一般動詞 (ordinary verb) は、法 (mood)、数 (number)、人称 (person) による活用をほぼ消失しており、三人称単数現在形で"-(e)s"が付されるだけである。時制(tense)による変化は不規則変化動詞においては現在形、過去形、過去分詞形でそれぞれ変化するが(例: rise/rose/risen 「昇る」)、規則変化動詞では過去形、過去分詞形に -ed 語尾が付されるのみとなる(例: walk/walked/walked 「歩く」)。また、動名詞 (gerund)・現在分詞 (present participle) においては全ての動詞において原形 (bare form) に -ing 語尾を付すれば良い。
ドイツ語 (-en) やフランス語 (-er, -ir) と違い、不定形 (inifinitive) に一見して動詞とわかる綴りの形はない。したがってある単語の原形が与えられたとき、動詞かどうか判断する方法はない。このため語形を変えずに品詞の転換が容易である。例: smoke は名詞では「煙」「タバコの一服」だが、そのまま動詞として「煙を出す」「タバコを吸う」とも使える。
英語の法は直説法、仮定法、命令法、条件法が存在する。
直説法 (indicative)
一般動詞においては過去形、過去分詞形、現在分詞形、動名詞、三人称単数現在形以外では目に見える形で活用せず、実質原形を用いる。
仮定法 (subjunctive)
中英語期以前までは、現在・過去のいずれの時制でも現れ、それぞれ固有の語形変化をもっていたが、現代では仮定法自体やや特殊な用法となっている。 if などを用いた条件節 (conditional clause) 内においては一般動詞を過去形に、be 動詞の場合は were にすることによって法を表現し(現在の口語では主語が you 以外の単数の場合 was が用いられることもある)、条件節以外では助動詞の過去形(例: would, could, might, should)を用いることによって表現する。仮定法本来の動詞変化が消失したためにこのような形で表現するのであるが、そのせいで動詞の語形変化で表される時制と、仮定法によって叙述される時制にズレが生じる。
例: If I were a bird, I could fly into the sky. 「もし私が鳥ならば、空に向かって飛んでいけるのだが。」
これを「仮定法過去」といい、叙述されているのは現在の状態・動作である。仮定法によって過去の状態・動作を叙述するには、次のような構造を用いる。
例: If I had been a bird, I could have flown into the sky. 「もし私が鳥だったならば、空に向かって飛んでいけたのだが。」
条件節内を「助動詞 have の過去形 had + 過去分詞」とし、主節 (main clause) 内を「助動詞過去形 + 助動詞 have + 過去分詞」とする。これを「仮定法過去完了」という。なお、主節の動詞が話者の意思を表す動詞 (intentional verb) の場合、従属節 (subordinate clause) 内の動詞が人称・時制にかかわらず原形になる場合があり、これを「仮定法現在」という。叙述されている時制は主節内の動詞の時制となる。これはアメリカ英語に多く見られる用法であり、イギリス英語では従属節内の動詞の前に should をおく。
例: He insisted that she be innocent.「彼は、彼女が無罪であると主張した。」(アメリカ英語)
例: He insisted that she should be innocent.「彼は、彼女が無罪であると主張した。」(イギリス英語)
このような動詞には、insist の他にも recommend, suggest などがある。仮定法の条件節において if を使わず、助動詞を倒置させることがしばしばある。
例: Had I had the money, I could have made my fortune. 「あの金さえあればひとやま築けたのに。」
命令法 (imperative)
動詞を原形で文 (sentence) の最初に置くことによって表現する。命令法以外では文頭に動詞の原形が置かれることはほとんど無い。
例: Be quiet. 「静かにしなさい。」 Go to school. 「学校に行け。」 Open the window. 「窓を開けなさい。」
英語の基本的な時制は、非過去 (nonpast) と過去 (past) の二つである。これはゲルマン語系言語に共通する特徴である。過去形は不規則変化動詞においては語幹変化で、規則変化動詞においては -ed 語尾を付して表現する。本来、英語には未来時制がないので、未来のことを表現するときは法の助動詞 will, shall を用いて表現したり、be going to という慣用表現を用いたりする。直近の予定は現在進行形で表現することもある。
英語の時制、法、相、態は以下のように結びつく。
時制法相態動詞
完了相進行相
-? (非過去)
-ed (過去)? (通常)
will (未来)? (通常)
have -en (完了)? (通常)
be -ing (進行)? (能動)
be -en (受動)do
時制、法 (will)、完了、進行が各2通りあるので、実質的な時間表現は16通りある。不定詞では相および態しか使えない。本来の時制の他、will による未来表現も時制に入れることがある。この場合、現在 (-?)、過去 (-ed)、未来 (will)、過去未来 (would) と呼ばれる。
英語の相 (aspect) は、完了相 (perfect -) と進行相 (progressive -) が存在する。
完了相
「助動詞 have + 過去分詞形動詞」によって表される。助動詞 have を過去形 had にすることにより、完了相の時制を表現することが可能である。
現在完了の例: She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった。」
過去完了の例: He said that she had gone to India.「彼は、彼女がインドに行ってしまったのだと言った。」
過去完了を用いることにより、間接話法中において、時制の差異を表現することができる。これを「大過去」ともいう。現在完了と過去時制との違いは、後者が過去における事実を叙述するに過ぎないのに対し、前者は過去の行為が現在に及ぼす影響を含んでいること。したがって現在完了は経験や継続を表すのに使われる。
現在完了の例: She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった(そのまま戻っていない)。」
過去の例: She went to India.「彼女はインドに行った(もう戻っているかもしれないし、戻っていないかもしれない)。