詐欺罪は以下の4つの段階を経過した時点で既遂となる特殊な犯罪で、単に「騙した」だけでは成立せず、社会一般でいう詐欺の概念とはやや乖離しているのが特徴。
一般社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること(欺罔行為又は詐欺行為)
相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
錯誤した相手方が、その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)
財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)
さらに上記1?4の間に因果関係が認められ、また行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思が認められる必要がある。
上記の要件が必要とされる結果、たとえば、
嘘を言って店員の目を逸らせ、その隙にショーケースから商品をかすめ取った場合
→詐欺罪は不成立(騙す行為が相手方の財産上の処分行為に向けられたものでない。但し窃盗罪)。
欺く行為があり、その後相手方から財物が交付されても、相手方が欺罔を看破しておりトラブル回避や憐憫の情から行為者の要求を呑んだにすぎない場合
→詐欺罪は未遂に止まる(欺罔行為と処分行為の間に因果関係が認められない)
他の領得罪との対比では、
不法領得の意思をもって他人の占有する財物を取得する点で、窃盗罪や強盗罪と共通する(広義の奪取罪又は移転罪)が、占有の移転が相手方の意思に基づく点で異なる。
占有移転が相手方の瑕疵ある意思に基づく点で、恐喝罪と共通するが、その意思が畏怖でなく錯誤によるものである点で異なる
などの特徴がある。
社会的実態としての詐欺行為を上述の構成要件の枠内に可及的に取り込むため、それぞれの構成要件の解釈については、緻密かつ柔軟な解釈論が展開されている。加害者と被害者のみならず第三者が介在する三角詐欺のようなケースも包括されることが解釈論をさらに複雑なものにしている。学問上も実務上も刑法の重要分野の一つであるといえる。
行為としては一般的な「無銭飲食」であるが、当初の意思や経過によって下記のように派生する。
最初から無銭飲食する意思を持って店に入り、飲食し、「財布を忘れてしまった、取ってくる」等と弁解し、店員がこれを承諾したので店を離れる
→詐欺罪成立(無銭飲食の意思を持ち、店員に注文(欺罔行為)をしかけ、店員が錯誤し、飲食物を提供している)
最初は正規に飲食するつもりで店に入り、飲食していたが、食後に財布を忘れたことに気付き、食い逃げを思い立って「財布を取ってくる」と店員に嘘をいい、そのまま逃げてしまう
→詐欺罪成立(食後に無銭飲食をする意思を発生させ、店員に「財布を取ってくる」欺罔をしかけ、店員が錯誤して承諾し、店を離れ、よってただで飲食を行うという財産上不法の利益を得た)
最初は正規に飲食するつもりで店に入り、飲食していたが、食後に財布を忘れたことに気付き、食い逃げを思い立って、店員の隙をついて店を出て逃走した
→詐欺不成立(食後に無銭飲食をする意思を発生させているが、店に欺罔行為を行っていないため詐欺罪が成立しない。窃盗罪にも該当しないため、刑法で問うことは出来ない。但し民法上の責務を負う)
※「警察庁犯罪手口資料取扱細則」による
1 売りつけ詐欺
物品等の販売を口実として金品を騙し取る
2 買い受け詐欺
物品等の買い受けを口実として金品を騙し取る
3 借用詐欺
借用を口実として金品を騙し取る
4 不動産利用詐欺
不動産の運用利用を口実として金品を騙し取る
5 有価証券等利用詐欺
真正な有価証券等を利用して金品を騙し取る
6 無銭詐欺
人を欺いて宿泊、飲食、乗車等をし、財産上不法の利益を得る
7 募集詐欺
募集を口実に金品を騙し取る
8 職権詐欺
身分を詐称し、検査や捜査などを装い、押収や没収、内済などを口実に金品を騙し取る
9 両替・釣銭詐欺
両替を依頼、あるいは商品等の代金を支払うように装い、両替金や釣銭を騙し取る
10 留守宅詐欺
留守宅を訪問し、口実を設けて当該家の家人から金品を騙し取る
11 保険金詐欺
保険金を受け取る資格を偽り、保険金を騙し取る
12 横取り詐欺
金品を受け取る権利のある者を装い、金品を騙し取る
13 受託詐欺
口実を設けて受託し、金品を騙し取る
14 その他
前記のいずれにも該当しないが、詐欺罪構成要件に該当する詐欺
15 その他
前記のいずれにも該当しないが、詐欺罪構成要件に該当しない詐欺
関連項目
詐欺
無銭飲食
キセル乗車
訴訟詐欺
クレジットカード詐欺
準詐欺罪
電子計算機使用詐欺罪
恐喝罪
消費者保護法
偽装注文詐欺
前:
強盗強姦罪
刑法「第二編 罪」
246条?246条の2、250条?251条
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背任罪
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更新日時:2008年8月23日(土)16:51
取得日時:2008/10/09 19:14