都道府県の区域を分かち、その各地域を管轄する警察署を置くと定められている。警察署の名称、位置及び管轄区域は、警察法施行令第5条で定める基準に従い、都道府県の条例で定められる。警察署には警察署長が置かれ、警察署長は警視総監等都道府県警察の長、方面本部長、市警察部長等の指揮監督を受け、その管轄区域内における警察の事務を処理し、所属の警察職員を指揮監督する。警察署の下部機構として、交番その他の派出所、駐在所を置くことができる。(警察法第53条)
通常、警察署は1または複数の市町村を管轄するように置かれるが、特別区や政令指定都市、中核市など人口・面積の大きい市区では、1市区内に複数の警察署を置く場合も多い。また、市の一部と周辺市町村というように、行政区画と一致しない場合もある。
国家公安委員会の定めた原則として署内に課を置かなければならない。各警察署によって規模・人員に差はあるが、これは全国どこの警察署でも同じ(島嶼部で課を置かず係のみといった例外はある)。
原則として警察署の課長のうち、実際に捜査活動を行う部署(概ね警務課・会計課以外の課)の長は警部以上の階級者でなければならない。これは逮捕状の請求を各課の権限で行うことができるようにするためであり(刑事訴訟法第199条第2項)、そうでなければ各課による捜査活動に支障が生じるからである。大規模な警察署の主要な課長には警視が就く場合もあるが、殆どの課長は警部である。警務課・会計課などの場合は、警部相当の職階にある事務吏員を課長とする場合もある。
署長の階級は警視正または警視の階級にある警察官でなければならないとする旨が、一般に都道府県の条例・規則で規定されている。概ね、大規模・主要な警察署の場合は警視正、それ以外の警察署の場合は警視が充てられる。
人事に関しては署に属する警察官のうち地方公務員である警視階級者までならば署長に裁量権が委ねられる。
警察署の庁舎は、都道府県との調整、予算折衝に基づき警視庁や警察本部が設置する。庁舎の建設発注も警察本部が行う。 また、庁舎の建て増しや建て直しなども計画的に行われている。老朽化も一因であるが、阪神大震災に鑑み、警察署や消防署など防災拠点が倒壊した事例により、耐震性を高める附帯工事が必要になったからである。耐震性を高めるにも予算的に新築の方が安く上がれば、新築する例も多い。
一般的に警察署には留置場や道場、講堂、取調室、警察車両駐車場、拳銃保管庫、死体安置所(霊安室)、最近は一部射撃場などが設置される。特に、留置場がないと検察送致までの間の勾留が出来ない(漫画などのフィクションに留置施設を持つ交番が出て来る事があるが、アメリカの保安官事務所と違い、そのような交番は現在の日本には存在しない)。
また道場は一般に開放される場合があり、現役警察官が非番の日を利用して(少年犯罪予防と心身の健全な育成を図るべく)柔道・剣道・空手などの各種武道教室を地元(管轄地域)の子供達向けに開催する事もある。さらに家宅捜索で押収した証拠品・盗品が並べられる場所も警察署の道場で、報道陣に公開される事も多い。
なお日本の警察署は、道路使用許可や運転免許関連の手続きなどで一般の人も出入りする事が多いが、しばしば護送中の被疑者や、警察官職務執行法などにより保護・同行された者も表玄関から出入りさせることがあり、一般人の目に触れる場合がある。また、警察署自体は24時間署員が勤務しているが各種手続きは受付時間が限定されている事もあり、また市街地にある署では来訪者のための駐車場も併設されてない場合もあるので、事前に訪問する署に電話などで確認すると良い。
署長は一地域での警察の権限を行使する警察署の最高責任者なので、所属長としての一般的な監督権限のほか、法令により各種の権限が与えられる。
主な権限
警察署管轄区域内における警察の事務処理・所属警察職員の指揮監督(人事裁量・庁舎管理など)(警察法第53条第3項)
管内の交通規制のうち、道路標識により1ヶ月を越えない期間行なわれる一定範囲のもの(道路交通法第5条第1項、道路交通法施行令第3条の2)
管内の道路使用許可(道路交通法第77条)
自動車の保管場所の確保等に関する法律に関する事務の処理(自動車の保管場所証明書の交付(同法第3条)、保管場所標章の交付(同法第6条)等)
司法警察員としての犯罪捜査(刑事訴訟法各条)。例えば、下記のとおり。
逮捕状の請求、請求により発せられた逮捕状による被疑者の逮捕(同法第199条)
逮捕された被疑者の留置(同法第203条)
差押、捜索、検証、身体検査の令状の請求、発せられた令状の執行(同法第218条)
検察官の指示に基づく変死者又は変死の疑いのある死体の検視(同法第229条)
告訴・告発の受理(口頭で受けた場合は調書の作成)、それに基づく捜査、検察官への送致(同法第241〜246条)
遺失物法に基づく遺失物の処理
警察署の規模によって「刑事生活安全課」、「刑事組織犯罪対策課」、「交通地域課」等2つ以上の課が統合されていることもある。逆に道県によっては大規模署で「地域第三課」、「刑事第二課」、「留置管理課」のように2つ以上の課に分割しているところもある。
警務課各種受付、警察相談、留置管理、人事・厚生事務等、警察署の庶務一般。
会計課拾得物受理・管理、給与事務、庁舎管理、物品(装備品)・被服管理等。小規模署では警務課の中に「会計係」として置かれてもいる。
生活安全課防犯活動、少年事件、環境事犯捜査、保安捜査等。
地域課交番・駐在所、警ら用無線自動車の運用。地域所管犯罪の捜査。都道府県によっては雑踏警備。都道府県警察や警察署によっては、地域課に警察署の所在地付近の区域を管轄する交番としての機能を持たせて、パトロールや巡回連絡などを行っている場合がある。これは「署所在地」と呼ばれ交番の一つとみなされる。
刑事課刑事事件の犯罪捜査、鑑識活動等。課内は幾つかの係に分かれており担当の犯罪捜査をそれぞれ重点的に行うが、各係はあらゆる事件で頻繁に合同捜査を行うことが多い。