著作物の利用や使用について、その便宜上必要とされる範囲または著作権者の利権を害しない範囲において著作権が制限されることがある。主なものは以下の通り。
私的使用を目的とした複製(第30条)
個人的に又は家庭内、或いはこれに準ずる限られた範囲内において使用する場合は、権利者の承諾を得なくても複製を行うことが出来る。ただし、複製を行う装置・媒体がデジタル方式の場合は「補償金」を権利者に払わなければならないとされる(一般に「補償金」はそれらの装置や媒体を購入する時の値段に含まれる。詳しくは私的録音録画補償金制度を参照)。また、技術的保護手段(いわゆる「コピーガード」)を回避しての複製を意図的に行うことは、私的使用であっても ⇒権利者の承諾があった場合に初めて認められるとしている(ただ、ユーザーの間では、合法的に代金を支払って正規のソフトウェアを購入した場合においては、私的目的の範囲であれば、たとえそのソフトウェアのガードを回避してコピーを作成したとしても、「権利者に対し事前の複製許可を求めなくても、正規のお金を払ったのだから、実質的には問題無い。」とも考えられているようだ。しかしその「正規のお金」は有体物としてのソフトウェアの所有権に対する対価であって著作権に対する対価ではなく、所有権と著作権を混同したエンドユーザーの誤解に過ぎない。このことは、「顔真卿自書建中告身帖事件」(最高裁昭和59年1月20日第2小法廷・別冊ジュリスト著作権判例百選第3版No.157 4頁)で明らかになっているところである)。
図書館における複製(第31条)
政令で定められた図書館(公立図書館、国立国会図書館及び社団法人、財団法人並びに日本赤十字社の設置する図書館)において、利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(判例(多摩市立図書館事件)により当該著作物の半分以下。発行後相当期間を経過した(次の号が発行された)定期刊行物に掲載された個個の著作物にあっては、その全部)の複製物を1人につき1部提供する場合、図書館資料の保存の必要性がある場合、他の図書館等の求めに応じて絶版等の理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合、権利者の承諾が無くても複製が出来る。ただし、いずれも営利を目的としない場合に限られる。日米における図書館関係の著作権制限規定の検討の状況については、 ⇒鳥澤孝之. 日米における著作権法の図書館関係制限規定の見直しの動き. カレントアウェアネス. (289), 2006, 12-15.参照。
引用(第32条)
公表された著作物は自由に引用して利用することが出来る。ただしそれは公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならないとされる。
著作権の保護期間を参照
関連項目
著作権法
⇒アメリカ合衆国の著作権法(英語)
⇒オーストラリアの著作権法(英語)
⇒ヨーロッパ連合の著作権法(英語)
⇒イギリスの著作権法(英語)
⇒香港の著作権法(英語)
⇒カナダの著作権法(英語)
⇒フィリピンの著作権法(英語)
⇒オランダの著作権法(英語)
著作者
著作者の実名の登録
著作権者
著作物
映画の著作物
著作権の保護期間
戦時加算
著作権の準拠法
著作権の登録制度
カラオケ法理
版権(現在では法律用語ではないので使わない方が良い)
印税
パロディ
著作権の制限
引用
複写
図書館
著作権侵害
権利と利用
オープンソース
コピーレフト
クリエイティブ・コモンズ
自由利用マーク
電子フロンティア財団
フリーソフトウェア財団(FSF)
権利開放団体
関連団体
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)
日本音楽著作権協会(JASRAC)
関連書籍
田村善之『著作権法概説』有斐閣、2001年。
北村行夫、雪丸真吾編『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』中央経済社、2005年 ISBN 4-502-92680-9。
作花文雄『詳解著作権法』ぎょうせい、2004年。
加戸守行『著作権法逐条講義』著作権情報センター、2006年:ISBN 4885260523
斉藤博・半田正夫共監修『著作権判例百選』有斐閣、2001年。
本橋光一郎『要約 著作権判例212』学陽書房、2005年。
福井健策『著作権とは何か 文化と創造のゆくえ』集英社新書、2005年 ISBN 4087202941。
岡本薫 『著作権の考え方』 岩波新書:ISBN 4004308690
岡本薫 『この1冊で誰でも分かる著作権』 全日本社会教育連合会:ISBN 4793701329