図1. 葉身の形状図2. 縁の形状1(鋸歯)図3. 縁の形状2(裂けた葉)
葉は茎から分かれて側方に伸び、普通は薄くて広く、葉脈がそこに枝分かれして伸びる部分をもつ。この広がった部分が葉の本体であるとして、これを葉身(ようしん)という。茎と葉身をつなぐ部分を葉柄(ようへい)という。
葉柄は茎と葉身をつなぐ部分で、太くて、たいてい茎に面する側がやや偏平になっている。葉が落ちる場合、茎と接する部分で離層という切れる面が生じて、そこから落ちる。また、茎と葉柄の上側の接するところに芽ができるものが多い。 葉柄ははっきりしないもの、葉身が茎に直接につながっているように見えるものもある。
葉身は多くの場合、薄く広がって偏平である。 葉身の全体の形は、普通は葉柄の側は幅が狭く、次第に幅が広がり、先端に行くと再び狭まって終わる。葉の幅が最も広くなる場所が葉の中央付近の場合、楕円形(図1 C,D)という。葉の幅が最も広い位置が葉柄の側に近ければ、披針形、丸みがあれば卵形(図1 H)という。逆に葉先近くで幅が広い場合、倒披針形(図1 G)、丸みがあれば倒卵形という。他に針形、心形、腎形、へら形などの表現がされることもある。
これらの表現は、葉の長さに対する幅の程度によって変化し、例えば楕円形に対しては広楕円形(図1 C)、狭楕円形(図1 D)、線形(図1 E)などの表現がある。
細かく形の特徴を表す時には、葉身の葉柄の側を脚、先端側を頭という。
葉先がとがっている場合、鋭頭、丸まっている場合は鈍頭、葉先が特に細く伸び出しているものを鋭尖頭という。さらに、その先端が尖っているかどうかで鋭端、鈍端という表現もあり、例えば急鋭尖頭鈍端と言えば、葉先が急に細くなって少し伸びており、その先端は丸くなっていることをあらわす。また、葉先が丸みを帯びる場合は円頭、凹になっていれば凹頭、凸にになっていれば凸頭という。
葉身と葉柄の接する部分は葉身の幅が狭くなっている場合が多いが、そのまま次第に葉身とつながる場合と急に葉身がなくなって区別が明確な場合がある。なだらかにつながることを「流れる」と表現する。その部分の葉身が丸みを帯びているなら円脚、より幅広く真っすぐになった部分で葉柄とつながっているのを切脚といった言い方がある。また、葉柄につながる葉身が左右不対称のものを斜脚という。葉柄とつながる葉身が、葉柄の方向へ接続部分を越えて突き出している場合、そのような部分を耳という。左右の耳が融合すれば、葉柄は葉の中ほどの裏側につくことになる。このような状態を楯状という(例:ハス)。
葉身の周辺にノコギリの歯のような凹凸があるものがあるが、このような凹凸を鋸歯(きょし)という(図2)。鋸歯の形や大きさは種によってさまざまである。凹凸が大きくて葉全体の形にかかわるほどの場合、裂けていると見る(図3)。全く裂けないものを全縁(ぜんえん、図3 A)、切れ込みが浅いものを浅裂(せんれつ、図3 B)、深く裂けていれば深裂(しんれつ、図3 C)、完全に裂けたものを全裂(ぜんれつ、図3 D)という。また、裂ける形が手のひら(掌)のようなものを掌状、鳥の羽のようなものを羽状という。裂ける深さと形を組み合わせて、葉の形状を表現することが多く、たとえばヤツデの葉は掌状に深裂(「掌状深裂」とも)、ヨモギの葉は羽状に深裂(「羽状深裂」とも)するなどという。
葉身が深く裂け、葉脈に達すると、葉身はいくつかの部分に分かれてしまう。このような葉を複葉(ふくよう)と呼び、それに対して、葉身がひとつながりの葉を単葉(たんよう)という。
複葉の葉で、分かれている葉身の各部分を小葉(しょうよう)という。複葉の葉では、でたらめに葉が分かれるものは少なく、たいていの場合、同じ形の小葉が規則的につながったような形になる。つまり、大きいのが分かれたと見るより、小さいのが並んでいると見た方が分かりやすい。そこで、小葉の並び方でさまざまな呼び名がつけられている。
また、小葉の形は葉の形と同じように表現する。
葉柄の延長になる軸(葉軸)から、左右に小葉がいくつか並ぶものを羽状複葉(うじょうふくよう)という。軸の先端にある小葉を頂小葉、左右に並ぶ小葉を側小葉という。頂小葉があれば、小葉全体の数はたいてい奇数になるので奇数羽状、それがなければ偶数羽状という。
小葉が左右一枚、先端一枚のものを三出複葉(さんしゅつふくよう)という。多くの場合、これは羽状複葉の側小葉が一対のみになったものと見られる(例;クズ)。しかし、三枚の小葉がほとんど同じ形になって、その区別が難しいものもある(例;カタバミ)。
小葉が葉柄の先端の一点から三枚を越えて出るものを掌状複葉(しょうじょうふくよう)という(例;トチノキ)。
さらに細かく分かれたものもある。葉柄に続く軸から左右交互に枝が伸び、その枝に沿って左右に小葉が並ぶものは、羽状複葉の葉が羽状に並んでいることになるので、これを二回羽状複葉という。シダ植物では三回、四回羽状複葉のものもある。
三出複葉の場合も、三つ股の枝の先にさらに三枚の小葉をもつ二回三出複葉のもの、さらにそれが三つに分かれた三回三出複葉などがある。
小葉の基部に関節があったりすると、単葉と見誤る場合がある。また、逆に、単葉が並んだ枝が羽状複葉に見える場合もあり、区別には注意が必要である。そのような場合、それが葉であれば、枝との接点に芽があるはずである。花や実がつくのは枝なので、それに気をつけるとよい。
なお、植物標本を作る場合、シダ植物では葉一枚で標本とすることもあるが、被子植物では、枝と葉の関係や、葉が対生するかどうかなども重要なので、少なくとも枝を含めて葉一枚を切り取らねばならない。複葉の一部を切り取った標本が時折り見かけられるが、その種の特徴を表わすという意味では、ほとんど価値がない。植物採集の項も参照のこと。
特殊な葉
根生葉(こんせいよう)
地面に広がって立ち上がっていない葉をいう。セイヨウタンポポ等。根出葉(こんしゅつよう)、根葉(こんよう)。
ロゼット葉
根生葉がやや平らに螺旋状に広がる物を言う。冬の根出葉がこの姿を取るものが多い。多年草や越年草に見られる。オオマツヨイグサ等。座葉(ざよう)
葉鞘(ようしょう)
葉の基部は茎に巻き付いていて茎にみえるもの(ツユクサ、ヨシなど)
偽茎(ぎけい)
地下茎から伸びた葉鞘が地上で何重にもなっていて茎にみえるもの(ミョウガの食用部分、ネギの食用部分の根元側の同心円になっている部分など)。本物の茎は地下にあり短い場合が多い。
単面葉
葉の裏側だけが見えるもの(ネギなど)。普通の葉は、芽のうちは巻いていて裏側が見えている。単面葉の場合、巻いたままの葉がそのまま大きくなったと思えば、葉の裏側だけが見えているのが理解できる。
苞(ほう)
花や花序の下にあり、つぼみを包んでいた葉。詳しくは、苞を参照。
子葉(しよう)
植物が種子から芽を出して、初めに出る葉のこと。双葉ともいう(紛らわしいことであるが子葉が1枚でも「双葉」)。子葉が1枚の単子葉植物と2枚の双子葉植物がある。但し、双子葉植物の中には子葉が地中にあるもの(ソラマメなど)、子葉が1枚のもの(ニリンソウなど)といった変わったものもある。
葉針
葉が刺に変化したもの(サボテン類など)
捕虫葉
食虫植物に見られるような虫を捕らえる機能のある葉。
多肉葉
多量の水分を含んで厚くなった葉のこと。多肉葉を持つ植物は乾燥に強い植物が多い(マツバボタン、ポーチュラカなど)。