自殺
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自殺の判定

自殺は自らの意思で自らを殺そうとすることとされるが、外面上自殺に見える場合であっても必ずしも自殺と判断できない事もある。この問題が持ち上がるのは、自殺があくまで「自分の意思の結果」であるという前提があり、手法による判別ではないからである。すなわち、自身が行うことのできる行為は、他者が行いうるとも言い換えることができるわけで、死因鑑定や法医学的鑑定上、自他殺を判定する場合においては、実際の自殺死であっても、必ず「自殺で起こり得る」という範囲での判定であり、はっきり自殺と断定しているとはわけではない点が、極めて注意すべき重要な点である。

警察の捜査で自殺と断定された事件が事故または殺人事件ではないかと疑われる例は以前から存在しており、徳島自衛官変死事件のように遺族とのトラブルや訴訟となった例もある。また逆に、自殺であるにもかかわらず、警察や遺族によって事故とされている場合も存在するのではないかと言われる。突発的な自殺願望によって、遺書も書かずに電車や車に飛び込み自殺したと疑われる場合である。

なお、日本国内での統計上、解剖による鑑定後、自殺と判定された案件において、実際に遺書が残されている件は、半数以下であり、近年は、さらにこの割合が減少傾向にあるとの調査結果もある[要出典]。

また、自傷行為はしばしば自殺未遂とされることが多いが、実際には自殺目的ではなく切ること自体の感覚を目的とする場合が少なからずある。これは、自傷が中毒症状の様になっている人に多いが、こういった場合自殺未遂とみなした場合、余計に回復が困難となる。しかし、自傷者の多くには実際に自殺願望があるうえ、自傷による事故死と自殺は非常に見分けづらいので、現在は自傷による事故死も自殺に含めてしまうことが多いとみられる。他にも、自分の健康を無視したような行動を行う人もいるが、やはり意図していないのでそれ自体は別個のものである。

以下、参考にWalsh(2005)による自傷行為と自殺未遂の判定表を挙げる。ただし双方は死への意図のあるなしではなく強弱の同一線上にある例も多いため、一種の指標として柔軟に用いるのが望ましい。自傷段階の人の場合、現世への希望をまだ諦めきっていないため、なんらか事態の改善に繋がる助けを求めている傾向があるとされる。自殺ではコミュニケーションを求める行為はほとんど見られず、またそのような心の余裕も無いことが多い[23]

自傷行為と自殺企図との区別の例番号項目自傷行為自殺企図
1行為そのもので期待されるものどうにもならない感情の救済(緊張、怒り、空虚感、生気のなさ)。痛みから逃れること。意識を永久に終わらせること。
2身体的ダメージレベル、および潜在的に行為が死に至る確率身体的にはあまり強くないことが多い。致死率はあまり高くない方法を好む。深刻な身体ダメージを及ぼすことが多い。致死率が非常に高い方法を好む。
3慢性的、反復的であるかどうか非常に反復的である。反復的なことは少ない。
4今までにどの程度の種類の行為を行ってきたか2つ以上の種類の方法を繰り返し行う。主に1つの方法を選ぶことが多い。
5心理的な痛みの種類不快感、居心地の悪さが間欠的に襲ってくる。堪えられない感情が永続的に続く。
6決意の強さもともと自殺するつもりは強くないのでそれほど強くはない。他の選択肢を考えることもできる。一時的な解決を図ろうとして行ってしまうことが多い。決意が並外れて強い。自殺することが唯一の救いとしか思えない。視野が狭い。
7絶望、無力な感じがどの程度あるか前向きに考えられる瞬間と、自分をコントロールする感覚を少しは保っている。絶望、無力感が中心で、一瞬であってもその感情を外すことができない。
8実行することで不快な感情は減少したか短期的には回復する。間違った考え方も感情も行為そのものによっておさまる。「意識の変化」を起こす。まったく回復しない。むしろ自殺がうまくいかなかったことによってさらに救いがもてなくなる。即時の治療介入が必要。
9中心となる問題は何であるか疎外感。特に社会の中での自らのボディ・イメージ(アイデンティティにもつながる)が築けていないこと。うつ。逃れられない、堪えられない痛みに対する激しい怒り。

いずれにせよ、状況を一見しただけで安易に自殺であると断定するのは拙速であることがあり、特に有名人の自殺に関しては多くこの問題が取り上げられる。


自殺者の規模

詳細は国の自殺率順リストを参照

自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)を見てみると、先進国G7諸国の中では日本が1位、OECD加盟国ではハンガリーが1位となっている。なお、国別の自殺率上位5か国はすべて旧社会主義国が占めている。また、中国を除き、男性の自殺率の方が女性の自殺率よりも高くなっている。これは、男性に対する社会的ストレスが女性に対する社会的ストレスよりも重いことが原因と考えられる。


自殺未遂

自殺未遂者については、規模等正確な状況は分かっていない。

ニュージーランドでは、保健省の発表によれば、1983年 - 2003年の間に自殺者数が減少する一方で、自殺未遂者が増加しているという(自殺では男性の割合が多いのに対して、自殺未遂での入院では女性の割合が多い)[24]

日本では、自殺者の10倍以上の自殺未遂者がいると推計されている[25]自殺対策基本法も参照のこと。

尚、単独の自殺未遂は現在の日本の刑法では刑罰に科せられることもないが、複数で行った場合は相互に処罰される(自殺関与・同意殺人罪)。ガス自殺など他者に危険を及ぼした場合は被害がなくても未遂も処罰され得る。


日本における自殺

以下では日本における自殺に関して述べる。


歴史

日本においては、歴史的に自殺がひとつの文化として捉えられている[26]。日本の文明が始まる頃から自殺は行われていたとされており、文字が書かれた頃から文献として多数自殺の記録が存在している。

明治天皇崩御のおりに乃木希典夫妻の殉死が行われるなど、特定条件下での自殺は美談として扱われた。切腹心中特攻自爆殉死など、自殺に准じる行為が様々な状況で扱われている。また、近現代においても、切腹を中心として話が進む様な文芸作品は、田宮虎彦の『鷺』など幾つも存在する。

明治以来日本の自殺率は上昇し、1936年に戦前のピークに達した。その後戦争の影響で減少した。自殺率が戦前の水準を回復したのは1950年代である。1958年には25.7人と2008年現在に至るまで過去最高の数値を記録している。高度経済成長の時期は減少に転じた。1973年のオイルショックの頃から再び増加したが、1980年代後半からのバブル経済期には減少した。バブル崩壊後の1990年代後半に急激に上昇した。


現代の自殺

1998年から自殺者数が3万人以上に増加した。それまで約2〜2.5万人程度であった年間の自殺者数は、1998年を境に急増して3万人を超え、それ以降3万人超となっている。自殺者の70%以上が男性であり、1998年以降、自殺者数が急増した要因も男性、特に中高年男性の自殺増加によるものであった。2003年には、年間自殺者数が3万4千人に達し、統計のある1897年以降で最大となった。自殺率も27.0と過去最大となった。なお、女性より男性のほうが自殺者数が多いのは、女性はたとえ無職でも独身であっても家族や社会の状況に組み込まれて保護されているが、男性は無職だったり独身であったりすると、社会的に孤立を余儀なくされるためと考えられる[27]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki