病院内で処方箋に基づき調剤を行なう。薬局と異なり、注射剤などの調剤も多い。このほか、感染制御チーム、治験審査委員会、栄養サポートチームなどのメンバーとしての活動を行なうこともある。一定数の専任薬剤師を配置しなければ原則として病院を開設することはできない。
処方箋による調剤を行う「薬局」のみならず、調剤を行わず一般用医薬品のみを販売する「一般販売業」(2009年度より「店舗販売業」)においても、営業時間内は店舗に薬剤師を配置することが薬事法及び「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」によって義務付けられている。
薬剤師の配置が義務付けられているにもかかわらず、一般販売業における営業時間内の薬剤師の不在という違法事例が頻発したため、1998年に厚生省から禁止を徹底させる局長通知が出された。
但し、ドラッグストアの一部にある薬種商販売業や、乗り物酔いや簡便な医薬品を販売する空港・港湾の売店や離島などの特例販売業、そして配置販売業には配置義務はない。薬剤師配置義務のないものは医薬品の安全管理ができないため、販売できる医薬品が制限される。
2009年度より
一般用医薬品は第一類、第二類、第三類に分類され、販売できるのは薬局、店舗販売業、配置販売業のみとなる。
店舗販売業において第一類医薬品を販売する際には、薬剤師が常駐して対面販売し、書面で情報提供することが義務化されるため、薬剤師でなければ販売することができない。第二類、第三類についても薬剤師又は登録販売者が常駐しなければ販売できない。
薬事法第17条により、医薬品の製造販売にあっては薬剤師を置かなければならず、これは医師・歯科医師・看護師・獣医師など他の者が代わることができない。従って、法令上薬剤師は日本の医薬品供給に不可欠である。この規定から製薬メーカーでは、薬事法の規定で工場ごとに薬剤師を置いている。
なお、製薬メーカーが医療機関への営業活動の際に商品に関する専門的な情報提供を行う医薬情報担当者(MR〔旧プロパー〕)と呼ばれる職種があるが、この職種で薬剤師が占める割合は現状では15%程度で、文系出身者および他の理系出身者がその大半を占めている[5]。
医薬品の卸売業にも薬剤師の配置が薬事法により義務付けられている。
学校保健法の定めにより大学を除く学校に置くことが義務づけられている。薬局などの薬剤師が兼務していることが多く、水質・照度・空気の検査や給食施設の衛生管理等を行うほか、薬物乱用防止教育などを行う場合もある。
このほか薬剤師免許は必須ではないが、以下のような所で薬剤師としての知識と技能を生かして働く者もある。
麻薬取締官
詳細は麻薬取締官を参照
薬学部教員
薬学部教員として薬剤師養成に従事する。6年制薬学部においては、おおむね5年以上薬剤師として実務経験を有する者(実務家教員)が専任教員の6分の1以上配置される事が大学設置基準上義務付けられている。
新薬の研究開発
新薬の研究開発は総合科学であらゆる学部出身者が関わっており、薬学出身者の数が飛び抜けて多い訳ではないが、薬剤師も積極的に新薬の研究開発に関わっている。なお、新薬上市前の治験業務は臨床現場の薬剤師・医師・看護師等が中心となって推進される。
保健所職員
薬局や病院の開設許可業務、食品衛生監視業務や環境・衛生に関する分析業務などを行う。
科学捜査研究所所員
高等学校教諭
専門薬剤師
感染制御専門薬剤師
医学や薬学や化学が発展した現代において、感染症の分野だけでも、専門家として把握すべき情報は非常に大きい。このため、感染制御薬剤師は、消毒薬と抗生物質などの専門家として、活躍することが期待されている。
がん専門薬剤師
医師による抗がん剤の誤投与事故が多発しており、抗がん剤の専門知識を持った薬剤師を育成することにより、薬剤師にチェック機能を持たせる事を目的としている。
精神科専門薬剤師
医師・歯科医師は、医師法第22条・歯科医師法第21条の規定により、投薬の必要があるときは原則的に処方箋の交付義務があり、これには罰則も設けられている。ただし例外として以下の場合に限り、自己の処方箋により自ら調剤を行うことができる。また、獣医師は処方箋の交付義務はないが、調剤することができるのは自己の処方箋に限られる。
患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
暗示的効果を期待する場合において、処方せんを交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合
処方せんを交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合
病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合
診断又は治療方法の決定していない場合
治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合
安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合
覚せい剤を投与する場合(歯科医師は除く)
薬剤師が乗り組んでいない船舶内において薬剤を投与する場合
一方で、この規定のうち「特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合」を拡大解釈し、患者が申し出ていないにもかかわらず、医師等から薬剤を直接交付される事があるが、違法であり、処方箋を交付せずに医療機関の窓口で看護師や事務員より薬剤を交付される事も違法である。
用法用量の口授も調剤行為の一部であり、処方箋を交付しないのであれば、医師・歯科医師・獣医師は自ら調剤し、説明しなければならず、他の医師・歯科医師・獣医師や看護師・事務員等に調剤させるのは安全上・法律上共に問題がある。
薬剤師になるには、原則として大学の薬学部のうち6年制課程を卒業し、薬剤師国家試験に合格しなければならない。その後薬剤師名簿に登録申請することではじめて薬剤師の免許が与えられる。薬学部の6年制課程にはおよそ6ヵ月間の病院・薬局実務実習が含まれる。