漢字が本来表す中国語の意味ではなく、日本独自の訓を当てるものを国訓という。例えば、「鮎」は中国語では「なまず」であるが、国訓では「あゆ」であり、「沖」は中国では「つく」(衝→簡化: 冲)などの意味であるが、国訓では「おき」である。これらは漢字で日本語を表記できるようになったためにできたものである。
漢字の訓読みに用いるのは和語とは限らず、外来語である場合もある。この場合はかたかなで表記されることが多い。
訓読みの例
頁 ぺーじ(page)米 めーとる(meter)哩 まいる(mile)
熟字訓の例
麦酒 びーる(bier、beer)煙草 たばこ(tobacco)
日本語だけでなく中国語の方言でも、固有な語や発音が大きく変化した別の語を当てて訓読みすることが行われている。中国語の方言の場合、もともと古語として本来用いるべき漢字があるにも関わらず、現在は使われる頻度が低く、どう書けば良いのか分からずに、同義の字を書いて訓読みする例が少なくない。他に、チワン語などの中国少数民族語や朝鮮語などでも行われたことがある。
台湾語は、中国語の方言の中では最も訓読みが盛んと言える。台湾語歌謡の歌詞は訓読みを知らないと読めないものが多い。
対応する漢字がないと思われる例
到 - 訓 kau3,音 tau3,to3此 - 訓 chit4,音 chhu2的 - 訓 e0,音 tek4飮 - 訓 lim5,音 im2
本来は別の漢字を用いると思われる例
香 - 訓 phang1,音 hiang1,hiong1,hiuN1 (本字は「芳」)勿 - 訓 mai3,音 but8 (本字「莫」と「愛」の合音)
広東語は方言字を作る事が盛んなため、訓読みは少ないが、個別の字では訓読みすることを通常の読み方としている字もある。凹 - 訓 nap1,音 aau3,wa1ヲ - 訓 ma1,音 ji1熨 - 訓 tong3,音 wan6,wat1(本字は「?」)
上海語も方言字での対応の方が多いが、「二」と書かれていても「兩」と読む例が良く見られ、訓読み現象となっている。二 - 訓 liang3,音 el3,nyi3 (本字は「兩」)
また、漢字を使用しない言語では無縁のように思われるが、類似した現象はないわけでもない。 たとえば、英文中で、ラテン語由来のetc. (et cetera) をand so onあるいはand so forthと読んだり、 i.e. (id est) をthat isと読んだり、 lb. (libra) をpoundと読んだりするのは、 「文明語の書き言葉を取り入れ、母語で固定的に読み下す」という点で、訓読みと軌を一にする現象であるといえる。 ただし、英語におけるこのような現象はごく一部の表現に限られる。
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カテゴリ: 言語学関連のスタブ | 日本の漢字
更新日時:2008年8月24日(日)05:45
取得日時:2008/10/12 04:22