たない国も存在することから、日本の天皇も、「政治上の権能を有さないから元首ではない」とは言い切れない。またすべての国事行為に天皇は無責任(3条)であるが7条国事行為は天皇による主催が規定されたものであり、また対外的な公証行為の認証者という側面もある。
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^ 1973年6月28日参議院内閣委員会、政府委員吉國一郎内閣法制局長官答弁
^ 1988年10月11日参議院内閣委員会、大出峻郎内閣法制局第一部長答弁
^ 1990年(平成元年)5月14日の参議院予算委員会における内閣法制局長官答弁。もっとも、「天皇は国の象徴であり、さらにはごく一部では…外交関係において国を代表する面」もあるという限定された意味における「元首」であるとする。
^ 2001年6月6日第151回国会参議院憲法調査会、阪田雅裕内閣法制局第一部長答弁
^ 「国家と法?」放送大学出版会
関連項目
天皇
元首
君主
天皇制 (皇室制度)
立憲君主制
尾高・宮沢論争
天皇制廃止論
外部リンク
⇒衆議院憲法調査会 象徴天皇制に関する基礎的資料 pdfファイル。天皇は元首・君主かどうかについての議論。