我々が観測で得る天体の等級は地球から見た時の見かけの明るさであり、天体までの距離に依存している値である。すなわち、天体の明るさは距離の2乗に反比例するため、明るさが同じ天体を10倍遠くに置くと見かけの明るさは5等級暗くなる。また、天体の見かけの明るさは途中にある星間物質による光の吸収などの影響も受けている。
このため、天体を地球から10パーセク(32.6光年)の距離に置いたものと仮定したときの明るさを絶対等級(absolute magnitude) と呼び、天体の絶対的な明るさの指標として用いる。これに対して観測したままの等級を実視等級 (apparent magnitude) と呼ぶ。例えば太陽の絶対等級は+4.8で、実視等級は-26.7である。また、全波長の総エネルギー量を反映した絶対等級を放射絶対等級 (bolometric absolute magnitude) という。
地球から d パーセクの距離にある天体の実視等級 m と絶対等級 M の間には、
M = m + 5 ? 5log10d
の関係がある。
この式から分かるように、ある天体の絶対等級を何らかの方法で見積もることができれば、その天体の実視等級との差から、その天体までの距離を見積もることができる。このため、実視等級と絶対等級の差 m - M のことを特に距離指数と呼ぶ。
彗星や小惑星などの太陽系天体については、太陽からの光を反射して輝いているので、明るさは太陽からの距離にも依存する。そのため太陽と地球の両方から1天文単位の位置に置いたものと仮定したときの明るさを絶対等級と呼ぶ。ただしこの太陽系天体の絶対等級は上記の絶対等級と混同しやすいため、標準等級や標準光度、絶対光度などと呼ぶのが普通である。
通常、整数値で「2等星」などと言った場合には等級 m が1.5≦m<2.5の範囲にあることを意味する。しかし2.0等を意味する場合と混同しやすいため、混乱を防ぐためには小数までつけることが望ましい。また、等級の値は大きいほど暗いことを表すため、「3.0等以上」などと言った場合に3.0等よりも明るい範囲を指すのか暗い範囲を指すのかで誤解しやすい場合がある。通常は不等式で「m < 3.0」と表記した場合には 3.0等より明るい範囲を指す。
主な天体の等級実視等級絶対等級天体名
-26.7+4.8太陽
-12.6-月(満月)
-4.7-金星の最大の明るさ
-3.0-火星の最大の明るさ
-1.46+1.45太陽の次に明るい恒星シリウス
-0.72-5.543番目に明るい恒星カノープス
+0.03+0.58変光星ベガの標準的明るさ
+6.0-肉眼で見える最も暗い恒星
+7.9-海王星の平均の明るさ
+12.6 最も明るいクエーサー
+30-ハッブル宇宙望遠鏡で観測できる
最も暗い天体
関連項目
絶対等級
明るい恒星の一覧
近い恒星の一覧
光電測光器
カテゴリ: 観測天文学
更新日時:2008年9月22日(月)10:09
取得日時:2008/10/03 15:01